1999年7月11日、20世紀最後の年のこの日、私は若き日に撮りためたスライド写真の一枚をスキャナーに掛け、それを使って「四季の花」というホームページをスタートさせました。
パソコンは既に広く普及していましたが、当時の日本のインターネットの利用者は約1500万人、日本人の8~9人に一人程だったようです。
あれから16年、何時の間にかスマホの普及率は60%を越え、メールがごく普通のこととして日常生活に溶け込んでいます。
「四季の花」に掲載する花の写真は、身近な場所で撮影していたのですが、思い付きで花を撮影できる場所はすぐにネタが尽きました。
年間を通してホームページに花の写真を載せ続けるには、花が咲く時期と場所を調べておかなければ、貴重な休日が無駄になります。
そこで、自分の撮影の為に「花の名所」と称するページを立ち上げ、植物園や花公園などの情報を収集し始めました。
今はそれを「花のガイド」としてホームページに纏めていますが、紹介する花所は総計27項目、ほぼ3300ヶ所を数えるまでになりました。
退職後にはそれらを巡り、花を見て暮らそうと考えていましたが、退職した年の冬に「樹と木のお話」という、樹をテーマとする新たなブログを立ち上げました。
その後は興味の対象が花と樹に分散しましたので、3300ヶ所を巡る旅は思うほどには捗っていません。
それでも、一年に100ヶ所をこなせば33年で終わりますから、100歳まで生きるつもりの私には丁度良いペースかもしれません。
今回も8月上旬に「樹と木のお話」に一区切りを付けましたので、東北の花の百名山でも巡ってこようかと考えました。
しかし梅雨明け後に猛暑が続き、東北もかなりの暑さのようです。
日射病にでもなれば「何時までも若いつもりで!」などと言われかねませんので、暫し躊躇していましたが、まあ、山がだめなら温泉にでも入ってこようと考え、3日の夜には北に向かって車をはしらせていました。
8月4日、福島県西白河郡矢吹町の大池公園の駐車場で目を覚ましました。
朝早くから、池の周囲の遊歩道を多くの町民が散策し、お互いに挨拶を交わしています。
池の北側に、八つ橋を渡したあづま屋が浮かび、その周囲を赤いスイレンの花が飾っていました。
池の畔には赤松が林をなして、スイレンが咲く水面に緑の影を落としていました。
お分かりでしょうか? 静かな朝を迎えた公園のすぐ横を、札幌から走り来た寝台特急カシオペアが、木々の間に白い帯となって走り過ぎて行きます。
終着駅の上野までは後3時間ほどの旅程を残しているはずです。
食堂車にはトーストとコーヒーの香ばしい香りが漂っていたかもしれません。
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