3月5日。
昨晩は疲れもあって、シャワーを浴びた後、ベッドに横になったまま眠り込んでしまったようです。
朝 目が覚めると、窓の外がわずかに明るくなり始めていました。
急いで服を着て、コンデジ(コンパクトデジカメ)片手にGH(ゲストハウス)の屋上へ階段を上ります。
ポカラの町は、夜の闇から目を覚ましきれず、街のどこかへ走り過ぎる車のエンジン音が、夜明を告げる波紋を拡散していました。
北の空が淡いブルーのエーテルに包まれ、天へ突き刺さる如く佇むマチャプチャレが、木立が眠る丘を見下ろし、仄かな色に染まり始めました。
何処かで雄鶏が夜明けを告げていました。
やがて、心細くさえ思える太陽が東の空に顔を覗かせました。
サランコットの丘の彼方で、陽の光を受けはじめた山の頂きに雪煙が見えました。
標高数千メートルの神々の庭で、イエティが目を覚まし、雪を蹴散らしながら遊び始めたのかもしれません。
階下へ下りて行くと、Sさんのグループが自炊用のキッチンで朝食を作っていました。
ブロッコリーやジャガイモなどの野菜にニンニクを加え味を調えています。
メンバーの中に菜食主義者が居るのだそうです。
私は勧められるまま、ご相伴に与ることにしました。
そして、麻の実を磨り潰したものを勧められました。
私は認識不足でしたが、繊維を取る為の麻と麻薬としての大麻は全く同じものなのだそうです。
ウィキペディアには、「麻は終戦前まで、日本では米と並んで、作付け量を指定され盛んに栽培されていた主要農作物。古くから日本で栽培されたものは麻薬成分をほとんど含まない」と記述されていました。
麻を栽培する時に播種する果実に陶酔成分はなく、生薬では麻子仁(ましにん)として利用され、香辛料として七味唐辛子にも含まれているそうです。
但し、麻の果実は発芽して大麻草となるので、磨り潰して発芽不能となったものを調理に用いるそうです。
磨り潰した麻の実は、特別な味がある訳ではありませんが、栄養学的にはタンパク質が豊富で、脂肪酸などの含有バランスが良いのだとか。
珍しいものを食べさせてもらいました。
しかし、今朝はSさんの姿が見えません、グループもSさんがリーダーと云う訳ではなさそうです。
私は昨日Sさんから旅のお誘いを受けたのですが、具体的な話がないまま、グループの人達は個々に行動を始めていました。
私は中途半端な気分のまま、取り残されたような状況に置かれていました。
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