絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

画家のエピソード集

2009-08-29 | 美術
画家のエピソードが面白いという反応がありましたので、思いつくまま、書いてみましょうか?

時代とか、国とかを問わずにアトランダムに。

1、ゴーギャンは、喧嘩が好きだった。
  酒場で喧嘩が始まると、自分には関係ないのに参加して、相手構わず殴りかかった。一発でも殴れたら気分がいいと言っていた。

2、セザンヌは、絵を描く前に必ず2時間くらいは鉛筆でデッサンの勉強をした。
  そうしないと、色を使った絵を描かなかった。

3、セザンヌは、風景画を描くときに、とんでもない方向を向いて描いた。
  「セザンヌさんどこを描いているんですか?」と問われると、「あっち」と答えて、背中の方角を指差したそうです。
  現場に居ながら、その方向を見ないで描いていたと言います。見て描くと、そのものにとらわれて、自由さを失うと言っていました。それは、絵としての理想を求めて描いているので、単に写しているわけではないということなのです。

4、セザンヌにピサロが、「もっと明るく描いたらどうだ」と、先輩としてアドバイスをしたことがあったそうです。しかし、セザンヌは、自分は単に自然を写しているわけではないから、これでいいんだと答えたそうです。
  ピサロは印象派ですが、セザンヌが印象派では終わらなかった理由がその辺にありますね。

5、セザンヌは、風景画を描くと、描き終えた絵をその場に置いて、次の絵を描くために移動してしまうので、奥さんが絵を拾い集めて周ったという話があります。
面白いでしょ。

あれーーー??セザンヌばかりになってしまいますね。

  ルネッサンスをやったのだから、その辺りをやりましょうか?

6、ラファエロは、非常に人が良くて、頼まれたことはほとんど嫌と言わずに引き受けたそうです。頼まれると断れない性格だったようです。そのために、過労死してしまったのではないかと言われます。
  また、絵の注文を断らなかっただけでなく、女性からの誘いも断らなかったらしく、多くの女性との関係があるようです。こちらは、断ってもいいですよね。

7、ラファエロは、自分が習得した技法は全て、弟子たちに教えました。このころは、徒弟制度ですから、先生の技法を学んで一人前になります。権威を強調する先生は、自分の技術を秘伝のようにして、やたら教えない人もいますが、(企業秘密ですね)ラファエロは、全く惜しまず誰にでも全てを教えました。

  そんなことまで、教えちゃっていいんですか?とよく言われていたようです。

  この点は、私も同じです。私は知っていることが大したことはありませんが。

8、レオナルドは、人物を描く場合、モデルをある程度変えてでも理想化して描きますが、ラファエロは見えるとおりに忠実に描きました。だから、変な顔の人は変な顔のまま描きました。モナリザと同じポーズで描いた絵は、ポーズは同じでも顔は、やめてほしいなあという感じのものです。
  だから、マリア様を描くときは、理想的な良い顔が描けますよね。
  だれも見た人がいないので、こんな顔ならいいなあという顔を描きました。

9、レオナルドは、同性愛で二度逮捕されています。
  いずれも、証拠不十分で釈放されていますが、疑いはかけられました。
  はっきりと証拠があると、死刑にされていたかもしれないのです。
  サライはその疑いの一人ですが、サライとは小悪魔という意味です。
  本名はジャコモといいました。

10、後に、サライはレオナルドの養子になりますが、その後、レオナルドがフランチェスカ、メルツィーという男の子をかわいがるようになると、サライが嫉妬したという話もあります。

11、レオナルドが、30歳でミラノに行った時は、画家としてよりも音楽家として、行きました。リラの名手だったそうです。画家としての自分を知ってもらい、その腕を生かすために、ずいぶん自分を売り込まなければならなかったと書かれていました。

12、レオナルドは、話が上手くて、ご婦人たちに大人気でした。

13、レオナルドは、生涯結婚をしませんでした。母親コンプレックスがあったのではないかと言われます。だから、女性より男性が良かったのかもしれません。
しかし、最近、レオナルドには5人の隠し子がいたという話が出て来ました。
これは、私も最近聞いた話なので、詳しく掴んでいません。いままで、そのような話はなかったので、研究が待たれます。

書いていくと、切りもなく出て来ますね。また、思いつくままに書きますね。

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水彩絵の具のつづき

2009-08-29 | 絵画指導
私が本庄第一高校で生徒たちに絵を教えていて、さわらび展などを開くと、その感想に、「水彩画でもこのように描けるんですね」という言葉をよく耳にしました。

はあ、と曖昧な返事をしていましたが、私はこのように描くのが当たり前だったので、なぜ、そのようにおっしゃるのかが理解できないでいました。

それは、透明水彩の描き方を水彩画であるとしか、知らないからだとわかりました。

私が教えた生徒たちの絵は、それと比較すれば不透明水彩の描き方なのです。

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これは、油絵と同じ描き方なのです。

だから、私が水彩画を教えると、それは、そのまま油絵もかけるようになりますし、アクリル画も描けるのです。

しかし、世の中には、油絵を描く人が、水彩は難しくて描けないという人がいます。その逆で、水彩画家は油絵が描けないという人がいます。
私は、不思議でなりませんでした。

なぜなら、絵具はみんな一緒なのです。顔料を何でくっ付けるかという接着剤の違いでしかないからです。

ベビーパウダーならパステルでしょ?
アラビアゴムなら水彩画でしょ?
リンシードオイルなら油絵具。
たまごならテンペラ。
膠なら日本画です。
フレスコ画は、漆喰の壁が濡れている内に、顔料を水に溶いて描くので、言ってみれば水彩画みたいなものです。濡れた壁に染み込ませて顔料を定着させる方法ですよね。

このように、絵具は全て同じ顔料です。接着方法が違うだけなのです。
それを分かっていれば、材料がなんであっても特に難しくないのですが。

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薄塗りでは、油絵と勝負にならないと言いましたが、ごく稀に薄塗りでも深いすごい絵を描く人がいます。私が大学で教えていただいたT先生は、そのような薄塗りでも深くて凄い絵を描く人です。この先生は名人だと思った方がいいでしょう。
そういう人は別にしても、素人が油絵に負けない水彩画を描くには、その薄塗りでは勝負になりません。
今、私が教えている60代、70代の方たちが描いている水彩画は、私のやり方と同じ不透明な描き方です。だから、油絵も描くことができます。

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この方法は、私が高校時代に教えていただいたF先生たちが日本の水彩画を変えてくれたお陰で、生み出されたものです。

歴史的に見れば、水彩画の革命でしょう。油絵に負けない水彩画を作ってくれました。それを、実際に素人の指導に当てはめたのが、私の取り組みです。
絵を始めて、1~2年の人がこのような迫力のある水彩画を描けることを示してくれました。ぜひ、皆さんに知っていただきたいと思っています。
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水彩絵の具について

2009-08-29 | 絵画指導
透明水彩ということ。

私は、水彩画を長年描いて来ましたが、よくある質問に、「これは、透明水彩ですか?」というのがあった。
透明水彩の絵具で描いているので、透明水彩ですと答えていましたが、どうもその方が考えるものとは違うようでした。

だから、透明水彩絵の具を使ってはいますが、描いている方法は不透明と変わりませんと答えるようにしていました。

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しかし、本当の透明水彩という技法は、不透明には描かないようですね。

私は、そのような水彩画は不完全なものだと思っています。

テレビでも、透明水彩の描き方を教えている趣味の講座がありますが、あれは、遊びです。

決して、展覧会に出して、油絵と戦えるようなものには、なりません。

絵手紙とか、簡単なスケッチ程度であるなら、それでいいのですが、大きな水彩画にするには、弱くて話になりません。
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この辺のことを、ご存知ない方が多いと思います。それで、テレビで見たことをそのまま、当てはめて、それが水彩画だと思っている人が多いと思います。
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困ったことです。

その弊害の一つに、「白は使わない」というルールがありました。
白を使うと、不透明になるからです。
それは、良く考えると、他の色でも不透明なものがあります。
透明水彩絵具と書いてあるジャンルの中に、あるんですよ。

たとえば、私が好きなラベンダーという色は、不透明です。
イエローグレーも不透明です。要するに、粘り気のある絵具は不透明ですね。
個有色にグレーを混ぜた中間色を作れば、それは不透明ですから、中間色を売っているということは、不透明絵具ということになります。

不透明で代表的なものは、ガッシュ絵具ですが、これは水彩絵具と変わりません。
ただ、アラビアゴムの量が違うだけです。それだけで、不透明になります。

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ちょっと簡単に、言いますが、透明とは、下の絵具が透けて見えるという意味です。絵具を乗せたら、下の絵具が見えなくなるなら不透明ということになります。

だから、白や白の混ざった絵具は不透明絵具です。
しかし、それらの色も透明絵具のジャンルで売られています。
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透明水彩の技法を描いた本は、白を使うなと書いてあうのは、そのためです。

とにかく、透明な表現をするための説明の本ですから、白を使うなと書いてあるのです。
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何度もいいますが、それらの絵は、本格的な絵画としては、戦えません。絵画をやるなら、白も黒も灰色も使わないと、表現が軽くなってしまいます。

灰色の地味な色や、重みのある深い色などは、透明水彩ではなかなか出せません。
出せる人は、かなりのプロです。

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ちょっと考えてみてください。
白い雲を描くには、白を使わないでどうやって描くのでしょうか?
おそらく、透明水彩では、紙の白を生かすと言うでしょう。それでは、白い紙に描かなければなりません。
それから、絵具をつけない紙のままでは、時間と共に紙が焼けて黄ばんでしまいます。だから、絵具をつけないとだめなのです。

私のやり方なら、色のついた紙でも、白い雲が描けます。
紙が焼けて黄ばむ心配もありません。

最近、私の指導を受け始めた方は、絵具の黒は使うなと他の人から言われてその通りにやってきたと、言って、私が黒を使えと言ったら、驚いていました。

黒をそのままつかうのではなく、それ以上暗い色が必要なら、黒を混ぜて暗い色を作ってくださいと言ったのですが、それに驚いたのです。

印象派の画家たちは、確かに黒を使わないという方法を取りました。それでも描ける人はいいのですが、暗い色を作りたいのに使えないのでは、不自由です。

また、色が派手すぎるので、抑えるというとき、グレーを混ぜますが、それは、白と黒を混ぜるのと同じです。

そう考えたら、グレーを使うということは、白黒を使うと言うことなのです。
だから、イエローグレーとか、なんとかグレーという色はみんな白黒が混ざっていると考えて良いのです。

その辺のことを踏まえたら、透明水彩と不透明水彩ということにこだわらないで、描くのが、当たり前だということが分かると思うのですが、いかがでしょうか。

勘違いされている方に、ぜひ、お伝えしておきたいと思いました。

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最後の審判の続き

2009-08-29 | 美術
最後の審判とは、

キリスト教の教えの中に、キリストがもう一度現れて、人々を裁くということが言われています。それは、いつとは言われていません。ただ、近いうちにと。

神の国は近いという言葉で、言われています。
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これは、仏教では、弥勒菩薩が現れるということに似ています。
こちらの場合は、56億7千万年後、ということです。
この数字は、地球の終わりまでの時間に近いので、偶然とは言え凄いですね。

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キリスト教では、神を信じている人は、救われて天国に行き、信じない人は地獄に落ちるという考え方です。

仏教はどうなのかな?私は、観音様もそうであるように、全ての人々を救うのだと思っていまうが、違いますか?

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ただ、人は死んだらどこへ行くかとか、天国だとか地獄だとか、自分が選べるということが、私には信じられません。自分が信じるかどうかで、行き先が違ってしまうようなシステムなんでしょうか。
そんな簡単なシステムだとは思えないのですが。
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しかし、とにかく、最後の審判ということが行われるとキリスト教では言います。
それを多くの画家が描いています。文字が読めない人にとっては、このような絵で示されると分かりやすいですね。

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400人の人が描かれているという話ですが、数えてみましたが、数えきれません。赤ちゃんのような顔だけの部分が消えていくような描き方をしている部分があって、その辺でわからなくなります。300人以上はいるのは確かです。一番下の塊だけを数えても、70人はいました。そんなにいないように見えますが、結構いるんですね。
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地獄の門番、ミノスは一番右の下です。耳がロバみたいにとがって、急所に蛇が下から噛みついています。
顔を使われた人が、自分の顔を地獄の門番のミノスで使われたと苦情を法王に言ったそうですが、法王は地獄のことでは、私にも力が及ばないと答えたそうです。

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時計まわりの流れ

最後の審判の絵は、決まりがあって、必ず右側が地獄に落ちる状態で、左側が天国に救われる状態が描かれています。浮彫などもそうです。
パリのノートルダム寺院の入口は中央が最後の審判の入口ですが、やはり、そのようになっています。
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絵具に宝石を使った

青は、ラピスラズリーという宝石のような貴重な絵具が使われています。これは、アフガニスタンで採れる石です。
シュメール時代のメソポタミアの装飾品で使われいました。エジプトのツタンカーメンの黄金の仮面などにも使われいます。

シュメール時代に、ラピスラズリーの道というのがあったそうです。長さ3000キロの道で、二本です。シルクロードより昔ですね。
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男だと思ったら女だった。

クイズにはしませんでしたが、地獄行きが決まってびっくりしている顔の人が描かれているのが、わかりますか?その人は、足に悪魔が絡みついています。
実は、今回の修復で、この人は女性だったとわかりました。腰布を剥がしてみたら女性だったのです。ミケランジェロは体だけ見ると男を描いているように見えるものがほとんどですから、こういうことがあるんですね。
実際、まず、男を描いてからそれを女性にしたという話は、天井画のところでお話しましたね。
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パンツ画家

キリスト教の礼拝堂に裸が多すぎて良くないと批判が大きかったので、ミケランジェロが亡くなってから、腰布が描き足されました。そのため、それを描いた画家たちがパンツ画家などと言われました。
今回の修復では、その腰布を剥がす作業が行われました。ミケランジェロが描いた状態に戻そうということです。そのため、男だと思われていた人が女だったということがわかりました。
後から描き足した腰布は、テンペラで描いたのですね。

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空気遠近法の指導

2009-08-28 | 絵画指導
先日のカサブランカを描いた方に、今日は風景画の遠近法を教えました。

この方は、これまでの4年間で180枚以上の絵を描いたと紹介しましたが、そんなに描いたのなら、その中には、いくらか直せば良くなる絵もあるかもしれないから、自分で良いと思う絵を選んで持ってきませんかと勧めました。
そうしたら、今日は、この絵を持ってきてくれました。


構図は、安定していて、形の遠近法は分かっています。しかし、色の遠近がわからないので、空気が感じられません。遠くの山も近くの川や草も同じ近さに感じます。自然の描写をしながら、これでは、漫画的表現です。そのため、今日は空気を感じさせるにはということで、やってみせました。


それで、技法を学んでくださいと言って,この絵を直して見せました。
それが、これです。


どのように、変わったかわかりますか?

これを参考にして、もう一枚を同じようになるまで、やってみてくださいと話しました。こういう指導は、今までやったことがありませんが、同じ場所で描いた絵がたまたま二枚あったので、やってみる気になりました。

もう一枚の絵は、これです。やはり色の遠近が出ていません。


さあ、どうなるでしょうね。
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