副題 『三島屋変調百物語事始』
著者 宮部みゆき
17歳のおちかは、川崎宿で旅籠を営む実家で起きたある事件をきっかけに、他人に心を閉ざした。
今は、江戸・神田三島町に叔父・伊兵衛が構える袋物屋「三島屋」に身を寄せ、黙々と働く日々を過ごしている。
ある日伊兵衛は、いつも碁敵を迎える「黒白の間」におちかを呼ぶと、そこへ訪ねてくる人たちから「変わり百物語」を聞くように言いつけて出かけてしまう。
そして彼らの不思議な話は、おちかの心を少しずつ、溶かし始めていく・・・。
連作長編時代小説。
毎日、新聞で続編『三島屋変調百物語事続』を読んでいます。
とても面白いので、『~事始』の方も読んでみました。
宮部さんは、うまいですね~。
新聞の連載小説の方は、数人目の物語の終わりになろうとしてますが、『暗獣』と題したこのお話には涙を誘われます・・・
お化け屋敷と噂されていた家に住んだ老夫婦と、その老夫婦に“くろすけ”と名付けられた、古い屋敷の魂で、黒い気のかたまりのようなモノとの交流。
人の気が“くろすけ”の毒となることに気が付いた老夫婦は、泣く泣く引っ越すことにします・・・
>遠く離れ、別々に暮らそうと、いつもおまえのことを思っている。
月が昇れば、ああこの月を、くろすけも眺めているだろうなと思う。くろすけは歌っているかなと思う。
花が咲けば、くろすけは花のなかで遊んでいるだろうかと思う。
雨が降れば、くろすけは屋敷のどこかでこの雨脚を眺めているだろうかと思う。
なあ、くろすけよ。おまえは再び孤独になる。
だが、もう独りぼっちではない。私と初音は、おまえがここにいることを知っているのだから。
著者 宮部みゆき
17歳のおちかは、川崎宿で旅籠を営む実家で起きたある事件をきっかけに、他人に心を閉ざした。
今は、江戸・神田三島町に叔父・伊兵衛が構える袋物屋「三島屋」に身を寄せ、黙々と働く日々を過ごしている。
ある日伊兵衛は、いつも碁敵を迎える「黒白の間」におちかを呼ぶと、そこへ訪ねてくる人たちから「変わり百物語」を聞くように言いつけて出かけてしまう。
そして彼らの不思議な話は、おちかの心を少しずつ、溶かし始めていく・・・。
連作長編時代小説。
毎日、新聞で続編『三島屋変調百物語事続』を読んでいます。
とても面白いので、『~事始』の方も読んでみました。
宮部さんは、うまいですね~。
新聞の連載小説の方は、数人目の物語の終わりになろうとしてますが、『暗獣』と題したこのお話には涙を誘われます・・・
お化け屋敷と噂されていた家に住んだ老夫婦と、その老夫婦に“くろすけ”と名付けられた、古い屋敷の魂で、黒い気のかたまりのようなモノとの交流。
人の気が“くろすけ”の毒となることに気が付いた老夫婦は、泣く泣く引っ越すことにします・・・
>遠く離れ、別々に暮らそうと、いつもおまえのことを思っている。
月が昇れば、ああこの月を、くろすけも眺めているだろうなと思う。くろすけは歌っているかなと思う。
花が咲けば、くろすけは花のなかで遊んでいるだろうかと思う。
雨が降れば、くろすけは屋敷のどこかでこの雨脚を眺めているだろうかと思う。
なあ、くろすけよ。おまえは再び孤独になる。
だが、もう独りぼっちではない。私と初音は、おまえがここにいることを知っているのだから。