倉田窯を辞して南由利原へ向かいました。
展望台に登ると、ゆったりと裾広がりの山容を見せた鳥海山が、大谷地池の奥に現われます。
南由利原に来たのは、ここに10万本のユリが花を咲かせるはずだからです。
しかし、周囲にユリの姿は無く、掲示版にもユリ園を示唆するような記載がありません。
観光物産店の施設に入り、お店の方に、「この辺にユリを咲かせる場所があると聞いたのですが?」と聞いてみました。
すると、「ユリは去年までで、今年からコスモスを植えました。コスモスは9月頃なので、まだ咲いてないです。」との答えが返ってきました。
「ええ! そうなんですか」
残念ですが、自宅に戻ったら、ホームページの「ユリの名所」から由利高原を削除することにしましょう。
どんなフラワーランドでも、開園時の情報は入り易いのですが、止める時の情報量は限られます。
ホームページを早く修正でき、人を惑わすことがなくて幸いでした。
由利高原から、由利本庄市岩谷麓の県道69号線折渡峠に向かいました。
折渡峠は別名あじさいロードと呼ばれ、由利本荘市岩城上黒川と由利本荘市芦川を縫うように繋ぐ、標高143m程の小さな峠です。
情報ではアジサイの花の時期は7月中旬から8月下旬となっていましたが、多分そんなに長い筈はないと考えました。
国道105号線をはしり、羽越本線の踏切の手前で県道69号線へ入りました。
ほどなく登り勾配となった道の両側にアジサイが見えてきました。
なるべく見栄えの良い写真を撮りたいのですが、やはり花の盛りは終わったようです。
今年は猛暑なので、尚更条件が悪いのかもしれませんが、花の時期を8月下旬までとするのは少々無理がありそうです。
峠道を上ってゆきますと、山の斜面に沢山のお地蔵さんが並んでいました。
駐車場に車を停めて、掲示板の解説を読んでみました。
「折渡地蔵尊:今から約200年前 是山禅師(赤田大佛開祖)が延命地蔵尊として建立し、現在では通行人の安全と子守地蔵として知られている。
別名はイボトリ地蔵として有名で、全国の寄進者により、平成元年から全山に千体地蔵が建てられ、地蔵霊山となる」とありました。
どうやらこれが延命地蔵尊のようです。
大きな杉の木の下で、赤い着物を着て、道行く人達の安全と子供を守ってくれます。
お願いすればイボも取ってくれるそうです。
そんな時に突然、すぐ背後でゴオ~ンと鐘がなりました。
あまりにも突然だったので、本当にびっくりしました。
しかも、鐘楼には人の姿がありません。
あれ? と思っている目の前で、撞木が勝手に動いて、再び鐘がゴオ~ンと音を立てました。
鐘楼の横に「御案内」と記された掲示があって、
「当霊山の鐘楼は この地方では非常に珍しい自動撞木で鐘を撞きます。毎日次の時間に自動で鐘の音を全山に響かせます。どうぞお聞き下さい 午前9時、10時、正午、午後4時 一日4回」と記されていました。
私はこの時初めて自動撞木を見たので、鐘をどうやって撞くのか興味を持って最後まで観察していましたが、どうやら撞木の中に仕組みがあるらしく、残念ながら詳細は分からずじまいでした。
折渡峠を下ると、次の目的地は秋田市千秋公園のハスです。
しかし、今から千秋公園に向かっても、公園に着く頃にはハスの花は閉じているはずです。
どうしようかと考えながらのんびり県道をはしっていますと、路傍に素敵な雰囲気のお地蔵様か石仏を見つけました。
掲示板らしきものが何もないので、詳細は分かりませんが、周囲を囲む木々の中にどっしりと腰を据えたお姿から、この地の安寧を保障しているかのような安心感が伝わってきます。
どんなガイドブックにも載っていない、このようなお地蔵様に出会えるのも、きままな旅の楽しみの一つです。
車は秋田市内を目指して国道7号を北上しました。
この辺りは何度も通っていますが、日本海に沿って視界の開けた道に、気持ちの良いドライブが続きます。
そんな景色の中で、国道脇の到る所に松林が姿を見せていました。
私はそんな松林から、葉の付いた枝を数本頂くことにしました。
そして秋田市内に着くと、なんとこの日は、あの東北三大祭の一つ、竿燈祭りの真最中だったのです。
幸か不幸か、祭りは見たいのですが、こんな大きな祭りの最中に車を停める場所が見つかるでしょうか。
当初は市内のコインパーキングに車を停め、居酒屋に行って冷酒でもと考えていたのですが、それどころではなさそうです。
秋田市内をあちらこちらと探し廻り、秋田港のポートタワー横に、車中泊がでそうなパーキングエリアを見付けた時、既に辺りには夕闇が迫っていました。
そして、秋田港にはあの豪華客船、ビルが丸ごと船になったようなアスカが着岸していました。
いやーさすがに竿燈祭りだけのことはあります。
祭りの規模が推測されます。
この夜は市内の交通事情を調べるだけにして、祭りには行かず、市内から少し離れたマクドナルドに入ると、店の片隅に座って、マツ葉の長さを測りながら一夜を過ごしました。
※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。
東北漫遊 花の旅 index
他の花の旅 旅の目次