Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

大手毬・小手鞠・さくらんぼ

2018-04-25 21:30:22 | ラジオ亭便り
本牧通りの山手トンネルを石川町方面に抜けた商店街の道端に小さな一本だけの桜の街路樹がある。通行人が気付く程の大木ではない。ソメイヨシノよりも早い時期にピンクの濃度が濃い艶やかな花を咲かせていた。緋色桜のような早咲きの種類だ。

今この木が鈴生りのサクランボを見事に実らせている。横浜の都市部でこんなに鮮やかなサクランボをつけた街路樹にはお目にかかったことがない。一粒摘んでみたら栽培種ではないせいか酸っぱい味が優っているが、食べられないということもない。この実の艶やかで瑞々しいピンク色に魅せられてしまった。
チョッピリ枝を失敬してラジオ亭の無垢テーブルに活けてみた。

折しも山手駅の近所で仕入れてきた「大手毬」「小手鞠」と晩春を知らせる花々が土物陶器によってそれぞれの面目を発揮している。



ゼニスの真空管ラジオでモノラル再生するブダペストカルテットのコロムビア初期盤ベートーベンの弦楽四重奏でも聴きながら、愛すべき花々と好きな花器に囲まれて過ごす魅惑の宵を噛みしめているところである。
GW及び5月初旬期間営業のご案内
4月29日・5月6日・8・9・10・12・13 13時〜19時 4月30日 (祝)15時〜19時営業します。

隅田川ついでの実力派カフェ

2018-04-21 15:33:56 | ラジオ亭便り
浅草 吾妻橋付近、隅田公園の春景色&若葉萌を愛でたついでに噂を頼りに寄ってみた美味なコーヒー店が二軒。一つは自家焙煎コーヒーの伝説的老舗「CAFE BACH」この店は南千住にも近い旧名称では山谷地区にある街中のカフェだ。

店の空気は京都、三条にある「イノダコーヒー」を思い出す。本格的コーヒー専門店を司る誇りと自信が店員さんの接客動作に溢れている。頼んでみたのは「バッハブレンド」丁寧なドリップ落しを反映して苦味も酸味も香りも豊かなバランスの味である。都内では渋谷時代によく寄った「大坊コーヒー店」の味のようなコーヒー求道者的味わいはないがミーハーではない大人が飲むコーヒーである。

もう一軒は自家焙煎珈琲店「INCUS」。ここは秋葉原と御徒町の真ん中、蔵前橋通りにほど近いビジネス街の路地にあるカフェだ。この2月にオープンしたばかりの店だ。ここでもブレンドを頼んでみる。こちらはカウンター上に鎮座するサイフォンで落とすコーヒーである。ここも蔓延し尽くした感のある炭火焙煎風のコーヒーではない甘みを含んだ挽き豆の味わいに豊かな年季を感じる。


ジャズ喫茶情報で知己から知った店だが、コーヒー味覚8割、ジャズ再生2割という比重の店 だと思う。実力再生機器は全て立派そのものだが、極上のピカピカ理髪店を飾る一流調度品の趣きを出ていない印象。しかし遠方に霞むプレステッジ盤のシダー・ウオルトンの「シダー」あたりを聞いていると実力の片鱗が乱舞するところのチラリズムもこの店の禁欲的魅力だと思った。
営業ご案内 営業する日 4月22・24・29・30 13時〜19時 アイスコーヒー・アイスココア始めました。600円

ジューンベリーの花

2018-04-08 13:46:25 | ラジオ亭便り
一年間続いた隠居風バイトが三月末日をもって終わった。ラジオ亭のカフェは近隣に住むごく少数の知己、旧友が義理堅くたまに寄ってくれて辛うじて潰れないでいる二年目の春を迎えた。隠居バイトの庭ではソメイヨシノの大木が葉桜になり始め風に舞う花びらの片付けに後がまの新人が苦労している筈などと、想像しながら大きめなトヨタハイエースに乗って都市部の小道を走り回る四月陽春の毎日だ。


先日、隠居職場が終わった日にちょっと枝を折って失敬してきたジューンベリーの花がちょうどよく満開になった。この木は北米原産の樹木で庭木として人気上昇中。5月から6月にかけて食用の赤い実ができる。

もうお亡くなりになった横須賀夢窯の主宰者だった黒田千里さんが穴窯で作った大型の丹波風焼締壺にこれを挿してみた。我が無意識流生け花では稀なコーディネートと自賛する。乱雑に交錯する枝の模様と清楚な白く細い花の色調がゴツい焼締の沈んだ色合いに照応しているようだ。

新規の隠居運転バイトを終えてきてドリップコーヒーを立てながら春めいた宵に流れるBGMがないものか?とCD類を物色する。昔買って何度も紛失と購入を繰り返している大好きな一枚が目につく。

スイス人のアコーディオン、ピアノ、ヴォーカルをものしている女性ジャズプレーヤー、エルジ・ビアンキの60年代半ばの隠れ傑作「THE SWEETEST SOUND」これがいい。ドスが効いたパンチとセンシティブな情感を両立させる彼女の歌を満喫する曲が全12曲も満載されていてその中のスタンダード曲は何時も愛聴に耐える曲ばかり。

今夜はハロルド・アーレンが作ったスイングする見本のような「A Sleepin'Bee」ヘンリー・マンシーニの哀愁感溢れる「The Shadows Of Paris 」、50歳を過ぎた頃から自分における人生後期の愛聴曲に加わった悲惨な歌詞ながらメロディーの美しさで出色の「Guess Who I Saw Today」この辺の曲で春めいた宵の時間に身をまかせることにする。

営業日ご案内 4月7日 8日 14日 15日 19日 21日 各日 13時から19時