SURGERY NOW note

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カプサイシンの胃への効果

2006-08-13 | 雑感
 最近日本で人気のあるタイ料理、韓国料理、インド料理などには唐辛子が多く含まれています。この唐辛子の辛みの主成分であるカプサイシンと胃粘膜との関係が最近わかってきました。

 主に胃体部と前庭部の胃粘膜にはカプサイシン感受性知覚神経があります。カプサイシンによりこの神経が刺激されると神経末端からカルシトニン遺伝子関連ペプチドという物質が遊離され、それにより胃粘膜血流が増加し、胃粘液の分泌が促進され、胃酸の分泌は抑制されます。胃粘膜血流と粘液が増加して胃酸が減少することにより、障害された胃粘膜は修復されて、胃粘膜は保護されます。すなわちカプサイシンは胃粘膜を保護する健胃作用があることが明らかになったのです。

 ですから”辛い”食べ物は、程よく食べれば胃に良いのです。シンガポールでの疫学調査では、シンガポール在住の中国人は、マレーシア人およびインド人よりも胃潰瘍の頻度が3倍高いことがわかりました。マレーシア人およびインド人に胃潰瘍が少ない原因としては辛いものを多く食べる食習慣が関係していると考えられています。しかし、唐辛子を食べ過ぎると血流が良くなり過ぎて傷から出血する可能性もありますので程々に。ちなみに、カプサイシンには育毛効果もあるそうです。