杉ちゃんのWEB日記

国際山岳ガイド 杉坂 勉のブログ

2018-9-27~29 剱岳・別山尾根

2018-09-30 11:09:02 | ガイド山行記録

このところ山は雨続きのようですが、28日のわずかなチャンスをとらえて今季最後の剱岳に行って行きました。

27日は小雨の降る室堂に到着。あたりはガスで何も見えない状態。それでも明日の天気予報はあいかわらず快晴の模様なので、翌日の好天に期待をしての就寝。

明けて28日は明るい月あかりの中、3:50分ヘッドランプを点けて室堂山荘を出発。雷鳥坂の登りで夜は明け、富山平野は雲海に包まれとても幻想的な光景。

 

別山乗越からはやはり雲海に包まれた後立山連峰の雄大な光景が!雲をまとった山々がいつにも増して雄大に見えました。

 

剣沢に小屋で大休止ののち、いうよいよ別山尾根へ。一服剱からは前剱が圧倒的な姿で立ちはだかります。

 

前剱大岩、門と次々と現れる難所を慎重に越えていきます。

 

平蔵の頭を越えていよいよ最大の難所、カニのタテバイ。タテバイの長い鎖場を越すと剱岳山頂はもう目の前。振り返ると越えてきたピークが、丁度湧き上がるガスに包まれてより一層の険しさを際立だせていました。

 

平日という事もあり、今日は静かな剱岳山頂。記念撮影も順番待ち無し。

雲海の向こうには立山越しに槍ヶ岳の勇姿も。

9月最後の剱岳、とても素晴らしいロケーションの中、満喫してきました!!


2018-9-22~24 剱岳・源次郎尾根

2018-09-25 09:38:02 | ガイド山行記録

秋もいよいよ深まってまいりました。立山・剱岳周辺も紅葉が進んできています!そんな中今週は源次郎を登ってきました。

 

入山日の22日は久々にカッパを着ることなく、秋晴れの中を快適に入山。室堂周辺もここ2~3日で大分色づいてきました!

 

秋分の日の連休という事もあり、渋滞に巻き込まれるのも嫌なので3時45分剱沢の小屋を出発。すでに先行パーティーもいるようですが、丁度後続との間に入り、渋滞知らずで快適に登攀。

 

1峰の肩に出るまでのセクション。所々現れるやさしい岩場を順調に越えていきます。

 

先日登った成城大ルートもバッチリ見えました。平蔵谷を挟んで対岸の別山尾根にもたくさんの登山者。

 

ハイマツの中についている踏み跡をたどり、簡単な岩稜を越えるとⅠ峰は間もなく。

 

目の前にはⅡ峰とさらに続く剱岳本峰のどっしりとした山容が。稜線からは八ツ峰越しに五龍、鹿島槍、爺と続く後立山連峰。

 

時間的にも余裕があり、心配していた渋滞にも巻き込まれそうにないので、Ⅱ峰はあえて岩壁部分をクライミング!

Ⅱ峰の懸垂も難なくクリヤー。あとはひたすら本峰へと続く踏み跡をあえぎながら登っていきます!

 

やはり剱岳山頂は黒山の人だかり!! それでも気持ちよい秋晴れの中を、登り切った満足感に浸りながら記念撮影。

下りの別山尾根では、カニのヨコバイで案の定渋滞に巻き込まれましたが、左にさっき登ってきた源次郎を見ながらの下り。

10時間ほどで剱沢の小屋へ帰ってきました。

 

翌朝はこれまたきれいな朝焼けの中、心地よい疲労感に包まれながらの下山となりました。

 

 


2018-9-17~19 剱岳・源次郎Ⅰ峰上部成城大ルート

2018-09-20 11:28:40 | ガイド山行記録

9月も連休ウィークに突入。敬老の日から3日間、剱岳のクライミングに行ってきました。

17日はあいにくの天気。室堂から雷鳥坂の登りまではガスガスの中の入山。別山乗越から剱沢の下降は本降りの雨…。

 

雨は17日夜にはあがったので、翌日の天気に期待しての就寝。明けて18日は剱岳本峰にはうっすらとガスがかかっているものの、源次郎Ⅰ峰は見えているので少し時間を遅らせ、朝5時に剱沢の小屋を出発。

剱沢の下降は雪渓がかなり少ないものの、武蔵の出合あたりからは安定して下降可能。

 

まずは源次郎Ⅰ峰の肩をめざしハイマツの藪漕ぎで源次郎尾根のアプローチ。すでに膝が傷だらけ…。肩から中央バンドへのトラバースも激しい藪漕ぎでした。

成城大取り付きのハング下はまだびっしょりと濡れていましたが、見上げるルートはまずまず乾いていたので予定通り取り付き。

 

1ピッチ、2ピッチと順調にロープを伸ばし、ハイマツテラスへ。そこから右の名古屋大ルートと分かれいよいよ本ルートの核心、4ピッチ目のトラバースへ突入。多少ホールドは濡れていましたが、フリクションの良く効くエッジを頼りに左へ左へとトラバース。ルート図にかかれているクラックはブッシュ交じりで良くわかりませんでしたが、おおむね岩は硬く快適なクライミング。

 

今回は4ピッチ目を真ん中のダイレクトルートを横切るところで一旦切って2ピッチで抜けました。最後のクラックは一見もろそうなフレークでしたが、ここも硬い花崗岩でフリクションを利かせ豪快に越えました。

 

最終ピッチも無難に越えて登攀終了。案外そこから源次郎の縦走路に出るまでも侮れず、ハイマツをひっつかみながらのクライミング。

縦走路に出てまずは一安心。短いながらもピリッと辛く快適なクライミングを楽しめました!そしてここからが剱沢めざし源次郎尾根を怒涛の下降!途中懸垂下降を交えながらの厳しい下降となりました。

剱沢の小屋へ戻ったのは夜の7時30分。ちょっと時間がかかり過ぎましたが無事に下山。やれやれといった1日でした。

19日は朝から快晴。空気もかなりひんやりとしてとても気持ちの良い中を室堂まで下山してきました。山はもうすっかり秋ですね。

 


2018-9-3 龍王東尾根

2018-09-04 11:09:49 | ガイド山行記録

ヨーロッパから帰国後最初のガイド山行は立山の龍王東尾根に行ってきました。

おりしも台風21号が急接近する中、直前の晴天を狙っての入山。やっぱこの時期の日本は台風やら前線やら天気が悪い…。

龍王の東尾根は、ガイド山行、研修、そしてプライベート山行での足慣らしと、とてもよく使っているルート。この春もスキー板を背負って登り、山頂ツインシュートを滑ったばかり。

今回は一ノ越から御山谷へ延びる踏み跡をたどり東尾根の末端へ。そこから10分ほどの登り返しでルート取り付き。今回は忠実に末端の岩稜から取り付いてみました。

3級程度の岩稜はステップ、ホールドともに豊富で、バリエーションルートのトレーニングとしては最適。

 

途中ハイマツのやぶこぎや歩きを交えて10m程度の岩場を二つ三つ越えていきます。

山頂直下のルンゼは崩壊がすすんでおり、すこし危ない感じでしたがクライマーズライト側のハイマツをたよりに木登り。

ルンゼを越えてからの山頂までの歩きでは雷鳥の歓迎??も。

台風間近の北アルプスは、雲が多いながらも槍ヶ岳や笠ヶ岳まで遠望出来ました!

龍王の東尾根、こじんまりしている中にも変化があり、なかなかいい山行を楽しめました。