水産庁が進める新しい資源管理システムの構築はMSYベースの資源評価に基づく数量管理の強化を特徴としているが、規制改革推進会議に求められて策定したローマップでは令和5年度を目途としたTAC魚種の拡大、IQ管理導入などの対象と期限が示され、現場に混乱と反発を呼んでいる。
道漁連が開催した全道説明会には、約80人の漁協組合長、専務参事らが出席し、水産庁が進める新しい資源管理の内容とロードマップについて説明を受け、質疑応答、意見交換を行った。説明会では、水産庁が「TACありきではない」「漁業者の理解を得ない資源管理はやらない」と、資源評価や管理目標、管理シナリオなどの議論に入るよう求めたが、疑問が続出し漁業者からの理解を得られなかった。
水産庁は令和5年度までに漁獲量ベースで8割をTAC管理するとの目標を掲げているが、新たなTAC管理の検討資源の候補にカタクチイワシ、ブリ、ウルメイワシを並んで、マダラ、カレイ類、ホッケ、ヒラメなど本道の主要魚種が含まれており、漁獲規制強化の懸念が出ている。特にホッケは沖合、沿岸が一致して平成24年度から道北系群の漁獲努力量の3割削減に取り組み、ようやく上向きの兆しが見えている。稚内水試の計量魚探調査では、過去最高の魚群数が確認されている。漁業者は「自主的な資源管理の努力を認め、いきなりの漁獲規制はやめてほしい」との声をあげている。また、他の魚種も漁法が多様で、混獲した魚種で操業が規制されるケースも想定されるなど問題が大きいとしている。
水産庁は、MSYベースの資源評価に基づくTAC管理について4魚種の先行導入を決め、マサバ・ゴマサバは今年から、マイワシ、サンマ、クロマグロは来年1月、スケソウ、スルメイカは同4月から開始するとしている。その後、ホッケ、マダラなど11魚種を第1陣、4魚種を第2陣と位置づけ、漁獲量を多い者を中心に取り組む計画だ。
道漁連では「資源減少の要因解明、資源評価の精度向上」「漁業者自らが取り組む資源管理措置の尊重」「漁業者の理解を得るまでは個別魚種の漁獲枠管理導入はしない」「資源管理の具体的な方針の明示と漁業経営の将来を見据えた支援策」を引き続き求めていく。
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