通常、フィルムを入れて撮影できる状態でシャッターを切ることはどんなカメラでも出来ることである。しかし、動作確認のために空シャッターを切るということも別段珍しいことではない。しかしM645では「ムービングコイル式電子シャッター」であるためか、これが意外に難しい。 M645を入手してすぐ、巻き上げてシャッターチャージ、シャッターを切ろうとするとロックされてどうにも動かなかった。この時、電池は入っていない。電池を入れてから動くようになったものの、この一連の現象は取説に載っていない。これは本体の不調なのか、それとも最初からこのような動作なのだろうか。
動作確認の方法として、取説(16p)では
◎電池を入れて、
多重露光切り替えSWをMultiにする/シャッターダイヤルを◎以外の所に合わせる/巻き上げクランクを止まるまで巻き上げる/シャッターを切る・・・・ということになっている。
確かにこれは、説明の通りである。
注意喚起の所に
◎電池を入れないでシャッターを切ると、
ミラーが上がったままになり、像が見えなくなる。Battery Checkボタンを深く押すと戻る。
先ず最初に電池を外す。巻き上げてシャッターをチャージし、1/250でシャッターを切る。確かに「ミラーが上がったままになり、像が見えなくなる。Battery Checkボタンを深く押すと戻る」であった。電池を外したまま「巻き上げてチャージ、シャッターを切る」を数回繰り返したが、同じように動作した。当初の、何回やっても「シャッターはChargeされた状態のままで、空シャッターを切ることが出来ない。ミラーは上がらなかったので、像が見えなくなるという事もない」という現象は起きなかった。
電池を外したままで
◎ ◎印でシャッターを切ると、 ミラーが上がったままになり、像が見えなくなる。シャッターダイヤルを◎印以外の所に回すと、もとに戻る。
電池が無いときは、確かに「ミラーが上がったままになり、像が見えなくなる」が、「シャッターダイヤルを◎印以外の所に回すと、もとに戻る」ということは無かった。シャッターダイヤルの位置に関係なく「Battery Checkボタンを深く押すと戻る」のである。確認してみたが、これは電池を入れてある場合の話しで、確かにシャッターダイヤルを◎印以外の所に回した時点でシャッターが閉じてミラーが元に戻る。
また、取説(22p)では
◎電池が完全に無くなると、シャッターは開いたまま閉じなくなります。この時はBattery Check ボタンを深く押すと戻ります。
即ち、電池容量が不足のままシャッターを切ると、そのうち開いたまま(B)になるらしい。これは、電池を入れずに「シャッターチャージ、シャッターを切る」という操作をしたときと同じである。 どうも、ムービングコイル式はかなり省エネのようで、一度電池を入れてコンデンサBにチャージされると、チャージされたコンデンサBの電気量が空になるまで相当の回数シャッターを切ることが出来るようだ。但し、ミラーが上がっている時シャッターは開いたままであり、ミラーの戻しはやはり「Battery Check ボタンを深く押す」が必要なのだが。
長時間露出撮影
これには二つの方法がある。
◎シャッタースピードダイヤルをBにして、ロック付きケーブルレリーズを使ってシャッターを切り、所定の時間ロックしておく。所定の時間が来たらケーブルレリーズのロックを解除する。これはどのカメラでも出来る昔から行われている方法である。
M645ならではの変わった方法として
◎電池を外して、シャッターを切ると(ミラーが上がって)シャッターが開いたままになる。(シャッタースピードダイヤルの位置はどこでも可)この動作を利用して、所定の時間が来たら、Battery Checkボタンを深く押してシャッターを閉じる。・・・というのである。
なるほど確かにその通りであった。
しかし、当初
電池を実装せずに、巻き上げるとシャッターチャージされる。巻き上げ完了後は、巻き上げクランクは順方向フリーになった。シャッターが切れる状態の筈だが、実際にはシャッターが切れない。多重露光切り替えSWをNormalにしてもMultiにしてもシャッターは切れない。即ち、電池が無ければ、シャッターはチャージされた(シャッター幕が上がった)ままで動かなくなる、という現象があった。フィルム中枠を取り出しても、シャッターダイヤルをどこに設定しても、Battery Check ボタンを深く押しても、シャッターを切ることが出来なかった。
電池を入れて、Battery CheckでLED点灯を確認し、巻き上げクランクを順方向に回すと、少し半端に巻き上がった。多重露光切り替えSWをMultiにすると空シャッターを切ることが出来たのだが、どうやら、コンデンサBの電気容量が完全に無くなると、このような現象になるのかもしれない。或いは、電池が無いばかりにちょっとした機械的タイミングのズレによって、たまたまこんな現象が起きたのかも知れない。取説には無い思いも寄らぬ現象だった。
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