杉ちゃんのWEB日記

国際山岳ガイド 杉坂 勉のブログ

きました!

2013-05-31 11:51:21 | ブログ

先ほど、待ちに待った国際アスピ・スキーガイド検定の合否通知がきました。

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結果は

合格!

左膝の前十字靭帯断裂もあり、長い間戦列を離れる時期もありましたが、ようやくこれでアスピラン(見習い)ガイドになることができました。

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これもひとえに皆様の温かいご声援とご支援のおかげです。本当にありがとうございました。

また苦労をかけてきた妻にも感謝の気持ちでいっぱいです。

しかし国際ガイドになるためにはこれからが本番!まだまだたくさんの宿題と研修、そして卒業試験をこなさなければなりません。

これからも初心を忘れることなく、made in Japan の誇りをむねに、国際ガイドとなれるよう精進を重ねていきます!!


ロングラン完走!

2013-05-30 20:14:33 | 国立登山研修所研修会

先日無事に登山研、大学生春山研修会を終えて帰ってまいりました。

今回私はなんとスキー班を担当することを仰せつかり、まったくもって身に余る光栄。歴代講師の中で、間違いなくスキー滑走技術ワーストワン(というより論の外・・・・)のこの私が・・・誰がその当時このような光景を想像できたでしょうか??努力の甲斐がありました・・・(このことは学生にも伝えよう!努力は報われる!!人は変われる!!!)

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さてさて何はともあれ、話を続けましょう。今回のスキー班は、男の中の男、佐伯岩雄先生のもと、日本を代表するような優秀な大学から集まった子たち(でもスキーを履くとまるで迷える子羊たち・・・)と、テールガイド的な私(まるで迷える子羊を追い立てる牧羊犬のよう・・・)の総勢7人。

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快晴の室堂を出発し、真砂の大走りを登り、内蔵助カールから内蔵助平へ至る大斜面を滑降。

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これが今回滑ってきた内蔵助の大斜面!んー、ちょっと彼らには急すぎたかな・・・

この日は平でテン泊し、翌日ハシゴ谷経由で剣沢へ。

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ここで一度荷物をデポし、二俣~北俣谷をさかのぼり、池の平山へ。山頂は時間切れで立つことはかないませんでしたが、それでも山頂直下にひろがる大斜面は大いに堪能することができました!

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この日はデポを回収後、真砂沢ロッジ(当然小屋はまだ深い雪の下)でテント泊。

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3日目はいよいよ今回のハイライト。長次郎谷をつめ、剱岳本峰へ。

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全装を担いでの登高だったので、研修生たちはさぞかし大変だったことでしょう。でもそこはさすがに20代。山頂では今までの疲れも吹っ飛んだかのように、満面の笑みをたたえておりました!

しかしここからが地獄・・・

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さすがに重い荷物とスキーを担ぎ、さらには硬いブーツでの下降は一苦労。カニのタテバイ付近の急な雪壁ではスキーをはかせるわけにもいかず、軽快に滑降する岩雄先生の後ろでひたすらバックステップ。

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ようやくたどり着いた平蔵谷も、すでに消耗しきった彼らの脚力では満足に滑ることもできず、転んでは立ち上がり、また転んでは立ち上がりの連続。その光景はまるでかつての私そのもの・・・尻制動でタッタカ下りていく本部の先生方にも追いつけず、なんと機動力1番のスキー班が下山最後尾に・・・今回の計画、彼らにはちとハードルが高すぎましたか・・・

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しかし若さというものは素晴らしいもので、そんな地獄も乗り切り、ほかの研修生の待つ剱沢の前進基地へ。

本当によく頑張りました!!

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翌最終日は剱御前からカラ荷でひと滑りし、雷鳥沢へ。お決まりの搬送訓練をしながら室堂へ下山しました。

3泊4日の短い山行でしたが、彼らには大きな大きなインパクトのある山行だったに違いありません。

あの行程を乗り越えてきたのですから、きっと今後さまざまな場面での活動に役立つことでしょう!!


2013-5-17~19 剱岳・別山尾根

2013-05-21 01:55:56 | ガイド山行記録

ようやく天気も落ち着いてきた今日この頃、剱岳へ行ってきました。

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少し前の週間予報では、土曜日から日曜日にかけて天気が崩れそうな気配を感じさせていましたが、今回のお客さんは向かうところ敵なし!の晴れ女!!今回もアタック予定の土曜日が直前になり好転。幸先よく御前の小屋へ入ることができました。

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また入山初日の17日は、結構きれいな夕日を拝むこともできました。明日の行動にも期待が膨らみました!

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さてさて明けて18日は、この日の登頂を約束してくれているかのような、穏やかでいい天気。

4時40分に御前の小屋を出発。剣沢を快適に下って行きました。

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今は閉まっている剣山荘からは、一服剱へ向けての急登。ここからロープを付けての登高となります。

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難なく一服剱を越えた後は、本日の難所の一つ、前剱大岩の急雪壁が眼前に立ちはだかっています。

しかしまだ時間も早いこともあり、適度に固く締まった雪面はアイゼンが良く効き、サクサクと登ることができました。でもふくらはぎやアキレス腱はパンパン・・・

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その後も小さいアップダウンを繰り返し、平蔵の頭も稜線上から通過。ところどころシュルンドが空きはじめ、踏抜く場面もありましたが、なかなかいいペースで平蔵のコルへ。いよいよ本日の核心第二弾。カニのタテバイへとやってきました。

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さすがにここは傾斜も強く、クサリの連続なのでスタッカットに切り替え、2ピッチで通過。アイゼンの前爪を小さなスタンスに乗せる場面もあり、なかなか緊張感のある楽しいピッチでした。

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後は傾斜のゆるくなった雪面をひと登り(ふた登りかな・・・)で剱岳山頂。さすがに今年はまだ山頂の祠も雪の下。もうこれ以上高いところのないこの場所で、しばし360度の大展望を堪能しました。しかもこの日は土曜日だというのに剱岳山頂は貸切!

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しばし山頂を我々だけで楽しんだ後は、登り以上に厳しい下りが待ち構えています。

すっかり雪が消え、クサリも梯子も夏道通りのカニのヨコバイをスタッカットで慎重に下降。

さらに平蔵のスラブや前剱のトラバースも無事通過。

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そしていよいよ本日の最難関、前剱大岩の下りへとさしかかりました。時間も正午を過ぎ、気温も上昇してきたので雪もグサグサ??かと思いきや、今年の前剱大岩はかなり雪質がしっかりとしており、バックステップでの下降でしたが、ステップがざらざらと崩れることもなく、おおむね安定して下る事が出来ました。

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あとは一服剱を登り返し剣山荘へ。ここでロープをはずし、ひたすら御前の小屋へ向け長い長い登り。途中本日越えてきた剱岳を何度も振り返っては仰ぎ、満足感に浸りながらの登り返しでした。

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そして午後3時少し前。御前の小屋へ帰着。少し時間はかかりましたが、この日神様に許された時間をフルに活用し、残雪の剱岳を丸ごと楽しんできた1日でした。


2013-5-12~13 前穂北尾根

2013-05-14 20:27:18 | ガイド山行記録

長らくのご無沙汰でした。

4月のヨーロッパスキー検定の傷も癒え??ようやくお仕事にも復帰しました。

まずは前穂の北尾根。この時期には定番ルートですよね!当初は11日から入山の予定でしたが、雨の予報だったので、1日ずらしました。これが功を奏し、12日は日曜日だったのですが上高地は人もまばら。いつもは観光地の喧騒を絵に描いたようなところですが、この日はとても穏やかに通過することができました。

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さて明けて13日は、4時起床5時出発。さすがにこの時期4時をまわると外は明るい!もっと早く出発すればよかったか!?でもまあ今日は順番待ちも無いでしょう・・・

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5,6のコルまですでに出来上がったトレースを辿り、いざ北尾根へ。1組先行パーティーがあるものの、さすがに空き空きの北尾根。順番待ちも無くサクサクと行けそう。

ところが今年はまだ雪が多く、GWごろに降ったであろう雪がグサグサにクサリ、ちょっと悪い感じ。5峰は難なく越えましたが、続く4峰からはこのいやらしい雪に悩まされ、かなりの部分をスタカットに切り替えせざるを得ませんでした。おかげでかなり時間をロス・・・

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核心の3峰は文字通りのスタカットクライミング。1ピッチ1ピッチ慎重にロープを伸ばし、越えていきました。

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また2峰への登りではこんな珍客も!冬毛が夏毛に変わりかけてる雷鳥でした。

あ、でも僕らの方が珍客なのか・・・

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さてさて今回のルートもいよいよ大詰め。2峰の懸垂も難なく越え。あとは前穂までひと登り。

大きな雪稜と化した前穂の山頂は人影もなく、貸切でこの大パノラマを堪能することができました。

奥穂をバックに記念撮影。しばし静かな山頂から穂高の山々を眺め、感動に浸りました。

後は奥明神沢をめざしひたすら下降。そしてまた下降!怒涛の下りを2時間弱で、灼熱??の岳沢へ。ここからまた中途半端に雪が残り歩きづらい登山道を耐え、やはり人のまばらで、とても静かな上高地へ下山しました。

たった1日ずらすだけで、こんなに静かな山行を味わえるなんて。静かな山で熱い登山を楽しめた2日間でした。