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いつかあの青空の心に

少年のころ見上げた、あの青い空。澄み切ったあの空のような心になりたいと願った。その心に近づいているのだろうか・・・

裏山から見えたもの(ちいさな世界1)

2004年09月11日 | 考える
小学生のころ、夕方が嫌いだった。
今まで明るかった外がだんだんと暗くなる。
なんだかどんどん寂しくなる。
そんなとき、台所で母と話した。

でも、いつからか暮れてゆく世界を確かめるように、
自転車で集合住宅の裏の山に登るようになった。

だんだんとはるか遠くの山の向こうから
どんどんと暗闇は攻めてくる。
反対側では、太陽がもう苦しそうに真っ赤になって
最後の輝きで坂になった集合住宅をやさしく照らしている。

太陽が山の端に隠れる・・・
暗くなってゆく。

もはや、太陽の力が及ばなくなった家々に
徐々に明かりがつき始める。

その様子を、たった一人裏山から見ていた。

あの明かりの下にそれぞれの生活があり、
それぞれの人がそれぞれの思いを抱いて生きているのだと、
少年の心は少し安らかになって、
飽きることなく暗闇に浮かぶ星にも似た人々の輝きを見ていた。

それは誰にも邪魔されない世界。
静寂と安らかな心の王国がそこにはあった。

それは小さな世界。
全てが満たされた、ゆっくりとした完全な時空だった。
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