SURGERY NOW note

がん治療と外科手術に関する新しい情報や日常診療を通じて感じたことなどを紹介します。

膵癌に対する手術は難しい

2014-05-03 | 治療
膵切除は、確かに複雑で難しいのですが、膵臓外科の専門医がいる施設であれば、現在はかなり安全におこなうことができます。しかし、術後に膵液瘻といって、膵臓の断端または膵腸吻合部から膵液が漏出すると、膵液によって動脈壁が傷ついて腹腔内出血を起こすことあります。また膵液瘻に感染が起こると腹腔内膿瘍となり、さらには全身性感染症である敗血症となることがあります。これは生命に危険のある重篤な状態です。世界で最も権威のある臨床雑誌New England Journal of Medicineの数年前の号に、膵切除後の入院死亡率が約5%もある論文が掲載されていました。20人に1人は死亡することになります。日本の大規模な手術統計では、約2%程度でした。