杉ちゃんのWEB日記

国際山岳ガイド 杉坂 勉のブログ

2017-5-5~7 槍ヶ岳

2017-05-08 19:06:07 | ガイド山行記録

GW最後のしめは槍ヶ岳でした!

 

5月5日、とても良い天気の中上高地より入山。横尾経由で槍沢へ。途中幾人もの登山者とすれ違いましたが、みなさん昨日までの良い天気の中予定の山行を満喫された様子。我々は明日からの天気にちょっと不安を抱えながらの入山となりました。

 

翌日は早朝まで満点の星空でしたが、出発する頃には曇天に…。大曲から上部はご覧の通り濃いガスの中に包まれ展望なし。

途中からは大粒の雨にもたたられ、ぐずぐずの雪の中を登る羽目に。予報では昼頃より雷も!という事で必死に肩の小屋を目指しました。

この日は終日雨で視界無し。頂上アタックは断念。

翌7日は快晴の天気!なのですが稜線はものすごい強風!前日までの雨で濡れた雪面はカチカチに凍り付き、槍の穂先はとても危険な感じ。カリカリの斜面で強風にあおられれば即滑落です!!

とても残念でしたが、生きてこそのものだね。そこは潔く下山と決め7時に行動開始。肩の小屋からの出だしはカリカリの雪面。そしていよいよ勢いを増した風に一歩踏み出すのもままならない中、しっかりとアンザイレンし慎重に下山してきました。

余談ですが、帰りの長い長い道のりの中、改めて横尾~徳澤~明神~上高地の景色の素晴らしさに感激。

いつもこんなきれいなロケーションの中を歩いていたんですね~。

最後の穂先には登ることが出来ませんでしたが、とても充実した3日間でした。やっぱり自然は厳しくもありそして素晴らしい!!


2017-5-3 白馬主稜

2017-05-04 13:11:40 | ガイド山行記録

今年のGW第二弾は、ガイドの大先輩である山本篤ガイドのお手伝いで白馬主稜でした。

猿倉から一気に標高差1700mに及ぶ長大なルート。病み上がりの体で不安がありましたが、申し分のない天気と素晴らしいロケーション、そしてお客様方の頑張りに助けられ、無事にコンプリートすることが出来ました。感謝です!

4:00猿倉を出発。金山沢の出合付近で夜が明け、目の前に圧倒的なロケーションで立ちはだかる主稜が見えてきました。

 

取り付きからアンザイレンし、急雪壁やリッジをいくつも越えていきます。

高度を上げるにつれリッジは細くなり、ナイフリッジの連続!

しかし今年は雪の付き方がよく、締まった雪面を快調に登ることが出来ました。

白馬山頂へ至る最後の雪壁もご覧の通り。雪庇もあまり大きくなくしっかりとステップがついていたので難なくクリア。

気温の上昇もさほどではなく、まさに最高のコンディションで登りきることが出来ました。

下りの大雪渓もまずまずの安定。脱兎のごとく駆け下り、猿倉に2時少し前に下山。10時間の長丁場でしたがとても気持ちのよい登攀を楽しむことが出来ました!

今回も山の神様に感謝ですね!!

 


2017-4-29~5-1 北穂高岳

2017-05-01 14:51:31 | ガイド山行記録

2017年もGWに突入。今年はヘルニアの影響で山に行けるのか?との不安の声もありましたが、何とか無事に行ってきました穂高!

復帰まもなくという事もあり、北穂東稜の予定で入山しましたが今回は2泊3日ののんびり山行。天気予報も悪くないので予定通り29日上高地から入山。

雪の少なかった去年と比べ今年はまずまず例年並みか?横尾大橋を渡りしばらく行くとすぐに登山道は雪の下。

横尾の本谷橋付近からはご覧の積雪量で、例年通り涸沢の沢沿いを進むことが出来ました。

ヒュッテ寸前では寒冷前線の通過でカミナリにあい、ちょっと怖い思いもしましたが無時に涸沢入り。

 

翌30日は快晴の夜明け。昨夜降雪がありコンディションに影響が出るか不安でしたが、ほとんどは強風に飛ばされて影響はほとんどなし。

5時15分ヒュッテを出発。ただ上空はかなりの強風の模様。また長野県警の話では穂高周辺はGW前に2~3回降雪があったが北穂沢ではまだ大きな雪崩が出ていないとのこと。ちょっと不穏な雰囲気が漂っていました。

モルゲンローテに染まる北穂東稜をめざし高度を上げていきます。

  

雪面はおおむね締まっており快適ですが、雪はザラメにはなっておらずまだまだ冬の装いを残したままの感じ。

また南稜方面からスノーボールがかなりバラバラと頻繁に降ってきて、コンディション的にはあまり良い感じではなさそう。ここで予定を変更し、そのまま北穂沢をつめ北穂のピストンに。

8時、北穂の山頂に登頂。なんとなくそこから見える山々は霞んでいるような感じ。やはり明日は悪天なのか…。

とりあえず一通りパノラマ風景を楽しんだ後、風が強まりつつある山頂から下山開始。

ところが下りの北穂沢はすでに気温も上がり、雪は腐りはてて生コン状態。足を取られながらでなかなか高度を下げることが出来ません!

そのうち南稜側から小さな雪崩がちらほら。

南稜取り付きへの分岐まで来ると雪崩はいよいよ勢いを増し、点発生の表層雪崩が頻発。そのうち標高の高いところから流れてきた雪崩は、周りの雪をかき集めながらその大きさを増し、我々の脇を通過する頃には巨大なブロックの塊に!!

下を歩いていた数人を飲み込むと、一気に涸沢まで流れ落ちていきました!!!!ちなみに今回は誰も埋まることなくケガもなかったとのこと…。

我々もその後に来るであろう雪崩を警戒し、すでにデブリと化したトレースを外して安全地帯を縫うように降りていきました。

この日の行動は横尾まで。今日の出来事の余韻に浸りながら、そして改めて自然の恐ろしさに畏敬の念を感じながら、山荘のゆぶねにつかれる幸せをかみしめたのでした。

最終日の5月1日は2時間30分ほどで上高地に到着。

いやいや今回もいい経験になりました。

でもやはり、山では基本に忠実に謙虚に行動することがやっぱり大切なんだと感じた3日間でした。