年齢によって違うとか、人によって違うとか掲載したことがありましたが、今言われているサマータイムなんて駄目ですね。
ツイートから
高校生になると、生理的な仕組みで体内時計が2時間近く後ろにズレる子が多発する。朝起きられなくなり遅刻不登校の要因となる。アメリカの高校の一部では「スクールスタートレイター」という始業時間を1〜2時間遅らせる仕組みを導入し遅刻不登校を減らしている。安易な寝坊説教はいけない。
https://keikenchi.com/forefront-of-sleep-research
オレキシン
睡眠に関する研究を飛躍的に進めるキッカケとなった「オレキシン」とはどのような物質なのでしょうか。
オレキシンとは、ドーパミンなどと同じ、脳内に信号を伝える神経伝達物質で、睡眠に深く関わっていることがわかっています。
オレキシンが分泌されるのは脳の視床下部という部分です。
神経細胞から分泌されたオレキシンは「起きろ」と覚醒の信号を出します。その受け皿であるオレキシン受容体にはまることではじめて覚醒の信号が伝わります。
いわば鍵と鍵穴の関係です。
脳には覚醒をつかさどる「覚醒中枢」と睡眠をつかさどる「睡眠中枢」があります。
オレキシンの分泌が高まると、覚醒中枢が活性化。すると覚醒物質が脳全体に広がり覚醒状態が作られます。
一方オレキシンの分泌が足りないと、覚醒中枢の働きが抑えられ睡眠中枢の働きが強まります。
これより眠りが誘導されるのです。
オレキシンの量が多いと覚醒、少ないと睡眠、このシーソーの傾きを決める大本の物質がオレキシンなのです。
次世代の睡眠薬
夜中に何度も目が覚める。という、不眠症状を訴える人が5人で1人もいる日本。
そんな中、次世代の睡眠薬かオレキシンの研究から開発されました。
それが、「スボレキサント」です。
従来の睡眠薬は、脳全体の興奮を抑えることで眠りを誘います。一方、「スボレキサント」は、オレキシンが入るはずのオレキシン受容体を塞ぎ、鍵穴をブロック。オレキシンによる覚醒の信号が伝わらないようにします。
「スボレキサント」は睡眠覚醒のメカニズムそのものに作用する薬なので、自然な眠りが促されるのです。
一方、これまで特効薬のなかった、過眠症「ナルコレプシー」の治療薬の開発もスタートしています。
ナルコレプシーとは、オレキシンの欠乏により覚醒状態を維持できず、突如睡眠状態に陥ってしまう病気です。
オレキシンの代役を作ることにより、オレキシンと同様に覚醒信号をを出せる物質を作り出そうというのです。
そして、オレキシンと同様の働きをする化合物が発見されました。それが「YNT185」。2016年現在まだ実用化されていませんが、睡眠をコントロールできる時代ががやってくるかもしれません。
どうして人は眠るのか
人に限らず全ての動物は眠ります。ところが、「なぜ人は眠るのか」という問いに、満足のいく回答はまだ得られていません。
睡眠というのは、進化論的に言えばすごくリスキーな状態です。
なぜなら、睡眠は我々が健康な状態で唯一意識がなくなる状態です。生産的なこともできないし、外敵から身を守ることもできません。
睡眠には、そのリスクを補ってあまりある利益があるはずなのですが、納得のいく説明はできていない状態なのです。
オレキシンの発見をきっかけに、眠りの全容が解明されると思われましたが、そう簡単にはいかないようです。
オレキシンが睡眠覚醒のスイッチになっている事はわかりましたが、オレキシンの分泌量を決めるものは何なのか全く解明されていないのです。
睡眠の鍵は遺伝子
眠気、体内時計、睡眠量、睡眠の質など、仕組みが何も分かってないものが、まだまだ山ほどあります。
これらの謎を解明する糸口として期待されてるのが遺伝子です。
遺伝子を調べることで、睡眠にまつわる様々な現象の仕組みを解明できると考えられています。
遺伝子を調べれば、「あなたの最適な睡眠時間は何時間です」と言える時代がくる可能性もあるのです。
時計遺伝子
私たちの体には、地球の自転に合わせて24時間を刻む「体内時計」があります。私達の体を構成するすべての細胞に体内時計が備わっていて、その時を増しているのが「時計遺伝子」です。
この「時計遺伝子」に注目して、睡眠を改善しようという新たな医療技術が開発されつつあります。
時計遺伝子は、睡眠と覚醒の周期だけでなく、ホルモン分泌や心拍数までも決めています。
そして、この時計遺伝子を利用して、体内時計の周期を簡単に測る手法が開発されました。
必要なのはわずかな皮膚細胞だけ。この細胞を調べるだけで体内時計の周期を導くことができるのです。
一人一人の体内時計の周期を測れるという事は、その人の睡眠障害、リズム障害の原因を精密に診断することができるということです。
治療法や治療期間など、その人に合ったオーダーメイド医療が期待されています。
中学生・高校生は早起きさせてはいけない
体内時計は年齢によって変わります。
10代20代では、1、2時間ぐらい遅れます。つまり、いくら朝早く起きても、結局夜に寝られないので睡眠不足になってしまうのです。
慢性的な睡眠不足は、脳のパフォーマンス低下を引き起こします。
アメリカでは、「スタート・スクール・レイター」という始業時間を1時間から2時間遅らせる運動がかなり成功していて、この運動を取り入れた学校では平均的な成績が上がるなどの成果を出しています。
小学生は早起きをさせて良いのですが、体内時計がずれる中学生・高校生は1〜2時間起きるのを遅らせるべきなのです。