ヨウ君(高2・アスペルガー症候群)は
【エリーゼのために】を時間をかけて丁寧に練習し、
6月の末に、立派に仕上げることが出来ました。
その後は、
【トルコ行進曲】【インヴェンション4番】と
順調にレパートリーを増やしています。
8月の末、そんなヨウ君に、
私はひとつの提案をしました。
「来週までにね、
もう1回【エリーゼのために】を弾いてきてね。
きっと、2ヶ月前と違った感覚で弾けると思うので。」
そんな提案をしたのです。
そして1週間後。。。
ヨウ君は再び、
私の前で【エリーゼのために】を弾きました。
「ヨウ君、久しぶりに この曲を弾いてどうでしたか?」
「はい、全く弾けなくなっている箇所がありましたが、
逆に、弾きやすくなっている箇所もありました。」
「あぁそうね。そういう事ってありますね。」
「はい。」
「では、弾いている時の気持はどうでしたか?」
「やっぱり良い曲だなぁ、と思いました。」
「確かに、何回弾いても良い曲よね。」
「はい。」
「では、曲想についての変化はありましたか?」
「はい。僕の中で、気持が変わった部分があります。」
「そうなの?」
「はい。 以前この曲は、
ベートーベンのエリーゼに対する妄想を音楽にした~
と思っていました。」
「あぁ、そんな話をしましたね。」
「今は。。。ちょっと違う気持かな?と思います。」
「どんな気持?」
「エリーゼさんのことが好きだった頃を、
回想しているような?そんな感じがします。」
「おおっ それは素晴らしい解釈ですね。
確かに、そんな感じがするものね。」
「ありがとうございます。」
「また暫くしたら、この曲を弾いてみてね。
また違った解釈が見つかるかも。
ピアノって、そういうところが面白いよね。」
「はい、そうします。」
同じ曲でも、弾く時の年齢や環境によって、
新しい発見があります。
私自身も、10代で弾いていた曲を今弾くと、
違った印象を持つことがあります。
それは小説も同じで、
昔読んだ本を読み返すと、
隠れたテーマに気づいたりするのです。
受け取る人間によって
印象が変化していく。。。
それこそが、芸術の面白さだと思います。
そんな面白さを、ヨウ君も感じてくれたかな?
そうだといいな、と思っています。
(次回に続きます)
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