湯タンポは翌朝までホカホカとあたたかかった。自分の湯タンポを持って洗面所にゆき、祖母に栓をあけてもらい、なまぬるいそのお湯で顔を洗うのである。
父の詫び状/向田邦子
ゆたんぽ
湯湯婆
湯湯婆と当てる。「たんぽ」は、「湯婆」の唐音。
豪雪の寒村育ちのわたしはもちろん使っていました。
向田さんと同じく、その残り湯で翌朝顔を洗っていたと思います。
そして、わたしが小さい頃は今よりもっともっと雪が多く寒さももっともっと厳しかったように思うのです。
冬、蒲団に入っても息が白くなるほどでした。
子供の頃の記憶と今大人になっての感じ方はもちろん違いはあると思いますが。
湯湯婆、猫と並んで冬の三大蒲団暖房具といえばこれ。
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あんか
行火
正確には豆炭行火。
これも使っていましたが、湯湯婆も同じくらいの頻度で使っていたと記憶しています。
どう使い分けしていたのかはわかりませんが、たぶん母親の気分次第だったような気がします。
私的には、翌朝、洗顔のお湯に使える点から言っても湯湯婆に分があるように思いますが。
そのほかにも昭和の家庭を偲ばせるものとして、
焜炉 こんろ
懐炉 かいろ
炬燵 こたつ
囲炉裏 いろり
卓袱台 ちゃぶだい
などがありますが、卓袱台といえば1級問題で卓袱(しっぽく)料理というのがありました。
しっぽくりょうり
卓袱料理
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江戸時代、長崎地方から流行し始めた中国料理の日本化したもの。主として肉・魚介類を用いた各種の料理を大皿に盛って食卓の上に置き、各人取り分けて食べる。長崎料理。
(卓袱=食卓をおおう布。テーブルクロス)
もちろん、見たことも食べたこともありません。
でも、すごくゴージャスな感じがします。
昭和という時代(2)
昭和という時代