人の感覚は不思議なもので、目や耳でも涼しさを感じることができます。テレビで真冬の氷や雪の映像を見たり、川の流れや滝の音を聞いたり、風鈴の音を耳から聞けば、涼しさを感じるのです。
風鈴は日本の夏の風景に欠かせません。軒先がある家が少なくなった現在は、家庭で風鈴をつるすことは少なくなりました。わが家も、戦後に建てた建物は既に建て替えてしまいましたが、南向きの部屋に縁側があり、蚊取り線香をたいて、瀬戸物の「風鈴」をつるし、夜になれば部屋に蚊帳をつって寝たものです。
猛暑の中で涼を感じる風物詩として愛された風鈴の「チリン・チリン」という音を聞くたびに、涼しい気分になり懐かしく思い出します。
「風鈴」は、古代中国から仏教とともに伝わったそうで、寺の屋根の四隅につるされていて、魔除けの目的から、災いが起きないようにとのことらしいのです。「風鈴」という名は浄土宗開祖、法然上人がつけたとも言われています。
風鈴の音を聞くと、なんとなく心地よさを感じ、川のせせらぎや、森や林の中で小鳥のさえずりなどと同じように、音が鳴ると、心なしか涼しくなったという気持ちになり、情緒がそう感じさせるのと、実際に体の表面の温度が2~3℃下がると言われます。
きょうは、日中の気温35度をこえるようです。夜間も油断できない暑さになるとのこと、風鈴の涼しい音はないにしても、冷房の利いた涼しい部屋で過ごしたいものです。