「FUJINON 55mm/f1.8」はザックリ、「初期型・前期型・後期型」に分けられる。中でも「初期型」は絞り環、コーティングの種類、ローレットのデザインなどで更に初期型、中期型、後期型と区別されるようだ。2019/05/05、前後キャップ付き1,000円で落札したのは「初期型」の「初期型」というModelになるようだ。
・絞り環:シルバー梨地仕上げ
・モノコーティング、開放測光用の爪:無、
・金属製ローレット、金属製レンズ銘板
最も原型的でシンプルなレンズである。恰好が大事なわたしにとっては、「最もカッコ良い」レンズということになる。古い割に外観のスレも少なく、Focus Ring、絞り羽根とも問題なし。肝心のLensは拭き傷も少なく、カビ、曇りも無い、なかなかの美品だった。軽くクリーニングして、そのまま使用することにした。
同じM42 MountのPentax 55mmF1.8と比較すると、Pentaxの方が全長で5mmほど小さい。前面からの見た目はほぼ同じで、Filter径も同じφ49mmを使用する。しかし、基本的な大きな違いは2つある。
1つは、レンズ構成でPentax 55mmF1.8は「5群6枚構成・変形ダブルガウスタイプ」でFUJINON 55mmF1.8は古典的「4群6枚構成・ダブルガウスタイプ」。
2つ目は、PentaxのMulti-Coatに対して、FUJINONはMono-Coatである。
ただ、Userにとってこの違いを顕著に受けることはあまりないと思われる。それは、その時の撮影状況や光の具合、各種条件があって現れる効果であって、その比較も簡単ではない。撮影した写真の中にそれら兆候を見ることはあるかもしれないが、いずれも「タラレバ」の世界である。
時代として、Pentax 55mmF1.8の方が少し先行(1964年)するのだが、後発のFUJINON 55mmF1.8(1970年)と比較されることがよくあるらしい。前から見ると確かに相似である。レンズの明るさやフィルター径が同じなのだから当然似てしまう訳だが、横から見るとFUJINONの方が一回り大きく、絞り環の梨地の白が目立つ。偶然なのか、形がよく似ているからなのか判らないが、コントラストや発色、柔らかさがよく比較されるようだ。FUJINONはやはり発色の豊かさ(派手さ)が一つの特徴になっているらしい。
写りはどうか。
平均的に柔らかい描写だが、赤色、緑色の発色が比較的濃厚に出る。後ボケは一癖あるようだが、前ボケは悪くない。最短撮影距離で開放絞り撮影したとき、被写界深度は比較的浅く、立体感のある写真が撮れる。・・と言った評価がある。流れとして「後期型」でマルチコーティングのタイプが人気だが、元気の良すぎる発色性に対し、モノコーティングの「初期型」の落ち着いた発色性のほうが好み、という評価もある。
実写はどうか。
20200615、紫陽花をモデルにして撮影してみたが、「評価」が顕著に判るような絵が撮れたかどうかは難しい。それよりも周囲の環境、条件や被写体の性質(特に色)に依存する部分、影響を受ける部分が多く、レンズの個性、印象を指摘するのは困難であるように思う。それでも、結果としての画像には、それなりの特徴が現われるものだ。「瑞々しさ、或いは生々しさというよりは、千代紙で造る切り絵のような、或いは日本画のような枯れた雰囲気」というものもその一つなのかもしれない。(20200615「紫陽花」参照)
Mount Adapterは、Pentaxで使用しているM42用ピン押しフランジ付きの「KF-M42E2/K&F Concept」を共用している。
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