盛駅のバス乗り場で3・4分待つと、大船渡行きBRTバスがやってきました。
JR大船渡線BRTは青春18きっぷが使えますから、乗り降り自由ですが、一応、乗車時に発券機から整理券を受け取りました。
バスは都バスや定期民間バスと同じシステムで、運転席の上に運賃表が掲げられ、前扉の横に運賃箱が設けられています。
バスが走る場所は、線路が敷かれていた跡地です。
バス前方の窓から幅3m弱かと思う、細いBRT専用道が見えました。
一般的な市街地道路の幅の半分程の道をバスは進んでゆきます。
大船渡線大船渡BRTバス停は、盛り土された線路に設けられたホームの形を留めていました。
バスは大船渡BRTバス停で線路跡から一般道に降り、市街地を走り
再びBRT専用道へ戻りました。
バスが大船渡魚市場前の停留所(駅?)から、目下に魚市場と、その先に大船渡湾が望みました。
その後も、バスは専用道と一般道を自在に走り抜けます。
このシステムは、地域の方々にとって、従来の鉄道よりも便利かもしれない、と思いました。
BRTであれば、バスが身近に来ますので、乗客は駅まで出向く必要がありません。
バスが走る窓に大船渡湾が大きく広がりました。
湾口の右手が碁石岬、左手が尾崎岬です。
バスが進むにつれて、変化に富む大船渡湾の景色が目を楽しませてくれます。
鈍色に輝く海の底で、静かに眠る古代魚が暮らすような、そんな風に思わせる、穏やかな海が午後の光の中で水面を広げていました。
バスは大船渡湾から更に凹んだ細浦湾の岸辺に停まりました。
対岸に数多くの漁船が見えました。この辺りが大船渡漁港のようです。
バスは専用道と一般道の出入りを繰り返し、次に碁石海岸口に停車しました。
周囲にのどかな畑作地が広がります。
この辺りに居を構えれば、新鮮な野菜と魚に恵まれる暮らしが待っている筈です。
夏雲の下で、碁石岬へ続く丘陵地が旅人を見送ってくれます。
そしてバスは広田半島の基部を横切り、気仙沼市から陸前高田市に入り、小友(おとも)に停車しました。
専用道の左右に、色づく稲に溢れる田が囲み、三陸海岸のイメージとは異なる景色が広がっていました。
畑は連作障害が起きますので、毎年同じ作物を育てることができません。
イネは水田で育てるので、連作障害が起きず、毎年安定した収穫が期待できるのです。
田が広がる景色は、穏やかで安定した暮らしを連想させます。
そんな景色の中で、前方左手に広田湾が見えてきました。
この辺りは海岸に接して平地が広がります。
穏やかで安定した暮らしを保証する平地が、東日本大震災と津波に襲われました。
広田半島の基部に位置するJR大船渡線小友駅辺りで、南の広田湾からの津波と北の大野湾からの津波が合流し、駅の周囲は壊滅状態となってガレキに覆われました。
東京に住む私達にとっても、東日本大震災は他人ごとではありません。
関東大震災を思い起こせば、東京で怖いのは地震後の火災です。
首都直下型大地震が起きたとき、都民は火に囲まれる前に逃げ出す場所を、必ず考えておくべきです。
前回の「青春18きっぷ」 「青春18きっぷ」花の旅 北海道
「花の旅」の全て 「花の旅」 総合目次
筆者のホームページ 「PAPYRUS」