「本の名は、何と言う。」
今回の公演「壊れた夜空」の中での私の台詞。相手の源氏名ではなく、本名を聞いているくだり。
いったい私たちは何なのでしょう?私たちは、巷の社会人と同じように働き、生計を立てています。寸暇を惜しんで芝居をしています。表立ってはわかりませんが、人とは違う暮らし向きをしています。
我らは自身を俳優(役者)と考えています。しかし、他の人たちはそうは見ません。身内でも、中にはそう考えていない者もいるかもしれません。しかし、事実、我らは明らかに二元生活をしています。まるで時代劇の「仕事人」が表と裏の顔を持っているみたいに(どっちが表か問題ですが)。
「好きなこと」ができるのは幸せです。しかしながら、世間の方と少しだけズレちゃってるかもしれません。
皆さんは、食べることが好きでも、ご飯を食べることを「好きなこと」と言いますか?お風呂に入ることは?顔を洗って歯を磨くことは? これは「好きなこと」なのでしょうか。我らの範疇はこれらと同じなのです。皆が皆そうだとは言いません。が、少なからず、芝居をしている輩にはそう感じている者もいるはずです。
私にとっては、芝居をするということは、生きるために食事をすることとほぼ同意なのです。これは好きなことには違いないのですが、それ以上の意味もあると思います。…ちょっと固い話になりました。 基。
もちろん楽しんでやっています。人々が人生を楽しむように。そして今、稽古も山場を迎え、皆それぞれの課題と取っ組み合っております。あきらめず最後の最後まで足掻きます。より良いものをお届けするために。幕が上がるその時まで、稽古に精進いたします。
皆様、ご期待ください!