邦画ブラボー

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「野良犬」

2005年11月26日 | ★人生色々な映画
前置き無しの、
たたみかけるような演出が光るサスペンスの傑作。

新米刑事が満員のバスの中でピストルをすられてしまう。
必死の捜索の甲斐もなく
その拳銃を使ったと思われる事件が発生。
行き詰るような緊迫感とスピード。執念の捜査が始まる。

若い三船敏郎の真摯なまなざしがたまらない。
コンビを組む熟練刑事に志村喬。

公開は1949年。
ハリウッド映画も、
現在あるテレビの刑事ものも、
みなこの作品を手本にしたのではないかと思うくらい、
凝縮されたエッセンスが詰め込まれている。

戦後まもない混乱、貧困、いかがわしい雑踏など
当時の風俗が投影され、犯罪の背景が浮かび上がる。

淡路恵子は初々しいながら、
やはりそこらの女優とは違うぞ光線を放っていた。

この作品でも音楽の使い方が抜群。
壮絶な格闘の場面に流れるのは
「ショパン」のワルツなのだ!

黒澤明と菊島隆三による脚本はもちろん素晴らしいが、
台詞無しで映像によって
犯人の心情を表現するラストがもう・・すごい!

木村功の演技にはいつも胸が締め付けられてしまう。

映像による表現の素晴らしさが堪能出来る一本。

1949年 黒澤明監督作品 脚本 黒澤明 菊島隆三 撮影 中井朝一
音楽 早坂文雄 美術 松山崇

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
くりさんへ (ブラボー)
2010-04-01 06:37:40
あのシーン、印象的ですよね。
淡路恵子は当時まだ全然子供で
わがままで幼くてとっても
可愛かったと何かで読みました。
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わたしも見ました (くり)
2010-03-31 22:07:10
淡路恵子が木村功からドレスを着て、部屋で乱舞するシーン。なぜか「しとやかな獣」の、雷の乱舞シーンを思い出しました。
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いいですね (spok23)
2005-11-28 22:55:56
河村黎吉が山椒なら

山本礼三郎は生わさびでしょうか。



へんなたとえですみません。

お二人のような俳優が出ることによって、

びりりと画面が締まりますね。



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河村黎吉が最高にいいです (tetorapot)
2005-11-28 21:45:38
空気がビリビリと音を立ててるような映画でしたねえ。新東宝という小さな会社で撮った作品です。予算が無いのを逆手にとってロケ撮影で画面にリアリズムと緊張感をビリビリと走らせた。黒澤が並み居る監督を押しのけて質的にも興行的にもトップだったのがよくわかります。三船敏郎、志村喬、木村功と黒澤の映画を彩る俳優が集合してるのも嬉しいですが河村黎吉、山本礼三郎と言った戦前の名優で脇を固めているの見逃せません。スリのお銀にニヤと笑いかける河村黎吉には思わず、ため息が出ました
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野犬 (spok23)
2005-11-27 09:31:59
今はほとんど見かけませんが、

よくもあんなに野良犬らしい野良犬を

探したものですね。



すごい顔(目)ですよね。

私も「ギョッ!」でした。



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はあはあ (corkoak)
2005-11-26 23:40:50
同感です。

冒頭の、ハアハアいってる犬からしてすごい。
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ほんとですね (spok23)
2005-11-26 11:17:12
ダンサーたちの汗にまみれた体、息切れ、

三船敏郎のドヤ街彷徨・・・

雨がざあざあ降る安ホテル、

電話から聞こえる音楽や、

あの「あばら家」やら・・・全部スゴイですね。



そして木村功!

あれが勝四郎だとは到底思えません!(笑)

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「リアリティー」ってこの映画にこそふさわしい (乙庵)
2005-11-26 11:10:20
20年位前ビデオで観て、汗でむせ返るような軍服姿で戦後すぐの街を歩く三船敏郎扮する主人公や、女のダンサーたちの放つムンムンするような生命力の充満する楽屋の、リアルな描写に驚かされました。スゴイ映画ですねっ(*^^)v
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