素振りブログ。

一般でスピーチできる話の素振りのはずなのに、無理な話がほとんどのブログ。

パラサイトネタバレ込み感想

2020年02月11日 00時08分08秒 | 日記
毎週月曜日はワーナーマイカルの1100円均一デーなのよね。
というわけで、観てきたのですが。パラサイト。

面白かったですわ。
コメディ要素と格差社会という重いテーマの共存。

立地条件最悪物件に住むある貧困層一家が主人公の物語なんですけど。
それがひょんなことから、IT企業を経営している富裕層の一家と関りを持ち(長男が家庭教師の職を紹介された)口八丁と策略を巡らせて富裕層一家が抱えている使用人のポジションを乗っ取っていく。
父は運転手、母は家政婦、妹は息子の美術の家庭教師兼子守り。
で、富裕層一家が使用人に払っていたお金を残らず一家でウマウマし、ニコニコ顔になるのですが

実はこの富裕層一家に寄生しているのは彼らだけでは無かった。

富裕層の屋敷には屋敷の主も知らない秘密の地下室があり、そこに人が隠れ住んでいた。
(何故富裕層一家がその地下室を知らないのかというと、実は中古で買ったから)

で、それがある日発覚し、争いになる。
富裕層一家に寄生するのは俺たちだけでいい、とばかりに。

寄生の旨味を分け合おうって言っても別に問題ないはずなんですよ。
追加される寄生住人はたった二人だから。(前の家政婦だった女の旦那。そして元家政婦本人)
その発想が出ないのな。

それが「持たざるもの」の悲しさか。
他人と分け合ってきたことが無いから、思いつきもしない。
いやむしろ、分け合う=乗っ取りの前振り、と思っているのか。
だから「うん、そうしよう」って言えないのか。言ったら後で全部取られると思ってるから。

でも、そういう姿勢が貧困から抜け出せない理由でもあるんだよな。
全部が全部じゃないんだけどさ。
分け合わないから仲間を作れず助け合うこともできず、結果、貧しい境遇のまんま。

じゃあ仲良く助け合っていれば貧困から抜け出せるの?
そりゃ、違うけど。
原因はそれだけじゃないから。

卵が先か鶏が先か。
そんな言葉が脳裏によぎりましたわ。

他にも細かい計画性の無さなんかも随所に出てて。
「何でそうなるんだ!」ってのが喜劇なんですが悲しさもあるという。


そして、貧困層一家2つに寄生されていた富裕層の一家。

彼ら、良い人たちなのよ。
優しいし。

金を持ってるから傲慢なんだろうとか思いがちだけど、そうじゃない。

劇中で貧困一家の母が言うのですが「彼らが優しいのは裕福だからだ」「金は心の皺を伸ばすアイロンだ」

貧乏人を嘲笑って優越感に浸ったり、金を見せつけたりもしない。

でも、彼らは自分たちの生活を「普通の事」って思ってる。
それが普通じゃ無いんだということを理解できないのね。
で、そんな無理解が、無意識の差別となって表れる。

貧困層一家に「彼ら、よく働いてくれるけど、なんか地下鉄みたいな変な臭いがするな」だとか。
貧困層一家が家に住めなくなるような豪雨が降ったのに「昨日雨が降ってくれて助かったわ」(今日が晴れたから)と悪気なく言ったりとか。
夫婦でいたすときに、奥さんに旦那が「あの安物のパンツを穿いてみてくれ。きっと興奮する」だとか。(貧困層一家が、元々の一家の運転手をハメて退職に追い込むために使用した、一家の妹のパンツ)
特にパンツのくだりは傍で聞いてる貧困層一家の心情思うと、惨めさが伝わってきて悲しかったなぁ。
あぁ、俺らの日常は、富裕層一家ではセックスのプレイのいちシチュエーションぐらいのもので、夫婦のセックスのスパイスくらいの価値しか無いんだな、ってのが。

で、最後の最後、耐えきれなくなってそれが大きな悲劇を起こすんですけど。

誰が悪かったんだろうね?
誰も悪くないと思うよ。

そうとしか言えないですね。


テンポも良かったし、役者の演技も良かったし。
面白い映画でしたわ。