Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

梅雨さなか 近況

2017-06-26 11:10:02 | ラジオ亭便り
座間に戻らねばと思いながら梅雨空の横浜市街地で滞留している。蒸し暑くなっているので単身生活自炊メニューは麺類が増えている。月のうちの後半を毎朝、近所にある公的施設の労役仕事について三ヶ月が経った。花壇の手入れ、雑草取り、散水作業がなかなか楽しい。アシナガバチが来たら追いはらい、青筋揚羽チョウ、モンシロチョウがヒラヒラと近くに舞っていたら歓迎の声掛けをする。鈴生りのミニトマト、キウイフルーツの育ち具合を艶やかな表皮に触れて確かめるのも小さな充足感の一つだ。



汗をかいて10分程度の帰路を自転車漕ぎしながら店に戻る。こんな感じのルーティン化した日々には刺激グッズもたまには舞い込んでくる。長い間、磯子区に住むFさんのテレビ置き台となっていたアメリカの戦前製フロア型ラジオ等は近頃の刺激的大ヒット到来品である。RCA等と並ぶZENITHの真空管アンプラジオだ。木製の重厚なキャビがアメリカ東海岸文化の匂いを放っている。




昨日、本牧に住む実際は中年だが渾名は「少年」とついているラジオ回路フリークのYさんに見て貰った。どうやら凄ものらしい。使われている各種真空管の素性、使用目的について検索してもらった回路図を見ながらレクチャーを受けた。永久磁石がコーン紙の背後についていなく電極を動作させる励磁型スピーカーのラジオにしては随分と贅沢な30センチ弱のユニットが嵌められている。


重厚なフロアタイプにふさわしいものだ。もしラジオ受信部がオシャカだったら、アンプ回路にCDやアナログプレーヤーの入力部を増設しても素晴らしい音が聞こえてきそうだとは「少年」さんの診断だ。これは嬉しい、古い時代のジャズボーカルを鳴らしたい。昔、音の隠れ家で 鳴らしたマグナボックス製スピーカーのキャピトル時代のマーサ・ティルトンの声が脳裏を掠める。さっそく音が出る段取りを整理しながら今朝も用務美化バイトの3時間に自転車で向かう。



今週のご案内

6月26日〜28日 三日間お休み、乃至不定オープン。 6月29日(木)〜7月2日(日)13時〜19時 平常オープン

お知らせ 6月30日(金) 臨時休業

らっきょう漬け5キロ

2017-06-17 20:11:33 | ラジオ亭便り
店が暇なもので夜になると本牧通りのスーパーマーケットでらっきょうを物色する。今週がらっきょうの塩漬け、来週は街路樹のヤマモモの赤い実を採取、ヤマモモの実リカー漬けという計画だ。勢いが余るようなら青梅のシロップ漬けも思い描いているところだ。

らっきょうは鳥取と鹿児島産を2回に分けて買う。17日の夜半に塩漬けが終了、下拵えの蔕切り、尻尾切りは毎度の苦労だが、秋口になって飴色に輝くシャキッとした歯ごたえのらっきょうが食卓を彩ることを想像しながら無念無想で臨む。


営業ご案内 6月18日(日) 16時〜19時 6月19日(月)16時〜19時 6月20日(火)〜25日(土)12時〜19時
26日(日) 休業


「鰯雲」@阿佐ヶ谷ラピュタ

2017-06-11 20:27:33 | ラジオ亭便り
阿佐ヶ谷にあるユニークな席数50席の小映画館でかっての名匠成瀬巳喜男監督の「鰯雲」を観る。ちょうど駅北口のJR高架下にはダイヤ街という我がラジオ亭にも通じるラフな内外装が特徴の零細なカフェや個性酒房が結構な数で軒を連ねている一角がある。帰りはここに寄ることにする。


成瀬巳喜男監督の初カラー化作品は1958年の製作でタイトル字幕を見ていると、音楽は既にステレオ録音が採用されている。ストーリーは神奈川のかっての農村部厚木が舞台だ。現地ロケになる映画ということで、厚木の近在や愛甲郡半原等の往時の神奈川山村風景を眺めたいという願いがようやく叶った。没落気味な中農一族の戦後的心性と土地経済の改変模様がテーマだ。のちに核家族化は日本の大きな問題になるが、それを予兆する映画でもある。これに成瀬風メロドラマ的淡彩模様を添えるのが中農一族の分家を健気に支える戦争未亡人役の淡島千景と新聞記者役の木村功という当時の躍進スターである。

自分に照らしてこの映画を観ると、中村鴈治郎と清川虹子が夫婦を演ずる中農一家には小学上級生くらいの子がいる。その子くらいの都市型下層庶民の子が当時の自分だったという感慨に耽りながら映画を観る。分家の姑役、飯田蝶子、別分家の嫁役、賀原夏子、その娘役、水野久美、中農一家の長男、小林桂樹、嫁候補、司葉子、その未亡人母親、杉村春子、壮年事業家の遣手2号さん、新珠三千代、農協中間職員、加藤大介、若年期によく見た娯楽映画のお馴染み俳優なので顔と演技挙措がすぐに蘇ってきて楽しい。但し子供時代にみていたら活劇要素は希薄で、農村的四季の流れと心の風景はとても理解ができなかっただろう。年は取るものだと映画を観ながら思った。


農業が割に合わない時代になりつつある時の保守的家意識に固執する当主の滑稽的苦渋を中村鴈治郎が力演している。一家の跡取りで結婚をまじかに控える小林桂樹が 婚約者の司葉子とつましい新生活を柔和に指向するシーンにも戦後的清新を感じる。小林桂樹が町場へ短期間出稼ぎに出る。下宿先の部屋でカーテン生地を手縫いする嫁候補、司葉子の横顔シーンが現れる。とても良いシーンで成瀬映画はそうした微細な叙情視線の集積で成り立っていると感じる。

やはり幼少時の既視感に登場する生活事物はふんだんである。マツダのオート三輪、小林桂樹の農作業前掛けに印刷された「品川練炭」のロゴマーク、半原の在へ嫁取り話に出かける淡島千景のカップルが乗車するボンネットバスは「神奈川中央交通」だ。それらもカラー彩色の面目躍如だが、ことに旬の美を滴らせているアップシーンにおける淡島千景の額や首筋、颯爽とした背姿の映えた新珠美千代女将のうなじなどにも、その余得は十分に伝わっている。

映画鑑賞の後はダイヤ街「黒猫茶房」でカレー昼食して付近を散策する。
今週のご案内
6月12日(月)13時〜19時 平常営業 6月13日(火)13時〜19時 平常営業 6月14日(水)休業
6月15日(木)〜18日(日) 13時〜19時 平常営業

夏近し

2017-06-03 08:46:51 | ラジオ亭便り
横浜の街中にいる機会が多くなってきた。やはり海が近いせいか吹き寄せる風の向きがよく変わる。朝方は東の方から冷涼な風が吹いてきて昼を過ぎると南風が強くなる。そうした風向きを感じているうちに梅雨入りもまじかな芒種の時候を迎え夏はすぐそこ。来店者総計が3人から6人を行ったり来たりしている超低迷がGWから続いていて気分は常に曇天模様である。


しかし夏もそこまできているのだから店の献立、レイアウト、身の周りはそれなりの更新を重ねている。5月半ばから試行錯誤しているアイスコーヒーは紙パックに入っている平塚の「モリヤマ乳業」製の有機栽培コーヒー豆をネルドリップ抽出したものに決めた。これを一昨年の知多半島巡りした時に常滑の古道具屋兼カフェで譲って頂いたグラスカップを使っている。ノリタケが昔作ったゴツくて分厚い緑色の大型美品だ。よく冷えたコーヒーを注いで氷が味を薄めない工夫をしないといけないが、グラスの肌から覗く琥珀色の液体はなかなかよい景色になっている。




これを試飲しながら山元町の露天アウトレットに転がっていた牛革サンダルの購入品を矯めつ眇めつしている。BGMは曇天を拭う気分のアート・ペッパーあたりだ。CD発売時にアラジンセッションの未収録曲として追加された威勢と覇気と霊感に満ちている「魅惑のリズム」「ビギン・ザ・ビギン」。ドトーン盤「リラの雨」などで愛好ピアニストの一人に加わったカール・パーキンスだがこの別テイクでもペッパーとの彩りに満ちたソロの交換に魅了される。大きなボリウムで流し終えて大通り側のドアを開けてみたらやはり強い南風が吹寄せてきた。


営業ご案内 6月4日(日)休業日 6月5日(月)〜6月10日(土) 12時〜19時 平常営業 6月11日(日)休業日