水産北海道ブログ

北の漁業と漁協がわかる情報満載です

2015年3月号 今月のフォーカス 太平洋クロマグロの漁獲規制とその行方 資源管理の困難性

2015-03-18 09:44:45 | 今月のフォーカス

 太平洋クロマグロの資源減少により、水産庁は「中西部太平洋まぐろ類委員会」(WCPFC)の国際合意に基づき、今年1月から30キロ未満の小型魚の漁獲規制を行っている。わが国の年間漁獲の上限は4007トン。その配分は、沿岸漁業1901トン、大中巻き網2000トン、近海竿釣り漁業等106トン。全国を6ブロックに分け、ブロックごとに上限を設け漁獲量をモニタリングし、その数値を都道府県にフィードバックする。また、大中巻き網、近海竿釣り漁業等は漁業種類ごとに管理するというもの。
 水産庁は、3月6日に27年1月分の30キロ未満の小型魚の漁獲量を343トンと発表。その内訳は、沿岸漁業(曳き縄、定置網等)94トン、大中巻き網246トン、近海竿釣り漁業等3トン。沿岸漁業者が口を揃えて指摘するように、圧倒的に巻き網の小型魚漁獲が大きいことを示している。
 時期的に見て北日本の漁獲は少なく、北海道は皆無だった。道は3月17日札幌で説明会を開き、管理手法の検討状況、強度資源管理について水産庁の話を聞いた。すでに西日本で資源管理の取り組んでいるが、北海道はシーズンオフとあってほとんど手つかずの状態。北海道は太平洋北部と日本海北部の2ブロックに分かれ、ブロック内の配分については、太平洋北部の上限346トン(1年7か月)に対し83.4トン、日本海北部の同625トン(1年3か月)に対し53トンとなっている。小型魚の漁獲上限、管理方法などの合意に加え、細則を決めて警報や操業自粛要請を受けないよう調整を図る。
強度資源管理は、クロマグロの資源管理によって漁獲努力量を15%以上削減する漁業者に対し、漁業収入安定対策に特別措置を行うもので、5%以上の減収で「積立ぷらす」が発動する。水産庁は「クロマグロ対策に関し漁業収入安定対策(ぎょさい+積立ぷらす)以外に考えていない」とした。
今後の管理の進め方について、道は「上限値ではなく、目安量を設定して取り組む」方針。振興局ごとに関係者がが話し合い、目安量の配分と細則を決める。定置網の網上げ、はえ縄の休漁も想定されるが、メニューを考え、実行可能な措置を選択していくことになる。
説明会では、漁業者や漁協関係者から様々な質問、意見が出た。例えば、この規制がなくなるのはいつか?「10年間で資源を回復させる計画だが、国際漁業管理機関(WCPFC) で3年ごとに見直しをするので、3年間は続ける」。上限値を上回った場合は?「定置網など予想以上に小型魚が入ることも考えられ、超過分は翌年の上限値から差し引く」。その配分は全体責任か?「ブロック内の調整は関係道県、漁業者が話し合って決めてもらう」。逆に上限値を下回った場合はどうするのか?「余った分を翌年に回し上限値を増やすことはしない。ブロックごとの基本数字は変えないが、仮に大幅に下回り、加入資源が状態が続けば、より厳しい規制が出る可能性もある」。強度資源管理と言っても、どんどん水揚げが落ちていけば、共済金が下がる構造ではないのか?「いわゆる5中3(漁獲金額の最高と最低を除いた3年間の平均額を補償水準の基準とする)で右肩下がりになった場合はそうってしまう。しかし、今回の漁業管理で資源は回復するチャンスがある。未来永劫にこの形でやるわけでないので、必要に応じて見直しを検討する」。
漁業者からは「この数字は厳しく、漁業者は生きていけない」「浜からの要望は何ひとつ聞いてくれないのか」「一番弱い漁業者守るような措置をとってほしい」「海外の資源管理の手法を取り入れ、(巻き網の)漁獲規制をやったらどうか」といった意見も聞かれた。
最終的には、道が「 すでに1月から漁業管理はスタートしている。(前例がないので)実際にはどうなるかわからない。今年はまずやってみる。支障が出れば国に物申す。マグロに対する世間の注目度を考慮し、やらざるを得ない」(幡宮道水産林務部水産局長)と強調。
出席者も「マグロ資源が上向くのは浜も期待している。安易に上限値を超える事態は、資源管理の意味がなくなる。初年度、道の力を借りてしっかり取り組みたい」(蝦名北るもい漁協専務)と共通認識が確認された。
しかし、法的規制でない要請という形であれ、操業自粛という事態が発生すれば、どうなるのか。定置網の網上げやはえ縄の休漁はあるのか?戦々恐々というのが実情だ。長い話になったが、国際合意に基づく漁業管理措置なので単純には言えないが、「資源管理のあり方検討」で表舞台に立ったマグロ資源問題。沿岸、沖合、遠洋と複雑な漁業で同一資源を持続的に利用することの難しさを象徴している。現場の漁業調整は都道府県と漁業者の叡智に任される。国はせいぜい枠組みを決め、ホームページに掲載するだけ。有識者も現場には現れない。水産庁による説明会はすでに3回目とあって、これでお開きとなりそうだ。資源管理の成否は現場に託された。

2015年3月13日(金)発行/北海道漁協系統通信6068号

2015-03-14 21:21:19 | 系統通信
27年第1回定例道議会が閉会
「新規漁業就業者の支援充実・強化」求める意見書採択

水産林務委員会(29期後期の最終)開く
ロシアのサケ・マス流し網、水産物モニタリング 
水産林務部の組織機構、行政の基本方向を質疑

外国人漁業技能実習制度に関する勉強会
拡充策を受け沿岸の漁船漁業乗組員にも本格導入検討を

ロシアの今期漁獲量85万トン
極東で62万トン、スケソウが約50万トン占める

大成水産(札幌)が海難遺児に寄付
創業25周年を記念し100万円

道漁連人事異動(4月1日付)
村上、斎藤、加瀬、大谷内、冨田部長、藤田、渡部専任部長
部長、支店長を大幅に入れ替え98名に発令

2015年3月号主要記事 予算 浜プラン 貿易 海獣 女性 鮮度

2015-03-13 16:18:33 | 月刊水産北海道

27年度道予算・26年度補正予算案(水産林務部関係)
補正127億円 構造改善9億7千万円投じ加工施設整備
地方創生枠で日本海振興、藻場機能回復、就業者支援の調査を

 道は、2月20日から3月11日まで20日間の会期で開かれた第1回定例道議会に平成27年度年度予算案(一定計上)と26年度補正予算案(冒頭提案)を提出し、補正予算は冒頭提案され可決・成立し、当初予算案は最終日に可決した。補正予算は、国の地方創生(まち・ひと・しごと創生法)に伴い、道の総合戦略から採択された事業で、水産では日本海漁業振興など三つが交付金を受ける。国は、地方創生枠について来年度は通常予算の中で対応する方針とされ、事業メニューの企画立案に一層の創意工夫が求められそうだ。
 当初予算案は義務的経費を中心とした骨格予算で、政策予算は4月の知事選後、6月に提出される。


平成26年度全道漁協指導部門担当者会議
燃油高騰対策など水産予算、浜プランの説明
基金事業の予算事業化、地方創生の流れに対応を

 道漁連は、平成26年度補正・27年度水産関係予算、浜の活力再生プランを説明する全道漁協指導部門担当者会議を2月12日午後1時30分から札幌市センチュリーロイヤルホテルで開催し、百名を超える漁協職員が水産庁、全漁連から詳しい話を聞き、質疑を交わした。国の財政再建による基金事業の廃止や単年度予算化、地方創生(ひと・まち・しごと創生法)への流れに乗り遅れない対応が求められることが強調された。


グローバル化進む水産物貿易の傾向と対策
輸出2,337億と5%増、絶好調ホタテがリード
輸入も253万トン、1兆6,500億と数量・金額とも前年上回る

 農林水産省は、2014年(平成26年1月~12月)の農林水産物と加工品の輸出が6117億円と過去最高を更新、前年を612億円、11.1%上回ったと発表した。輸出動向は円高や福島原発事故の影響などによる落ち込みを脱し、昨年は1955年(昭和30年)に「輸出額の統計を取り始め以来の最高値」となった。
 このうち水産物は、2,337億円で前年に比べ5.4%増。ホタテ貝、サケ・マス、乾燥ナマコなど本道に関連する魚種が上位を占めた.特にホタテは米国向け玉冷、中国向け両貝冷凍が伸び、金額が1割以上増加した。
 一方、輸入は254万トン、1兆6,542億円と数量・金額ともに前年を上回り、いぜんとして国内の水産物市場に大きなボリュームを占めている。サケ・マスやカニ、タコ、イカなどの数量が減少する中で、冷凍すり身が増加。チリ銀が回復したサケ・マスやカニ、ウニなどの金額が伸びた。
 農水水産省が2020年(平成32年)までの実現をめざす1兆円(水産物3,500億円)の輸出目標の達成には、海外向けの商品開発や輸出国のHACCP対応など、多くのハードルがありそうだ。


「先例ない」海獣の個体数管理
「道アザラシ管理計画」案を審議会で了承
漁業被害軽減に道北のゴマフ定着個体を半減

 道環境審議会は2月5日、道北地域に周年定着するゴマフアザラシの個体数を2年間で半減させる「道アザラシ管理計画」案の報告を受け了承した。鳥獣保護法に基づく第二種特定鳥獣管理計画として「先例のない」海獣の個体数管理を盛り込んだ。
 取りまとめを行った自然環境部会の齋藤隆部会長(北大北方生物圏フィールド科学センター教授)は留意点として「海獣を管理する計画の先行事例がない」「ロシアなど個体群の特定情報が少ない」ことを踏まえ、法律に基づく計画を策定する理由について「回遊性が強く、国政的な交流で幅広い情報収集が必要」「情報不足を解消するため、道の管理への意志を明確にする」との狙いを説明した。

第35回JF全道漁協女性部研修大会
「女性の時代」500人を超える部員が活性化誓う
“東日本大震災の復興”岩手県女性連会長の講演を聞く

 道漁協女性部連絡協議会(道女性連)は、2月18日午後2時から定山渓ビューホテルで第35回全道漁協女性部研修大会を開催し、500人を超える部員が会場を埋め、厚岸漁協女性部や根室湾中部漁協女性部による女性部活動報告や岩手県女性連の盛合敏子会長の講演「~東日本大震災からの復興~『その時‥私がすること そして今‥私にできること』」を熱心に聞いた。「女性の時代」にふさわしく終始、浜を支える女性部員の熱気あふれる大会となった。


釧路市で水産物の鮮度保持と高付加価値化を考える講演会開催
消費者目線での情報運用必要 求められるニーズの把握
「鮮度は大きな付加価値」。それをどう伝えるかが今後の課題

 「釧路地域における水産物の鮮度保持と高付加価値化への取り組み」が2月24日午後1時から釧路水産センター3階大研修室で開かれ、水産加工会社や行政関係者、食品加工機械メーカー役職員など80名が、全国の高付加価値化先進事例や鮮度保持技術の活用などについて専門家の話を聴いた。
 この講演会は産総研北海道センター、釧路市水産加工振興協議会など6団体が主催。高鮮度を売りとした釧路産水産物をどう販売するのか、鮮度保持のツールをどう活かすのかなど活発な議論が展開され、その中で釧路が抱える課題も見えてきた。

月刊水産北海道 平成2015年3月号が出ました

2015-03-13 16:13:06 | 月刊水産北海道

今月の表紙(写真)は、「毛ガニ盛漁期の釧路東部海域と好調続くヤナギダコ漁(浜中、散布、厚岸、白糠)」です。

 2月1日に解禁された釧路東部海域(昆布森~浜中)の毛ガニかに篭漁は現在、最盛漁期を迎えている。各地とも800gを超える特大サイズは少ないものの、大中サイズが前年より増加傾向にあり、今後の漁に期待がかかる。白糠ではヤナギダコ漁が続いている。はしりから好調な漁が続く一方、沖では子ダコの姿も多数確認されており、来年度は更なる漁獲量増が見込まれている。


[プロフィール]
・ A4判変型・56ページ(モノクロ56ページ)、平成27年3月15日発行

目次です。

〔モノクロページ〕
・東日本大震災3.11から4年
「重茂の津波は青かった」大震災の記憶と教訓 3
・27年度道予算案・26年度補正予算案
(補正127億円 構造改善9億7千万円投じ加工施設整備) 6
・平成26年度全道漁協指導部門担当者会議
(水産予算、浜プランを説明) 8
・農水産物輸出額が連続で過去最高
(水産物貿易の傾向と対策) 10
・アザラシ類の捕獲許可をトドハンターに広げる
道が「先例ない」アザラシ管理計画、個体数管理へ  14
・パワー全開・女性部が結集
「第35回JF全道漁協女性部研修大会」 16
・平成26年度全道漁協漁場環境保全研修会
(流木等の漂流漂着物対策について見識深める) 18
・ 道漁業環境保全対策本部がサハリン・エナジー社と情報交換 19
・ 平道の漁業取締船「ほっかい」進水式
(関係者20名が集い新生ほっかいの安全運行を祈願) 20
・ 北辰丸竣工記念道総研セミナー
「北海道の海を科学する試験調査船」 21
・ 第13回北海道フードフェア
「第22回北海道加工食品コンクール」表彰式 22
・ 厚岸漁協がサッポロファクトリーで「味覚まつり」 24
・ 北海道一周「浜の味」産直市
(9団体が各地自慢の海の幸を提供) 25
・ 道さんま通常総会
(洋上買魚やTAC削減、国際条約の発効などに対応) 26
・ イエローページ JF共済  27
・ 行政だより 31
・ 釧路・鮮度・付加価値セミナー 32
・ ヤナギダコ漁の現場から 白糠漁協タコ縄部会 山田明部会長 35
・ 日高コンブフォーラムinさまに
(日高昆布の将来と流通の変化をテーマに200名が参加) 36
・ 豊漁の日本海ニシン
(1,230トンを水揚げ、前年最終実績を上回る) 37
・ 農業改革で何が変わるのか?
安倍首相がいよいよ農協改革を「断行」 38
・ 海防水救センターが全道事務担当者研修会
(海中転落による死亡・行方不明を防ぐ救命衣の着用を) 42
・ 水産機械研究会講習会in室蘭を開催
(栽培漁業の未来についての解説と意見交換) 43
・ 渡島管内漁業士会・女性部・青年部合同研修会 44
・ 全国秋サケ来遊状況
(4,458万尾、前年比86%、重量13.9万トンは90%) 45
・ スーパーの水産物の販売動向
(2014年販売統計・生鮮3品の構成比で水産が10%切る) 46
・ トピックス 47
・ 知ってますか水産普及情報 53
・ 編集室から 54
・ 釧路西部・十勝各海域の毛ガニかに篭漁終了
(十勝は単価安で金額減 白糠は平均キロ単価3,300円超える) 55
・ 「漁業就業者支援フェアinさっぽろ」
(過去最高 29団体が出展、漁業志す28人来場、研修候補17人を指名) 56

〔カラー広告〕
・ 表2 浜の自動車保険(水共社)
・ 表3 取水管布設・更正工事 ジオテック
・ 表4 ヤンマー舶用システム

[モノクロ広告]
・ 「あうんの呼吸」で暮らしを保障 JF共済 1
・ 年金はマリンバンク 2
・ 漁業用ライフジャケット エスパーダ 東洋物産 4
・ クラストップクラスの大排気量エンジン ヤンマー舶用システム 5
・ 道漁業信用基金協会 47

2015年3月10日発行/北海道漁協系統通信6067号

2015-03-11 17:57:49 | 系統通信
第4回浜プラン道推進協議会
全道87プランが年度末までに100%承認の見通し

予算特別委員会で秋サケ、担い手対策を質疑
前期偏重の資源構造見直し、農業並みの国の支援を

釧路で水産物の鮮度保持と高付加価値化を考える講演会
「鮮度は大きな付加価値に」築地市場の担当者が語る 
高付加価値の釧路産水産物販売拡大を目指し活発な議論

平成27年釧路東部海域毛ガニかに篭漁(2月末現在)
時化で操業日数伸びず 平均単価は2千円超えと高値に

日高管内毛ガニかに篭漁(2月末現在)
東部海域終漁 庶野は許容量消化、えりもは2割未消化
西部海域は数量・金額ともに順調 天候・単価に恵まれる

平成26年度JF共済新規加入実績(2月末)
チョコー純新規累計実績171億円 北海道カウント同327億円
長期共済(純新規)累計実績は416億円 年次達成率94.5%

道信漁連人事異動(4月1日付)
本店営業部長に高屋敷室蘭推進センター長
高屋敷氏後任に函館支店小林副支店長