小学生のころ、夕方が嫌いだった。
今まで明るかった外がだんだんと暗くなる。
なんだかどんどん寂しくなる。
そんなとき、台所で母と話した。
でも、いつからか暮れてゆく世界を確かめるように、
自転車で集合住宅の裏の山に登るようになった。
だんだんとはるか遠くの山の向こうから
どんどんと暗闇は攻めてくる。
反対側では、太陽がもう苦しそうに真っ赤になって
最後の輝きで坂になった集合住宅をやさしく照らしている。
太陽が山の端に隠れる・・・
暗くなってゆく。
もはや、太陽の力が及ばなくなった家々に
徐々に明かりがつき始める。
その様子を、たった一人裏山から見ていた。
あの明かりの下にそれぞれの生活があり、
それぞれの人がそれぞれの思いを抱いて生きているのだと、
少年の心は少し安らかになって、
飽きることなく暗闇に浮かぶ星にも似た人々の輝きを見ていた。
それは誰にも邪魔されない世界。
静寂と安らかな心の王国がそこにはあった。
それは小さな世界。
全てが満たされた、ゆっくりとした完全な時空だった。
今まで明るかった外がだんだんと暗くなる。
なんだかどんどん寂しくなる。
そんなとき、台所で母と話した。
でも、いつからか暮れてゆく世界を確かめるように、
自転車で集合住宅の裏の山に登るようになった。
だんだんとはるか遠くの山の向こうから
どんどんと暗闇は攻めてくる。
反対側では、太陽がもう苦しそうに真っ赤になって
最後の輝きで坂になった集合住宅をやさしく照らしている。
太陽が山の端に隠れる・・・
暗くなってゆく。
もはや、太陽の力が及ばなくなった家々に
徐々に明かりがつき始める。
その様子を、たった一人裏山から見ていた。
あの明かりの下にそれぞれの生活があり、
それぞれの人がそれぞれの思いを抱いて生きているのだと、
少年の心は少し安らかになって、
飽きることなく暗闇に浮かぶ星にも似た人々の輝きを見ていた。
それは誰にも邪魔されない世界。
静寂と安らかな心の王国がそこにはあった。
それは小さな世界。
全てが満たされた、ゆっくりとした完全な時空だった。