⬛観戦記
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2月15日、2025明治安田J2リーグ開幕戦 V·ファーレン長崎-ロアッソ熊本を「PEACE STADIUM Connected by SoftBank」(ピースタ)で観戦しました。
寒かったですが、防寒対策しっかりしていればそこまで気にならなかったですね。19000人以上入った観客の熱気もありましたし。ただ、試合時間が近くなるとコンコースは人で溢れかえるので移動はやや大変でした。
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席は下の階のバクスタ(ホテル側)にしましたが、上の階に登ったことがなかったので登ってみました。高いけれど近いというか、これはこれで見やすそうなので、次は上の階もいいかも。
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生憎の雨でしたが、ヴィヴィくんもロアッソくんもお仕事頑張っていました。
お仕事の動画を少し。
スタグルはメイン側コンコースの「つゆだくもつ煮丼」(980円)。柔らかいもつがたっぷり入っていて美味しかったです。
ボールパーソン担架要員はU-18の選手たち。
なぜか、ヴィヴィくんチャントで跳ばされるU-18の選手たち(笑)。
私自身がトップチームをこのスタジアムで観戦するのが初めてでしたが、チームはナイトゲーム開催が初めてで、スタメン発表も派手な演出が成されて凄い雰囲気でした。BS10でも放送されたそうですが、寒い中ナイトゲームだったのには、こういう演出をたくさんの人に見せたい狙いがあったのかなと思いました。
⬛レビュー
V·ファーレン長崎 3(0-1/3-1)2 ロアッソ熊本
得点者
10分 古長谷 千博(熊本)
62分(後17分)マテウス ジェズス(長崎)
64分(後19分)エジガル ジュニオ(長崎)
67分(後22分)マテウス ジェズス(長崎)
89分(後44分)塩浜 遼(熊本)
メンバーとフォーメーション。
[熊本がハイプレスからリズムを作る前半]
熊本は保持時3-3-1-3、非保持時は8上村が最終ラインに落ちて4-5-1のような形。ただ、マンマークでハイプレスを仕掛けてくる上に、自陣でブロックを作る際は両WGが落ちてきて6バックのようになるときもあったので、あまり数字に意味はないような。
熊本のプレス時は、18半代が4エドゥアルド、15三島が48照山、19渡邉が3関口、20大崎が17高畑、10古長谷が24山田、21豊田が5山口という具合にマークする相手がだいたいはっきりしており、長崎は後ろで持つと2CBと5山口と24山田の4人で組み立てるような形でしたが、そこで嵌められてショートカウンターを受ける前半。
7分の熊本。4エドゥアルドのパスをカットしてから20大崎が21豊田とのワンツーから右ポケットを取ってシュートまで行った場面もそう。
10分の熊本の先制点は、長崎の3関口が下りて7マルコスに縦パスを通そうとするところを6岩下がカットしてから。19渡邉のワンツーから縦に抜けて低く速いクロスがゴール前にこぼれると、詰めていた10古長谷が決めます。
熊本は非保持時は4バックとはいえ、3バックの左の6岩下も右の5阿部も思い切り良く上がってくることがあるので、相手からしたら厄介なところ。
仕方ないので、長崎は11エジガルへの長いボールが多めになっていきますが、ここで収まるかは五分五分。
17分の長崎。5山口が左に流れて受け手になって前進し、33笠柳が11エジガルとのワンツーからシュートまで。インテリオールの5山口、10マテウスがサイドに流れて前進を助ける形は何度かありましたが、これがチームの形なのか個人戦術なのかはよくわからず。
25分の長崎。10マテウスがロングボールを収め、左の33笠柳に展開。ワイドから走り込んだ10マテウスのシュートはロアッソの15三島がスライディングで逃れます。
ここからは長崎も、熊本のプレスで奪われる機会も多いものの熊本に攻めさせるまでは行かずに奪い返すことはでき、11エジガルと10マテウスに預けるところからチャンスを作ることが多々。ただ、熊本は帰陣が速く、前述のように6バックになったりして守備にも人数をかけることも厭わないため、狭いところをこじ開ける形になってしまう長崎。
それでもシュートまで行っちゃうので、現地で見ている分には悪くないようには見えていたんですけどね。
こじ開けられないまま後半へ。
[長崎の立ち位置の変化とインパクトメンバー]
後半からビルドアップの形を変える長崎。3関口が低い位置を取り、5山口は高い位置へ。最初に48照山がボールを持ち、3関口へ預けます。ここで前半のとおりなら48照山には15三島、3関口には19渡邉が行くんですが、18半代もそちらサイドに引っ張られ、21豊田は5山口に、10古長谷は24山田に付かなければならないので、4エドゥアルドがフリーに。マークを受け渡す間に4エドゥアルドは11エジガルへのグラウンダーの縦パスを通して前進が出来るようになっていました。3関口から7マルコスへ縦に入れて収めてから4エドゥアルドへという場面もありましたが、いずれにしてもファーストディフェンダーである18半代を長崎の右サイドに誘導することで前進し、押し込む流れが作れたと思います。
ただ、ゲームを動かしたのは皆さんご存知のように、下平隆宏監督がインパクトメンバーと呼ぶ、途中出場の選手たち。7マルコスに代えて8増山、33笠柳に代えて38松澤を投入。文字通りこの2人が逆転を演出。
62分の同点ゴール。低い位置のフリーキックから、先程からの流れで右からのビルドアップのスタート。3関口から下りてきて受けた8増山がドリブルで内側に仕掛け、10マテウスのサポートを受けて、逆サイドで待つ38松澤へ。38松澤が対面の選手のバランスをドリブルで崩し、逆サイドへのクロスを10マテウスが胸で押し込むゴール。これ、シンプルに相手ラインの裏を狙ったクロスなのも決まった要因かなと。またドリブルや細かいパスを繋いで狭いところを抜けようとしては前半と同じことになっていたと思うので。
直後の64分の逆転ゴールも8増山、38松澤から。奪ったボールを左サイドから中へのドリブルで38松澤が運び、右から斜めに入ってきて背後に走る8増山へ。8増山が頑張って落としを11エジガルが決める。これも8増山が中に入って来てシンプルに背後を狙ったのがゴールに繋がったかなと。
3点目の10マテウスのPKは熊本のミスを生かした形。
そこからは熊本がボールを持つところを前からプレスをかけて、ショートカウンターの連続でチャンスを作る長崎。ラインを上げて前線もある程度規制をかけられているので中盤で奪えていたと思います。ただ、数あるチャンスを決められなかったのは勿体なかったですね。
89分に失点して、ヒヤヒヤする状況を演出してしまう形に。この時間帯にはラインもさすがに下がってしまっていて、熊本の9大本のドリブルを許す形になり、そこを自由にさせてしまったのも大きかったかなと。低いクロスという狙いと、ゴール前での14塩浜の駆け引きもあったけども。
[あとがき]
長崎の下平監督はシーズン前に、守備の強度を上げることとブロックのラインを高くすること(長崎新聞のインタビュー)、その分攻撃は大味になるかもしれない(DAZN実況の話)と語っていたとのこと。
守備にフォーカスするとは言っても、J2の相手との関係性でも、試合展開でも、ボールを持つ機会はそれなりにあるわけで、そのときにビルドアップで嵌められずに前進する形を作れるかは一つの注目ポイントではあります。ただ、この熊本戦は開幕で浮き足だった部分もあったようですし、後半の修正もあったので、まだ何とも言えず。
一つ言えるのは、エドゥアルドがいないときは苦労するかも。
守備ブロックについては、3-1にしてからのあのラインの高さと距離感でスタートからやりたいのかもという印象を受けますが、やっぱりリードされている状況や試合終盤になると、ラインが下がってしまったり、距離感が空いてしまったりするので、そこを今後どうしていくかというのも注目していきたいと思います。
熊本は、複雑な可変をするチームというのがよくわかりましたが、一人一人の運動量と献身性に支えられたチームだなという印象です。後半のようにハイプレスに対してズレを作られた時、リードを許してハイプレスを受けた時が課題なのかなと。でも、この個性は魅力的だと思いました。
まあでも、この試合はスタジアムの雰囲気という長崎の大きなアドバンテージが左右した部分もあったように思います。実際現地にいて、言葉にならない凄い雰囲気でした。この雰囲気が味わえるならまた行きたいと思ってしまいます。
これからもたくさんのお客さんが入ってほしいですね。