2013年の今年使っていた自宅用カレンダーは画家丸木スマの天然・素朴系絵画を納めたよいものだった。12月は「村の夕暮れ」という山里の日没時の風景を描いている。これまた牛や山羊や人物のデフォルメぶりが楽しい。
もう一点は玄関先にかけた棟方志功の安川電機の顧客向け木版画カレンダーが一年に亘って目を楽しませてくれた。12月の締めはモノクロで図太い筆致が漲っている「熊野大崖不動明王の柵」という昭和46年の作品だ。この西国版画シリーズの好きなものを数点、額装に納めて二度楽しむのも面白いと思って過去の安川電機製志功版画シリーズを再チェックし始めているところだ。年の瀬も迫ってきた、2014年のカレンダーはどうしようかと思っているところへちょうどディスクユニオンのジャズカレンダーがやってきた。プレステッジの大名盤LPジャケット写真集である。マイルス・デイビス、スタンゲッツ、ジョージ・ウオーリントン、エルモ・ホープ、ジャッキー・マクリーン等の色褪せしない愛してきたLPが並んでいて満足度は十分に高い内容だ。好きなトロンボーン奏者ベニー・グリーンのジャケも4月用に登場していてやはりうれしい。
しかし同じカレンダーでも2008年に同じユニオンが出したものと比べるとジャズ界の景気は芳しくないのだろうか?紙の質も安っぽくてお洒落な創造意欲が減退しているような製本が残念である。2008年バージョンにはあのスエーデンジャズボーカルを代表するモニカ・ゼッタールンドが茶目っ気を発揮してコントラ・バスを弾いているとてもよいモノクロショットなどが収まっていた。おまけに紙などもマット系の重いものを使っている。2008年という時限を越えてこれなどは我がオーディオ部屋の不可欠な装飾品になっている。これを観ながらモニカ・ゼッタールンドが若いころにビル・エバンストリオを従えて歌った「サム・アザー・タイム」でも聴いているときのジャズ冥利は格別な味わいがする。
行く年のカレンダー、来る年のカレンダーについて回顧するような時期になってしまった。若い頃のマイルス・デイビスの「ミュージング・オブ・マイルス」が年初を飾る次年度版のユニオンカレンダーをめくりながら、自由業に戻る新年は、余る時間を活用してこのカレンダーに登場する懐かしいジャズ古典に大いに親しみたいと思っている。