マサ君は、耳がとても良い子です。
今は、12種類の和音を識別出来ます。
主要3和音(ドミソ、ドファラ、シレソ)と属7の和音(シファソ)
そして、それぞれの和音の転回形を合わせ、合計12種類の和音です。
私がピアノで和音を弾いて、マサ君に当ててもらうのですが、
マサ君は、たいていの和音を、ピタリと当てるのです。
「マサ君、すごいね! マサ君は天才だね~」と褒めると
「はい、僕は天才です。」と、にっこり笑って答えてくれます。
その笑顔が可愛くて、私は何度もマサ君を褒めます。
マサ君は、絶対音感は持っていないのですが、音に対する感性が、人一倍鋭いのでしょう。
なので、一旦【ハ長調】で覚えた曲を、5度も高い【ト長調】で弾くことに、
違和感を感じたのかもしれません。
実際に、弾くよりも、歌ってみるとよく判るのですが、
【ハ長調】と【ト長調】では、感じ方が大分違うのが判ります。
あと、鍵盤の場所に対する【こだわり】も、あったのだと思います。
時間をかけて、じっくりと指導をしましたので、
ハ長調の分散和音のパターンが、M君の指に しっかり定着してしまったのでしょう。
しっかり定着したことを変えるのは、
自閉症児のM君にとって、大きなストレスだったに違いありません。
このように考えると、バイエルの際の、マサ君の『不思議』も、解明出来たように思います。
しかし、マサ君には、もう1つ『不思議』なことがあったのです。