露天が並ぶ道を進むと「道の駅くじ」が目に入ってきました。
中に入ると、ヒラガニ、ホタテ、ヤツシロ貝、ほや、などが並んでいました。
ヒラガニは初めて見ます。
ヒラガニは東北地方のヒラツメガニの呼称で、この辺りでは8月が旬で、夏の風物詩となっているようです。
甲羅が柔らかく生きたままの流通が難しいので産地でしか口にできないそうです。
ミソの香が強く、身から出る出汁で作るパスタは絶品で、カニ3杯で526円でした。
今が旬の、刺身用のホタテは5枚で616円です!
ヤツシロ貝も初めて目にしましたが「太平洋側の砂浜で比較的普通に見られる大型の巻貝。流通範囲は狭い。酢味噌にしてネギとたたくと美味」だそうです。1個100円でした。
そして「むきほや」298円。
こんなほやに青シソを添えたあてで、きりっとした吟醸酒を傾けたら最高でしょうね。
そして「夕顔」
皮をむいて、種とワタを取り、少女子と炒め煮に、みそ汁の具にも、と記されています。
鮮度の良い、淡い緑が瑞々しくて食欲をそそります。
二階に何かありそうなので、階段を上ってゆくと「昭和の想い出博物館 レトロ館」がありました。
入口に見知らぬ自動車が展示されていました。
画像検索で調べると、スズキCV1という原付ミニカーです。
ススキが1981年に原付バイクをベースに開発販売したミニカーです。
発売当初は原付免許で運転できたそうですが、国はすぐに普通免許所持者に運転を限定しました。
その制度変更を受けて、スズキは1985年に生産を終了しています。
4年間での生産台数はたった100台だそうです。それって超レア品ってことですよね!
「何でも鑑定団」に出したら、どんな値が付くのでしょうか。
スズキCV1の周囲に、松田聖子が演じた「野菊の墓」のポスターやビクターの犬の置物などが展示されていました。
しかし、中に入ってゆっくりと展示品を眺める時間はありません。
レトロ館へ続く廊下に2011年の東日本大震災の被災状況とその後の普及状況を対比する写真が掲示されていました。
しかし私が見る限り、現在の久慈市街に津波被害の痕跡はありません。
そして、岩手県民の誇りはこの人に尽きます。
2022年8月11日の岩手日報号外が最も目に付く場所に張られていました。
弛まぬ努力を重ね、決して奢らず、他者への気遣いを忘れない人柄は岩手県民の資質そのものと私も思います。
私の学窓の岩手出身の友人もそんな人達です。
あれから13年の月日が経ち、2021年に三陸沿岸道路が全通しました。
日本という国に暮らす限り、地震から逃れられる場所はありません。
そうであっても、他者を思いやり、絆を深め、不断の努力が「生きてきて良かった」と思える日々を必ず招きます。
そうそう、こんなことを綴ると、岩手県の詩人の
「雨にも負けず、風にも負けず、いつも静かに笑っている」
の言葉を思い出しました。
私は再び一階に戻り、「ちだい」の刺身を買って、その場で三陸の海の恵みを堪能しました。
そして私は、ゆっくりとした足取りで久慈駅へ戻りました。
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