Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

貧果のハゼ釣り

2017-10-31 14:54:57 | ラジオ亭便り
台風21号がようやく関東地方を抜けて行った。晩秋を迎えると年に2回くらいはしないと気がすまないのがハゼ釣りだ。台風一過の青空を眺めていたらハゼ釣りに出かけたくなった。旧友の青柳君と近所に住む釣り好きなGさんと誘い合わせて金沢区の沿岸に向かうことになった。

鳥浜に近い倉庫街にある汽水域の水路が最初のポイントだ。ここはGさんが大きなスズキを上げたという好印象な穴場だ。台風後の吹き返し風が強いが水色は戻っている。ここで30分ほど針を何度も下ろすが肝心のハゼの反応がない。水路の際、やや遠方と仕掛けを遠近に探り落としてみるがどうもハゼが群れている様子が見られない。どうやら今年の横浜・横須賀沿岸のハゼは不作という意見の一致になった。

それなら毎年、そこそこの釣りになっている深浦湾の田浦漁港脇へ移動しようということで河岸を変えてみる。漁船の係留している船着場の底にはエサ取り上手な小さなショウサイフグの邪魔も多いがハゼもいる。しかしここも今年のハゼの活性は低い。Gさんはミャク釣り仕掛けを浮き仕掛けに変えて色々、試しているが不調の気配だ。青柳君は見物だけだったが途中参加して立て続けに3匹をあげる。自分は漁船の脇に仕掛けを落としてやっと粘りの8匹だ。地上まで上げて取り込み中にバラシしたのが2匹という貧果だ。

近頃になって老人現象が顕著な青柳君の早退癖に応じないでせめてあと1時間位粘れば、満潮の潮止まりまでに7匹ぐらいは追加できただろうと思ってもあとの祭りである。深場に落ちる11月の初めに雪辱を期することになった。

営業日案内 休業日 11月3日・4日 平常営業日 11月2日(木)5日(日) 6日(月) 12時〜19時

野葡萄とほととぎす

2017-10-27 05:51:21 | ラジオ亭便り
台風前後の秋の長雨に辟易しながら時々座間へ戻る。店のストックLPを持ち帰ってお好み盤を聞いたり、畑地の脇を何気なく歩く小さな秋色に浸る時間である。

バイト先の廊下ギャラリーでアマチュアサークルの絵画展示があってその中に良い絵があった。ラフに描かれている油彩画だ。タイトルは「汚部屋と猫」とある。正面向きの猫が絵の中心に描かれている。周りは日用品がひしめいている。パソコン、屑入れ、ポスター、スリッパ、散らかった部屋だが嫌悪感が湧いてこない温もりが漂ってくるところがこの小品油彩画の美点だ。センターにいる猫の散らかり状態に融和した表情が笑いを呼んでくれる。

この絵を眺めていてもっと散らかっている座間の部屋を数ヶ月ぶりに清掃する気が起こった。片付けに半日を要した後、里山時代の土壌DNAが未だ残っている人家脇の空き地っぽい崖に自生している「野葡萄」「ススキ」「ほととぎす」を切ってくる。小さな花瓶に活けてようやく片付けが終わって乱雑部屋にも晩秋がやってきた。

今週の営業日 27日・28日・29日 平常営業日 但し28日土曜日のみ3時開店になります。

モノクロポストカードの空気

2017-10-16 15:02:49 | ラジオ亭便り
たまにラジオ亭に来てくれる都内からのお客さんがいる。Fさんもその一人だ。Fさんは大森付近にお住まいで都心のジャズを流すカフェをよく巡っている。映画とライブハウスの最新動向はこのFさんから教わることが多い。そのFさんが面白いお土産を持って来てくれた。

一つは新宿のジャズカフェの草分け的有名人DUGオーナーの中平穂積さんの写真展が11月11日から西荻窪の二軒のライブハウスと居酒屋で開かれるという案内のポストカードだ。ポストカードの写真はモノクロでかのジャズ史の巨匠セロニアス・モンクが店をバックに佇んでいる珍しいもの。オーナーの中平さんは1960年代に渋谷の道玄坂の中腹を右に上った百軒店という飲食街の中で「DIG」をオープンしている。この店は暫く渋谷にあったが新宿駅東口の二幸ビルの裏手に引越ししている。今でもロールキャベツを名物としている洋食店「アカシア」の入ったビルの二階にかっての「DIG」はあった。

ポストカードの写真に写ってる店が見覚えのある新宿「DIG」じゃないと思っていて眺めていたら気がついた。これが伝説的な「DIG」の渋谷店ということに。残念ながら私のジャズ喫茶徘徊は既にスタートしていたが地元の横浜がやっとで、新宿、中央沿線はもう少し後のことになる。表記によると1963年という写真でセロニアス・モンクカルテットが来日した時のものらしい。左の背後のサングラス黒人がテナーサックスで当時、モンクのアーティスティック且つ間合いの深い破調なピアノとの同調で苦労させられた形跡のあるチャーリー・ラウズその人だ。私が渋谷徘徊を始めた時期には二人の背後に見える「DIG」はロックジャンルの音楽喫茶「オスカー」の店舗に変身していた。

今は亡き妻が大学の仏文科で同級な上、とても仲良しが女学校の幼少時から死ぬ迄続いていたSさんが妻にプレゼントしてくれたレコードがあった。セロニアス・モンクカルテットの赤いジャケットのCBS盤のLPである。これを聴いて少し掠れたざらつきのあるテナーサウンドを発するチャーリー・ラウズという魅力のテナーマンを知ったことは、今振り返るととても意義深いプレゼントであったことに感謝しなければならないと思う次第である。中平穂積さんの写真展は一度、新宿駅前で拝見しているが、西荻窪の大衆酒場「サレカマネ」というオノマトペ風な珍名の店で、特に1960年代の空気や既視感を味わってきたいなと思っている。

営業日のご案内 10月20(金)21(土)22(日) 平常営業 但し21日のみ3時開店 になります。

宝船の縁起を担ぐ

2017-10-10 05:57:10 | ラジオ亭便り
ぽつりぽつりとやってくるお客さんと接客に追われていない時には雑談になることがある。夕暮れになると珈琲を飲みに現れる近所の丘に住む紳士もそんな一人だ。その方は道教や日本古代神話についてとても詳しい。政局を賑わせている 右翼女性都知事の政治家と、「西遊記」に登場する神話的動物「猪八戒」の欲得行動の類似性をさらりと語るところ等が床屋政談にありがちな庶民型ナショナリズムの域を超えていて面白い。


先日は 店の模様替えに触れた話題が 出た 時にこの紳士らしいアドバイスを貰った。模様替えを重ねて居心地を追求しても客数は相変わらずとジョーク混じりに答えていた時だ。「この前、あなたに見せて貰った棟方志功の伏見稲荷が発行した木版画があったでしょ?あれを早く額に収めてみたら!」と言う。ついでに草創期の稲荷信仰の意義や 由縁を軽く 語っても嫌味にならないのがこの紳士の上質個性だ。50年以上経って和紙も黄ばんでいる棟方志功が描いたオメデタ風物 を満載した 宝船の木版画である。円熟期の志功らしい早い鑿技が躍動している絵を改めて眺めていたら額に収める気が湧いてきた。

大正期の儚い美人画の入った額を取り替えてみる。これを店に飾って三日目。秋の好天気も起因しているのだろうが、十ヶ月も顔を現さなかった初老の婦人客が二日続きで来たり、予期しない知己へ不要家財を買って貰ったり、重量物の移動で思案しているところへ偶然現れた技術力に長けたお客さんが助けてくれたり、良き現象の続出である。伏見稲荷大社宝船の御利益だろうか?

営業日ご案内 10月12日(木)〜15日 (日) 通常営業日 12時〜19時