http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40603
2014年10月06日(月)
「老後破産」200万人の衝撃第1部 普通のサラリーマン」だった私は、定年からたった10年で破産した 70過ぎて、食うモノに困るとは……
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「少子高齢化が進み、年金の給付水準を引き下げざるを得ない一方、医療や介護の負担は重くなっています。自分の年金だけを頼りに暮らしている独り暮らしの高齢者の中には、崖っぷちでとどまっていた人たちが、崖から転げ落ちてしまう、いわば『老後破産』ともいえる深刻な状況が拡がっています」
いったい破産世帯はどれくらい存在するのか。河合克義明治学院大教授が語る。
「私たちが実施した東京都港区と山形県における調査では、生活保護基準よりも低年収である高齢世帯の割合がどちらも56%と、高齢世帯のほぼ半数にのぼることがわかっています。現在、一人暮らしの高齢世帯はおよそ600万人。推定で300万人が低年収世帯と言ってよいでしょう」
そこから、生活保護を受給している高齢世帯を差し引いた、200万以上もの人々が老後破産の状態にあると推定される。日本全国で65歳以上の高齢者の数は3200万人。およそ16人に1人が老後破産の状態にあり、独居高齢者に限れば3人に1人にも上る。
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当然、中小企業のサラリーマンはもっと危険で、年金収入のみに頼る状態では、いわば薄氷の上を歩いているようなものです。親の介護や子どもの就職失敗など想定外の出来事で、当初の予定が容易に崩壊するからです」
多くの人は、何をきっかけに破産に追い込まれるのか。まず直面するのが、自身の健康問題だ。西垣千春神戸学院大教授が解説する。
「高齢者にとって、健康問題は避けることはできません。それまで元気でも急にひとりで動けなくなる人もいますし、90歳を超えるとおよそ半数が認知症になると言われています。
家族と離れて暮らしていれば、健康の変化がなかなかわからない。そのため、周りの人が気づいたときには、破産に至っていたというケースは決して少なくありません」