邦画ブラボー

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「藪の中の黒猫」

2006年07月04日 | ★妖しい映画
乱世の世、主人の留守を守っていた
姑(乙羽信子)と若い嫁(太地喜和子)は
野武士たちに襲われ、家は火に焼かれる。

焼け跡の二人の死骸には黒猫がまとわりついていた・・・
やがて、夜な夜な妖しい女が羅城門に現れ、
喉を噛み切られた侍の無残な姿が晒されるようになる。

色仕掛けで侍の生き血を吸う、吸血化け猫の話と
「羅生門の鬼」をミックスさせた怪奇な物語。

最初にやられるのが、
姑嫁を襲った野武士のひとりで見るからに悪そうな戸浦六宏。
酒を飲まされたあげく、寝屋に引き込まれて
調子付いていたところをがぶりとやられる。

太地喜和子・このとき25歳。抜群に色っぽく、あんなのにお酌をされた日には
誰でも骨抜きになってお陀仏だろう~恐ろしくも悲しい女である。
体中から発散されるむっとするようなお色気は
凄絶で、
中村吉右衛門との絡みは、新藤作品の中でも
最高にセクシーな場面ではなかろうか。

かたや、ダーティーな妖怪面を請け負うのが
汚れ役なんのそのの乙羽信子だ。
竹林に不気味に建つ幻想的なセットの中で
踊り、飛ぶ!能の舞もなんなくこなす、芸の幅の広さよ。

竹林が、妖しく美しい。
 
とても面白かったが、ただ一点
吉右衛門の台詞がなぜか一貫して
「お母さん!あなたは妖怪なのですか?」という具合に
現代風だったのは、なにか意図があったのでしょうかねえ。

1968年新藤兼人 監督作品
シナリオ ...  新藤兼人
撮影   黒田清己
音楽 林光
美術 丸茂孝 井川徳道
メーキャップ   小林重夫
衣裳考証 上野芳生
装飾考証 高津年晴

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