本棚を整理していて、古い本を発見し、取り出してきた。
加島祥造さんというのは、アメリカ文学者らしく、翻訳もしていたという。
73歳で伊那谷に移住して、92歳で亡くなった。
この本の副題は「60歳からの自己発見」と書いてあったので、再度取り出したのだ。
当初の題名は「今を生きる」だったが、文庫化するときに改題して「老子までの道」にしたという。
著者はアメリカ文学者であったが、60代を過ごすうちに、老子に関心を持ち、タオイストになったようだ。
この文庫には21の随想文があり、横浜に住んでいた時代から伊那谷に移ってからの60代に書いたものだという。
このなかで気になった文章があった。それは「いま、なんで老子やねー宇宙会議と碁」という文章で、ある女性から標題のように問いかけられた著者が講演のなかで「なんで老子か」について、 「地球にとっていま、なんで老子が大切か」という空想話をしたということです。
それは、もし宇宙会議があったら地球代表には老子がふさわしい。そして 「いま地球にとって何がいちばん大切なことか」と問われたら、老子は「不争」(争ソワズ)の二語で答えるだろうというのです。「争う」というのはタオのエナジーの「むだ使い」だ。自然はそんな愚行をしない、というのです。
さらに、「日本人にとって、いま、なんで老子か」ということへの答えは「自足」の二字だといいます。著者の言葉によれば、それは「いまの自分に満足する、そしてそれを本当の富とするんだ」といい、老子はひとたび衣食住が満足したら、こんどは自分の「内なる自由」を見つけだすべきだというのです。
著者流の解釈ということなのでしょうが、なるほどなあと思いました。
私も老子を読んでみようと思いました。