夜の散歩。
懐中電灯だけでは、シャンクスを見失う。
ひとしきり歩く。
「シャン‥シャンクス、シャンクスゥゥゥ‥」
はぅ、はっはっはっ。駆け寄ってくる気配がする。
暗闇の中を歩く。
闇の暗さよりも真っ黒いワンコと、雪だるまの様に着ぶくれした私。
狸やモグラ。
「ワオゥ~ン」夜に吠えるシャンクス。
時折気配を失う。声を荒げて呼ぶ。
傍らが温かい。大きな身体を寄せてすり寄ってくる。
こんな事を何度か繰り返し、「さぁ、おうちいくよ」
はっはっはっ‥「冷えてきたねぇ」
小熊の様に大きな身体。
光っている可愛い…瞳。
小走りでついてくる。
「シャンクス、走るよ 」
はっはっはっはっ‥。
そうか、いないんだ。
暗闇が頷いた。
「大好きなシャンクス」
永遠に‥いなくなった。
斎場の煙が空にのぼる。
長い一週間が過ぎた。