杉ちゃんのWEB日記

国際山岳ガイド 杉坂 勉のブログ

2013-8-26~28 西穂~奥穂縦走

2013-08-29 16:39:25 | ガイド山行記録
 山はすっかり秋めいてきました。8月の最後の週、26日~28日にかけて、穂高に行ってきました。
コースは西穂からジャンダルムを越えて奥穂に至る縦走です。
 26日はゆっくりと西穂山荘まで。今週の天気を見たからか、山荘は結構混んでましたね。
明けて27日は濃いガスの立ち込めた中での出発。視界不良の中、ヘッドランプの明かりだけを頼りに登って行きました。
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 独標を過ぎたあたりからガスが切れはじめ、西穂の山頂に着くころは快晴。遠く立山まで見渡すことが出来ました。



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 雲海とガスの切れ間に浮かぶ山々はまさに絶景。アルペンムード満点の中での縦走となりました。



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 去年も一度夏にはここを歩いているのですが、なんだか今年はちょっと様子が違う感じ。天狗からのくだりも大きな浮石が微妙なかんじで引っかかっている個所があり、奥穂からの登山者と道を譲りあいながらのすれ違い。西穂から先、天狗のコルまでは要注意です!



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 正午ごろにはジャンダルムに無事到着。しかしこの頃にはあたりは再び濃いガスに包まれ、すぐそこに見えるはずの奥穂高山頂も白いベールの彼方・・・



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 さらに2時間後の14時過ぎ、無事に奥穂高岳山頂に到着。記念撮影もそこそこに、かなり気温の下がって寒くなった山頂を後に、穂高岳山荘へ。
 今回も怪我なく、無事に縦走を完走することが出来ました。山の神様に感謝。
 しかし、今回はなんとなく脆くなった山を感じた山行でした。よくは分かりませんが、空梅雨とその後のゲリラ豪雨、そんな両極端な天気の影響なんでしょうかね・・・





帰ってきました!

2013-08-19 19:26:18 | ブログ
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先日早くもチューンアップに出していたスキーが帰ってきました。
6月の立山・内蔵助平スキーでかなりボロボロになったのですが、またはやく乗ってくれ!とばかりに見事きれいになって帰ってきました。
巷はまだまだ夏本番ですが、気持ちはすでに白銀の世界です!!





合宿終了

2013-08-17 17:11:12 | ブログ
合宿終了
草刈り合宿、本日滞りなく終了しました。
今年はやはりここ内蔵助平の残雪も多く、沢筋にはまだ雪渓が残っておりました。
これから雪渓はどんどん解けていくと思いますが、その分崩落の危険も高まって来るので要注意!!
むやみな横断やど真ん中を闊歩するなんてことはご法度です!


世界遺産の…

2013-08-13 16:45:06 | ブログ
世界遺産の…
今、世界遺産の富士山に来ています。
天気は雨こそ降らないものの、濃いガスに包まれて何も見えないあいにくの空模様…
しかし心配していた大混雑も、然程でもなさそうなので一安心。しかしここは夏の富士山!明日はご来光を拝んでから出発の予定です。


2013-7-31~8-4 槍ヶ岳西稜

2013-08-05 19:26:48 | ガイド山行記録
 北陸、東北はようやく梅雨明けした模様ですが、まさにこのタイミングで、穂高岳連峰の最奥、、槍ヶ岳へ行ってきました。
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 入山は7月31日、爽やかな空気に包まれた上高地からの出発でした。



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 午後になると、穂高の稜線に雲がかかり始め、まだまだ上空の大気が不安定であるように思われました。
 翌8月1日は、昨夜からの断続的な雨が本降りとなり、槍沢ロッジに停滞。のんびりと過ごしました。



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 3日目の8月2日も、朝は小雨の降るようなぱっとしない天気。まあ、大崩れしない予報だったので、予定通り6時に槍ヶ岳山荘をめざし出発。足取りは順調。ほぼコースタイム通りに進んでいきました。大曲を過ぎると、今年の山の特徴ともいえる残雪の多さが目に付きます。しかしトレースはばっちりとついており、安定した雪渓を上って行くことができました。
 




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 坊主の岩小屋からは、濃いガスに包まれ、槍ヶ岳を望むことも出来ず、しかし今まさに満開とばかりに咲き誇る高山植物の中のアプローチはなかなか趣もあり、飽きずに歩を進めます。
 最後はカッパを着ての急登でしたが、予定通り正午前には槍の肩へ。明日の行動を見据え、小屋でゆっくりと過ごしました。
 夜も登山客でにぎわう小屋の中で、明日の天気を気にしながら早々と就寝。明日の西稜の登攀に備えました。




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 我々の思いが通じたのか、翌8月3日は朝から最高の天気!ゆっくりと準備を整え、午前7時、雲一つない快晴の中、いざ小槍めざして週発!



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 先ずは大槍へ至る登山道をたどり、登り専用道が尾根を回り込んだところから、ガラガラにがれた滝谷ばりのルンゼンを小槍めざして下って行きます。落石は必至なので、慎重に慎重に下りました。そして5mほどの段差をロープを使ってこなし、傾斜が緩くなってきたあたりから子槍のコル目指してトラバース。コル直下は広いテラス状なので、ここで身支度を整え、まだ肌寒い空気野中、いざ子槍へ取り付き!



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 子槍の登攀は、コルまで20mまでⅡ級の簡単なルンゼをたどり、その後、頭上のリッジ沿いを2ピッチで登ります。岩も硬く、グレードも手ごろなⅣ級程度。快適なフェースクライミングを味わうことができました。
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 子槍の山頂は、情報通りなかなか広く快適。北は剣、立山から後立の白馬、薬師、黒部五郎、水晶、西は白山と、素晴らしい眺め。しばしこの大パノラマを堪能。(おかげでアルペン踊りをするの、忘れてしまいましたね・・・)



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 さてさて、しばしの至福の後は、一度コルまで懸垂下降。今回は60mロープ1本なので、2回に分けての懸垂。



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 コルの下にデポしておいたザックを回収し、再びコルへ。そして西稜の登攀開始。まず曾孫槍を越えますが、コルからのリッジに続くスラブは、瓦礫の積み重なったかのようなぼろぼろの壁・・・。一挙手一頭足に集中しながらじりじりと登って行きました。
 しかしさすがの曾孫槍直下はぼろぼろ過ぎて危険・・・右から巻いて越えました。



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 続く孫槍のスラブは快適。出だしこそグズグズのチムニー状ですが、その上は硬いスラブ。登りやすそうなところを狙い、左へ左上したり、リッジを登ったりとルートファインディングしながらグイグイ登れました。
 しかし孫槍のピークは小槍と違いかなりのゲキ狭!とても山頂に立てる代物ではなく、一人づつまたぎ越してはクライムダウン。




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 最後に控える大槍への登りは、今回のハイライト!しかし岩は、最後の最後で再びボロボロ!しかも孫槍とのコルからは一般縦走路がすぐ右下を走り、小石のかけらさえ落とすことは厳禁!!まさしく地雷原をジリジリと進むような、緊張感マックスの登攀となりました。
 山頂直下の崩壊地ではいよいよ行き詰まり、右へ出ようかとも考えましたが、もう下には多くの一般登山者が穂先への順番待ちで賑わっており、それもだめ・・・

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 結局行きつ戻りつした挙句、崩壊地の白くなったど真ん中、今にも崩れそうな積み木状の大岩へ。ところが見た目脆そうな大岩も、叩いてみると案外硬く安定しており、針の先に糸を通すような感じでようやく穂先へ。落石を落とすことも無く、無事に大槍の穂先へたどり着けました。
 いやー、今までの槍の中で一番緊張した―!!

 




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 あとは穂先での記念撮影の順番待ちの波に乗り、意気揚揚で肩の小屋まで下山。午後の日差しの中で、今日たどった西稜を眺めながら祝杯をあげることが出来ました。槍ヶ岳、ありがとう!!




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 最終日の8月4日は、予報に反して朝から濃いガスに包まれ、穂先を拝むことさえ出来ないあいにくの天気。
 下山は、行きの槍沢からの道ではなく、新穂高へ降りる飛騨沢を選択。白いベールに包まれた槍ヶ岳を後にして、今回の大??登攀の余韻に浸りながら、5日間に及ぶ長い山行を終えました。
 爽快な上高地からのアプローチに、のんびりとしたお花畑の山歩き、そしてピリピリするような西稜の登攀と、盛りだくさんの5日間。登攀日の天気にも恵まれ、本当に“山”を堪能したといえる幸せな5日間でした。山の恵みにホント感謝ですね!