卒業した学校を「母校(ぼこう)」と呼ぶように、会社に永く勤めて人生に大きく影響を及ぼしたと思われる会社を「母社(ぼしゃ)」と呼ぶことにします。聞き慣れない言葉です。私が作りました。
企業を退社あるいは退職してしまえば、せいぜい履歴書に名前を書く程度の関係が多いようです。OB会などに出席して退職した上司・部下の関係が再現しても、同級会のような付き合いにはなりません。
学校の先生は定年退職しても「先生」と呼ばれ、生涯「教師という職業」です。恩師の中にはそう呼ばれることを嫌がる人もいました。
定年後に再就職するため、履歴書で過去を表現するのに、母社での経験や実績は、その後の人生に大きく影響し無視できないことが多いのです。「母校」のような呼び方ですが、学校とは考え方も扱いも全く異なります。
親会社から子会社へ移籍した人の場合は、移籍後も利害関係が持続しますが、無関係な会社から再就職した場合は、経験と実績が買われ、自分の母社を利用することはありません。
競争意識が強かった同業仲間の付き合いや、職場が強い共通課題を抱えていた場合の退職後の付き合いは永く続くようですが、一般的に、いったん退職あるいは退社してしまうと、人間関係は極端に薄くなってしまい、どうやら母社は「思い出」だけで十分のようです。