10月27日の綜合芸術茶房「喫茶茶会記」での「zorzo BERGam」スピーカー二種の比較試聴会が無事に終わった。スピーカーが部屋の影響を受けるというオーディオ再生の基本問題をまたもや痛感する。去年、日向薬師から座間に移ったときのデッカコーナー型スピーカーの生彩を欠いた激変ぶりというレベルほどではないが、同一ソースで比較してみると山田さんの部屋で試聴してきたいつものトランジェント特性に優れた音が迸る解像力は少し薄らいでしまった気もする。聴取者の数、部屋の構造、エアボリウム、全てが作用した結果の音である。しかし好評意見が多かった小型スピーカーをさらにデザイン面で磨いて市販化も見えてきたのだから、山田教授にとってはよいきっかけのイベントにはなったのだと思う。ガラス版大型スピーカーは最適条件を煮詰めている山田教授の部屋で、少数精鋭的に聞くことが理に叶っていることだと思った。ちょうどそのイベント日を境にして、一年半続いた夜勤暮らしが終わった。少しだけの昼間都心生活が復活してこの一週間は和みに満ちた晩秋模様を楽しんでいる。
お昼には近所に民芸館もある駒場公園の閑寂も3分という至近の距離で味わえる。この公園の最大美点は遊具の類が少ないことだ。端っこに幼児用のブランコがあるだけだから、大人は静かな安息の時間を過ごすことができる。素っ気無い野原を囲む欅、松、楠木の鬱蒼とした木立、その隙間を透過する光りも微風もよい調合の具合である。
そこの一角で座間「池久」のパンを昼食弁当にしたり、神保町の古本祭りにも出かける。下北沢の町をゆっくり徘徊して北沢の住宅街を歩いて東北沢へ戻ったり、目の前で停車する100円の「ハチ公」バスで渋谷にも出かけてみる。大昔、訪ねたことがある渋谷西原に近い教育大農学部があった場所は今、整備されたスポーツセンター、総合老人施設になっていて当時の面影は敷地の輪郭くらいしか甦ってこなかった。