Tokyo Walker

諸事探訪

UV TOPCOR 50mmF2(Black)の修理

2022年11月23日 15時48分05秒 | カメラ

 外観はとてもよろしいが、絞りが動かないという代物を入手した。羽根が張り付いただけなら、何とか治せるという自信過剰からくるセコイ判断である。
手元にやって来た現物をシゲシゲと眺めてみる。勿論、絞り開閉は全く出来ない。どうも「羽根が張り付いた」訳ではなさそうだ。確かにおかしい。

 Mountの横の絞り制御用爪の長孔から中を覗いてみると、何やらシャフトらしきものが斜めになって見えるではないか。ちなみに真っ当なレンズで見るとシャフトはちょっと見えない構造になっている。
絞り不良の原因はコレか!と合点する。
内部のUnitを取り出してみると、シャフトが「ピサの斜塔」になっていた。

(絞り制御シャフトの変形)

 しかし、斜めになった絞り制御シャフトは、長孔付きの絞り駆動円盤にカシメてあるはず。円盤の板厚はt=0.4mmと超薄板なので、カシメ部分は歪んでしまっているだろう。おまけにカシメも緩んでカタカタになっており、重症だと思われる。これを修理するには部品交換しかないだろう。


(正常な絞り駆動盤)

 ということで、ついでにレンズも綺麗なものを寄せ集めてニコイチにしようと、もう一台適当なものを入手した。この時、出品されているレンズの写真を数々見てみたが、同様の「絞り不良」らしきものが結構ある。さすがに制御用の爪が動く長孔の隙間の写真は無いが、それでもMount面の写真を見て判断することが出来る。

 
 不良品                    良品

 絞り操作環はレンズ本体に構成されていないので、Auto用、Manual用の両方の爪は絞り開放位置に巻きバネで引かれて(Mount側から見て反時計回りいっぱいに)寄っている。そして爪の端面が揃っている状態にある。ところが「絞り不良」の個体は、この爪が僅かにズレているのである。
 つまりこの「爪が僅かにズレている」ものは修理不能の「絞り不良」だということである。他の部品取り用として入手するならともかく、単体で修理してオールドレンズを楽しもうと考えている方は、いくら安くてもこれを入手してはいけないということである。
 爪の端面がズレる原因は、今回の「絞り不良」以外に、絞り羽根の張り付きでも同じようになるが、少なくとも「ババを引かない」ヒントの一つにはなるだろう。

 UV TOPCORのレンズ着脱は、絞り操作環の絞り値を開放にしておき、レンズの基準赤ポッチとMount(絞り環)側の赤ポッチを合わせた位置でレンズを嵌め込む。そしてレンズの基準赤ポッチを絞り環の開放(F2)まで回すと、ロックされる。外すときは、絞りを開放にしてからレンズのロック解除ボタンを押して当たりまで回して外す、というのが構造的に正しい「レンズ着脱」方法だと思われる。
 しかし、「レンズの基準赤ポッチとMount(絞り環)側の赤ポッチを合わせた位置でレンズを嵌め込む」ことだけが重要であって、絞り環の絞り値が何処にあっても関係はない。

 このことから、どうして「絞り制御シャフト」が斜めになってU溝から抜けるほど強引に引かれたのかが判らない。実験する訳にもいかないが、赤ポッチを合わせずに嵌め込むと、こんな風になってしまうのだろうか。


 絞り羽根駆動盤交換、絞り羽根清掃、Helicoid清掃、
グリス交換、レンズはニコイチ、完成の図。




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