老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

福島原発事故処理費用と原発の発電コストの虚構について その①  ~事故処理費用~

2017年05月07日 20時43分37秒 | 原発関係
(いよいよ今日でゴールデンウィークも終りですが、私もここしばらくは大好きな花を追い掛けての記事が多くなり、一方で少しストレスも溜まっていましたので、久しぶりに原発関係の話題に方向転換です。)

 公益社団法人 日本経済研究センター(略称JCER)が、3月7日付で、首記に関する興味深い報告を発表していますので、抜粋して見ました。

◆福島第1原発事故の処理費用について
・政府は当初予想を約11兆円としていたのを、昨年末に約22兆円と倍増させました。
しかし、JCERの試算では、下記のように最新の政府見通しを遥かに上回る約50~70兆円となり、しかもこれは廃炉処理ができた場合で、できなければ更に増大するとしています。

             (政府予想)        (JCER試算)
            当初  昨年の見直し     ①    ②
廃炉・汚染水処理     2    8      32   11
賠償           5    8       8    8.3
除染           4    6      30   30
合計          11   22      70   49.3
(単位:兆円)


・最大の問題は除染費用で、最終処分方法が折り込まれておらず、六ヶ所村の低レベル放射性廃棄物処理と同様に処理すると、処理費用は経産省の6兆円の見積もりから、5倍近い30兆円になるとしています。

 同様に汚染水処理もトリチウムを含めて処理する場合は4倍の32兆円となるとしています。
仮に、汚染水処理について、トリチウム含有のまま海洋放出すれば、費用は11兆円まで下がるが、その場合の漁業関係者への補償は40年継続した場合で3000億円と推計される。
(※ これに伴う海水の汚染に伴う水産資源などへの影響については、この報告書では触れられていません)


・また、同報告書では事故処理費用の負担方法についても、疑問を呈しています。
政府は予想処理費用22兆円の内、国民負担として2.4兆円を電気料金に上乗せすることを法改正ではなく、閣議決定で決めている。残りのうち16兆円分は東電の収益と、政府が保有する東電株売却益で対応、さらに除染は2兆円分を国費や他の電力等で分担するなどとしています。
しかし、東電が負担すべき16兆円について、電力小売自由化の市場下では容易ではなく、その場合、政府が予定している株売却も不可能と指摘。そうなると、仮に処理費用が経産省試算通りの22兆円の場合でも、国民負担は増大するとしています。


・そして、最大の問題は、これらの試算は「福島原発の廃炉ができる」ことを前提にしていることで、現実には事故原発の内部がどうなっているかも把握できていない。
最悪の場合、廃炉出来ずにチェルノブイリ原発のように「石棺」化して、永久管理せざるを得ないケースも想定されるとし、その場合は、永久管理費用や、帰還させた住民への新たな賠償や移住問題などが必要として、処理費用がさらに増大するとの見方を示しています。(まさ)