12月1日のサイエンスZERO。
脂肪は敵のように思いますが、内蔵脂肪は良くないですが、皮下脂肪は役に立つようです。
脂肪を目の敵にするなかれ。
少し太めの方が長生きするということですが、脂肪はいらないものではなさそうです。
乳がんの手術痕に脂肪のスーパー細胞を注入すると、元の形に。
これなら、手術痕に悩む人にも朗報。
鳥取大学付属病院 中山敏准教授が開発。ASCというスーパー細胞。
去年から臨床、5人に。お腹の脂肪細胞から抽出。
ASCと脂肪を入れるのですが、通常 免疫細胞マクロファージが異物として判断して攻撃するのですが、ASCがサイトカインというたんぱく質を放出して、私たちは敵じゃないというメッセージを出して、マクロファージの攻撃を止めます。
普通、脂肪には血管がないので消滅していきますが、ASCが血管新生因子を出して、ASCのある場所に血管が伸びていき、酸素や栄養を運んでくれるようになって生き延びます。
何と凄い。
今、安全性を検証するために臨床がされていますが、5年以内に実現できるようにしたいそうです。
肝臓に病気のあるねずみの尻尾にスーパー細胞を注入すると、肝臓の悪いところに集まって治してくれる。尿失禁、アルツハイマー、肝臓病などにも期待ができるようで。
尿疾患では、衰えた筋肉をASCを注入して改善させます。10人中8人が改善、1人が完全に良くなったということです。筋肉に変わる。
ASCは、脂肪由来の幹細胞で、iPsと違うのは、誰でも自然に持っている細胞であるということです。
ASCはiPsのように万能ではないけれど、脂肪、骨、筋肉、軟骨、肝臓の限られた細胞に分化する。損傷した細胞を修復する、細胞を保護する様々な能力がある。
今のところ癌を起こしたという報告は、ありません。自然に持っているものだからでしょう。
骨髄細胞を上回るメリットがたくさんあります。
骨髄に比べ、脂肪吸引で取り出すのが簡単で、骨髄の1000倍の幹細胞が取れる。
疾患部分を探り当てて、修復してくれる。患部からSOSが出されていて、血管の中を行って患部を探り出して血管から患部に出て、サイトカインを放出(細胞の修復と再生を助ける)して治してくれる、凄い能力があるのです。
炎症を抑えるサイトカインの量は、骨髄の5~10倍、肝臓の障害を治すのは6倍という。
エクソソーム(内部に遺伝情報を伝えるRNAやタンパク質)がぎっしり詰まっていて、これが、アルツハイマー病を治してくれるそうです。
ASCのエクソソームには、アミロイドベータを分解する酵素を運ぶということが分かりました。
iPsに比べて、酵素活性が非常に高くて、8倍ぐらいか。
アルツハイマー、腎臓病、脳梗塞、パーキンソン、歯周病、糖尿病、脊髄損傷、肝臓病、がんなど様々な病気に有効だということが、分かってきました。
ある程度脂肪を持っていることが、大事。皮下脂肪はある程度いいですが、内臓脂肪は悪い働きをします。
国の指針を通さず、十分な設備もないままASCでの治療をしようとするクリニックがあるので、注意をしてください。
有効性や安全性をまだまだ検証していかなければいけないので、実用化が待たれます。
実用化されれば、たくさんの人達が救われることでしょう。