釜石行きの列車は12時31分に宮古駅を発車します。
宮古での乗り換え時間は17分しかありませんでした。
昼飯時でしたが、駅周辺に、短時間で昼食を得られそうな店は見当たりません。
駅の売店で菓子パンを買って釜石行きの列車に乗り込みました。
車内はレトロな雰囲気で、ボックス席にセンターテーブルが備わっていました。
宮古駅を発車した列車はすぐに、閉伊川(へいがわ)を渡ります。
閉伊川は、北上川水系との分水嶺を成す区界(くざかい)峠付近を源流とする二級河川です。
川は宮古市街を抜けるとそのまま宮古湾に注ぎます。
その宮古湾の湾口付近に、浄土ヶ浜という景勝地があります。
白い岩礁に囲まれた入江はコバルトブルーの水を湛え、岸辺や白岩の上に松の緑をあしらう光景は一見の価値ありです。
宮古駅から浄土浜行きのバスが1時間に1本程出ており、十数分で行けますので、列車を一本遅らせても訪ねる価値はあると思います。
タクシーだと10分で行けるそうです。
2010年8月11日 撮影
2010年と1015年の三陸海岸ドライブの時に訪ねましたが、何れの時も、海岸沿いの散策路から水中を覗くと、小魚が群れ泳ぎ、
子供連れの家族が、波静かな入江で海水浴を楽しんでいました。
定年後にキャンピングカーを走らせ、こんな入江で月を眺めたら素敵でしょうね。
2010年8月11日 撮影
列車は閉伊川を渡ると1・2分で磯鶏(そけい)駅に停車しました。
私は、この記事を書き進めながら、今初めて「そけい」と読むことを知りました。
地名の由来は、高貴な人物が海で溺死したとき、磯で鶏が鳴いて知らせたという伝説に因るとの説がある一方、中世には「曾計比(そけひ)」の字が当てられ、削(そげ)には海蝕、河蝕地形の意味があるそうです。【宮古地名図鑑(動物編) 】
列車は市街地を進み、八木沢・宮古短大駅を経た数分後、車窓左手に列車の高さ程の堤防が見えてきました。
そして、津軽石(つがるいし)川防潮水門が夏の陽射しを浴びていました。
この辺りは、宮古湾の最奥部に位置します。
リアス海岸を津波が襲うと、津波が湾奥の岸に近づくにつれ海が浅くなり、行き場を失った水は競り上がり勢いを増します。
この水門は2007年に完成しましたが、2011年3月の東日本大震災で、津波はこの水門を越えました。
しかし津波は勢いを弱めたと考えられるそうです。
列車は津軽石川に沿って走り、津軽石駅に到着しました。
岩手県に津軽石の地名は不思議ですが、昔旅の僧侶が津軽石川に、津軽から携帯した小石を投げ入れると、夥しい数の鮭が遡上するようになったとの伝説があるそうです。
また、青森県津軽地方には研磨するとピンク色に輝く「津軽石」があって、それと同等の鉱物がこの辺りから産出されたことに由来するとの説もあります。
そして、津軽石川は昔から、多くの鮭が遡上する川として知られます。
津軽石駅には、久慈海岸に津波で打ち上げられたケヤキの大木から彫り出した、鮭のモニュメントが置かれていました。
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