Tokyo Walker

諸事探訪

M645のレンズのこと

2014年07月27日 17時58分17秒 | カメラ

 M645には当初から15本のSEKOR Cシリーズ交換レンズが用意されている。その後のNタイプを加えて、新旧合わせて全30種類に及ぶ。この充実したレンズ体系はセミ版としてはとても珍しいことらしい。そんな中でも、45mm、55mm、70mm、80mm、110mm、150mmの6本は最も使用されるレンズであろうと思う。
35mm版の画角(対角)比で、およそ
(M645)→ (35mm)
 45mm → 28mm
 55mm → 34mm
 70mm → 44mm
 80mm → 50mm
 110mm → 70mm
150mm  → 94mm くらいに相当する。

 そしてそのレンズの明るさはレンズを交換しても違和感が無いようにF2.8に統一されているから素晴らしい。しかも、80mmは時と場所、被写体によって、その魅力を最大限に引き出すことができるようにF2.8、F1.9の二種類を用意している訳だから言うことはない。何も最初からすべて用意する必要は無いけれども、最も自分の写真作りに合った1本を選択することができるというのは実に素晴らしいことだと思う。

45mm
 F2.8はちょっときつい広角で、被写界深度が深いことを利用して動きの早いスナップに向く。像が歪むものの接近にも強い。最短距離はフィッシュアイに次ぐ45cmである。勿論、広さを感じさせる風景にも使える。遠近感を強調するレンズである。パンフォーカスで撮るならこれ以上最適なレンズはないだろう。

55mm
 F2.8は標準レンズ(広角系)ということで最も無難なレンズ。あまりきつい広角でもなく、かと言ってストレート(80mm)ではちょっと不足なとき、無理のない画角を提供してくれる。45mmと同じ最短距離であり接近にも強い。シャッターチャンスの少ないスナップに向いている。

70mm
 F2.8は、これはまたあまり見掛けない珍品で、レンズにシャッターが付いているものである。詳細は判らないが、本体のシャッターはBにして開いておき、レンズのシャッターの方で開閉するというような操作になるのだろうか。X接点が付いているので全速でストロボとシンクロする。勿論、シリーズ中最も静音かつ低振動であるに違いない。連動してミラーUPを行う機能までは付いていないと思うが、何とも変わったレンズである。是非、このレンズを使って撮影した蘊蓄を聞いてみたいものだが、何しろレンズが稀少過ぎると見えて、そんな話はなかなか聞こえてこないのが残念だ。このレンズにはシャッター無しのタイプ(E)もある。大きさは80mmとそっくりなのだが、レンズの構成はFront Lens unitがちょっと異なる。80mmとは似て否なるレンズなのである。

80mm
 F2.8はSEKOR Cシリーズ中最も軽量でコンパクト。人が目で見たときに最も近似的な視野角で自然な感じがする。さらに何と言っても、Bodyに実装してみて「最もバランス良く恰好良い」レンズでもある。同じ80mmでF1.9というものもあるが、多少薄暗い所でもピント合わせが楽で、シャッター速度を下げずに済み、ボケ味も奇麗に、という場合はこれに限る。SEKOR Cシリーズ中最も明るいレンズである。おそらくメーカーとしては最も渾身力作の一本であるに違いない。その他、接写用のマクロ(F4)はこの80mmの中に用意されている。

110mm
 F2.8は焦点距離と言い、明るさと言い、明らかにポートレートを意識したレンズだと思う。アップでもちょっと引いても自然なイメージが保てるレンズである。

150mm
 F2.8はシリーズ中最も優れたレンズとして定評がある。ポートレートにも使えるし、なによりこの明るさ故に中望遠として手持ちで使える限界レンズである。明るさ故の後ろボケ、前ボケもすばらしいものがあるらしい。SEKOR Cシリーズ中の最高傑作とも言われている。そのほかにF3.5、F4もあり、Userが求める被写体によって適切なレンズを使用するという考え方に微塵の妥協もない。

 こうして、SEKOR Cシリーズを眺めてみると何だかレンズ開発者の(こうでなければならないという)心意気、意気込み、熱い思いのようなものが感じられる。やはりここは、この魅力あるレンズ体系を構成し、具体化して残してくれた間宮精一さんに感謝したいと思うのである。勿論、出資の菅原恒二郎さんにも感謝!


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