SURGERY NOW note

がん治療と外科手術に関する新しい情報や日常診療を通じて感じたことなどを紹介します。

救急医療における終末期医療に関するガイドライン

2007-10-14 | 雑感
 2007年9月に日本救急医学会は「救急医療における終末期医療に関するガイドライン」を公表しました。このガイドラインは、今後全ての医療分野おける終末期医療の指針になっていくものと思われます。

 このガイドラインでは「救急医療における終末期の延命措置の中止基準」および「延命措置を中止する方法の選択肢」を具体的に示しています。そして、こうした一連の過程を正確に診療録に記載すべきことを述べています。関心のある方は日本救急医療学会のホームページに掲載されていますので一読されることをお勧めしたいと思います。

昭和大学胆膵病理学セミナー

2007-10-13 | 学会
 2007年10月13日昭和大学病理学教授の諸星先生が開催した「胆膵病理学セミナー」に参加してきました。

 病理学とは手術で切除された臓器や解剖で提供された臓器を顕微鏡で観察することにより病気による組織学的変化を研究する学問です。最近では病気による生化学的変化や分子生物学的変化を研究することも病理学の一部とされています。

 このセミナーでは膵臓の病理学の世界的権威であるドイツのキール大学クレッペル教授と米国のエモリー大学アドセイ教授の講演を聞くことができました。講演で紹介していましたが、彼らは共同で18例の膵管内管状腫瘍(intraductal tubular tumor、ITT)の病理所見を検討した論文を近日中に発表するそうです。ITTは大変珍しい膵腫瘍であるため、これまでITTについてこれほど多数例の検討はありませんでした。この論文が出ると世界中の注目を集めることは間違いありません。

 ちなみにセミナーでは私が手術したITTの患者さんについてレジデントの先生が発表したのですが、クレッペル教授もアドセイ教授もITTの診断で間違いないだろうとのことでした。世界的権威である両人のお墨付きが得られましたので是非レジデントの先生が早く論文を書いてくれることを期待しています。