今朝電車の中で目の前に座っていたおじさんが突然立った。
その素振りから、私は荷物のリュックを網棚に乗せたいらしい、と読んだ。
なのでつり革を離してスペースをあけた。
おじさんは無言で正面を向いたままイナバウアーみたいに上半身を反らせて
荷物を網棚に乗せた。
身体の方向を変えるというロスがなくていいのかもしれないけどヘンだった。
その間ずっと私の方を見ていたので 目のやり場に困った。
場つなぎにでも
「ちょっと失礼」とか
「すみません」とか言えばいいのに。
身軽になったおじさんは膝の上でノートパソコンを開いた。
でもパソコンをする気配はない。
右手に持ったスマホをずっと見ている。
老眼なのか、メガネを外してそのメガネを左手で持っている。
つまり両手がふさがった状態で満員電車で膝にはパソコン、だ。
液晶の見やすい角度に大きく開かれたノートパソコン。
揺れる車内で おじさんの膝のバランス具合だけが頼りの危険なパソコン。
次の駅にとまる直前、おじさんの隣に座っていた女性が立った。
そしてドアの方へ進もうとしたとき 荷物がパソコンに軽くだけれど当たってしまった!
女性は気づかなかったらしく行ってしまったが
おじさんはすごい形相で女性の姿を視線で追っていた。
神社にいる仁王の「あうん」の顔みたいだった。
おじさんが手でパソコンを押さえていれば気にもならないほどのことだったと思うよ。
そもそもガバッと開き過ぎなんだよ。
落ちなくてよかったじゃん。
自分が反省するところだよ。
おじさんが敵意丸出しで女性をにらむその横顔を
私がしっかりにらんでおきました。
関係ないけどすっごくにらんでおきました。
私の目からはレーザービームが出ていたと思います。