発表会が近くなり、生徒のみんなには
「ピアノ部のつもりで、頑張って沢山練習してね」と言っています。
部活に入っていたら、試合の前には、沢山練習するでしょう?
朝練もあるだろうし、日曜日の特訓もあるでしょう。
つまり、
“ピアノ部”なのだから、せめて発表会の直前だけは、本気で練習してね
と云う意味がこめられているのです。
“ピアノ部”と云う言葉を言いながら、私はノブ君との会話を思い出しました。
ノブ君が中学生になり、
支援学校の制服を着てレッスンに来るようになった頃のことです。
中学生になり、ノブ君も自我が芽生え、
ノブ君は、お母さんに反抗するようになってきました。
小学生の頃までは、お母さんの言うことをよく聞くノブ君だったのですが、
ことごとく言うことを聞かなくなってきたのだそうです。
ピアノの練習も怠ける日が多くなり、
レッスンに来ても、ちょっとイライラしているようでした。
私は、そんなノブ君に
「ノブ君、中学生になったんだから、ピアノ部に入ろう!
ノブ君は、ピアノ部だから、ピアノの練習を頑張ろう!」
と、真剣に言ってみました。
すると、ノブ君は、ちょっとハッとした様子で、頷きました。
ノブ君は、ほとんど喋れない自閉症ですが、
こちらの言うことは、ほとんど理解してくれます。
あの時 ノブ君は、何かを感じてくれたのかな~と、思い出すのでした。
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2時間25分