Tokyo Walker

諸事探訪

お地蔵さん

2019年04月20日 21時55分09秒 | 旅行

 随分前から気になっていたが、天気の具合もいいようなのでカメラを持って出かけてみた。この機会を逃すと、またいつになるか判らない。以外に近いということもあって、いつでも行けると思うと、なかなか実行できないのが現状である。気になっていたのはお地蔵さん。例の赤い前垂れをしたあれである。場所は四方からの道が交差する緩やかな谷底のような地形の「谷戸」と呼ばれているところで、そのすぐ近くに大きな銀杏の木と杉の木が立っている。その二本の木の間に石碑と共にお地蔵さんが2体並んでいる。ただし、よく見ると長年の風雨に晒されて台座の部分しか残っていないもの、或いは台座にこんもり盛り上がった部分があり、かつて何かがあったであろう痕跡もあり、本当は何体あったのかは定かでない。現状で赤い前垂れをしているのは二体だけである。

SONY α7Ⅱ/NIKON NIKKOR 50mmF2

 ここは鎌倉街道の側で、いわゆる街道沿いである。昔は人馬がここを通ったであろうことは無理なく想像できる。石碑を見ると最も新しいもので昭和十五年三月、次に古いのが弘化三年二月、更に古いのが明和元年十月というものがあった。明和元年は1764年で江戸時代中頃、255年も昔のことである。既に崩れているものはもっと古いものである可能性もあるが、何とか読めるのはこの三基だけである。人馬が車に代わって既に久しい。石碑がどの様なタイミングで建立されるのか詳しいことは判らないが、今もお地蔵さんに赤い前垂れを付けて、守りを続けている人が居るということに驚きを感じる。

SONY α7Ⅱ/NIKON NIKKOR 50mmF2

 お地蔵さんは地蔵菩薩といって、菩薩の変化身の一つだと言われている。お釈迦様が留守の間を預かるのがお地蔵さんのお役目、そして弱い立場の者から救うと考えられていることからか子供に縁があるらしい。赤い前垂れはそれを示すものなのかもしれない。

SONY α7Ⅱ/NIKON NIKKOR 50mmF2

 明和元年十月の石碑には大乗妙典という文字が読める。調べてみると「大乗の妙理を説き明かした経典」即ち法華経を指すらしい。石碑は「流行病で亡くなった人達の供養」ということのようだ。
 また、昭和十五年三月の石碑には馬頭観世音という文字が読める。馬頭観世音も菩薩の変化身の一つである。「衆生の無智・煩悩を排除し、諸悪を毀壊する菩薩」と言われている。「民間信仰では馬の守護仏としても祀られる」らしいから、街道を往来する人馬を守護したものと思われる。現代版、「交通安全のお守り」のようなものなのかもしれない。
 それにしても、同じ場所に「お地蔵さん」「馬頭観世音の石碑」「大乗妙典(法華経)の石碑」が仲良く混在するというのはいかにも日本らしい。



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