杉ちゃんのWEB日記

国際山岳ガイド 杉坂 勉のブログ

指先ジンジン

2012-08-29 17:28:10 | ブログ
指先ジンジン
剣から下山して、再びデスクワークに追われる日々です。 ご多分にもれず、たまらずボルダリングジムに逃れてきました。 体も酷使した割にヨレテおらず、結構調子いいです! でも課題は一つもクリアー出来ず…でもまあ、こんな感覚は、ケガする遥か前の調子良かった頃のもの。 よくぞここまで回復したものだといったとこでしょうか? 明日からは登山研の講師で、再び剣岳です。


2012-8-24~27 剱岳・八つ峰Ⅵ峰D・Cフェース~上半~北方稜線縦走

2012-08-28 11:41:54 | ガイド山行記録

 激闘の北鎌尾根(山行記録はこの下にあります)から、引き続き安房トンネルを越えて立山へ転進してきました。24日からは剱岳のクライミング&縦走をしてきました!

 今回は熊の岩ベースで、八つ峰Ⅵ峰Dフェース富大ルート、Cフェース剣稜会ルートを登攀し、Cフェース~八つ峰上半~北方稜線~剱岳本峰を縦走するという欲張りな計画!

8月24日

 30キロをゆうに超える荷物を担ぎ、一路熊の岩を目指して入山。しかし午後になり雲行きが怪しくなり始めたので、この日は剣沢の小屋泊まり。

 翌日荷物をセレクトし、軽量化して熊の岩に向かうことにしました。

8月25日

P8250093

 翌日は天気が気になりましたが、起きてみると頭上には満点の星!朝の5時少し前、早速熊の岩目指して小屋を出発しました。

P8250098  

 まずは剱沢雪渓を長次郎出合までくだり、ここから長次郎谷へ。今年は例年と比べ、どこの山も残雪が多く、それはここ剱岳でも例外ではなく、通常この時期には、途中ぱっくりと口を空けている長次郎雪渓も、出合から熊の岩まで見事に繋がっているではありませんか!

 おかげで難なく熊の岩へ到着することができました。ここでビバーク装備をデポし、さっそくⅥ峰Dフェースへ。

P8250112

 Ⅵ峰フェースはどこもまだ残雪が残り、Dフェースへはいったんシュルンドの中へ降り立ち、Cフェース側を廻り込んで取り付きへ向かいました。

 登攀準備を整え、富大ルートへ取り付き。1ピッチ目の出だしは、まだクライミングに慣れていない体にはちょっとしょっぱかったですね。

P8250118 P8250123

 その後もⅣ級のピッチが続きますが、順調にこなし、核心部Ⅴ級も問題なし。

P8250125

 12時40分にはDフェースの頭へ立つことができました。今回2人ともなかなか調子はよさそう!

 あとは慎重にⅤ・Ⅵのコルへ下降。

 熊の岩では小宴会。今日の行程やルートのこと、ビバーク装備や食料についての談義に花を咲かせ、午後7時には就寝。明日の長大な行程に備えました。

8月26日

P8260130

 昨夜はにわか雨もなく、快適に熊の岩でのビバークを終えることができました。

 そしてこの日も朝から快晴!3時に起床し、身支度を整えます。今日はなんといってもCフェース剣稜会ルートから八つ峰上半~北方稜線と縦走し、剱岳本峰を目指す長丁場!

 午前4時45分に熊の岩を出発し、Cフェースの取り付きへ。こちらは残雪を回り込んで難なく取り付きにたどり着けました。

P8260131  P8260139

 今日は全装備を担いでの登攀のため、Ⅱ級程度のピッチもなかなかのもの・・・んー、荷物が重い!

P8260144  P8260147

 それでも順調に高度を稼ぎ、いよいよ上部のメインイベント、ナイフリッジのトラバース!

 ここは高度感もありとても緊張しますが、ホールドもスタンスもしっかりとしているので、快適にこなせました。

P8260151

 8時少し前には登攀終了。なかなかいいペースで剣稜会ルートを抜けることができました。

 目の前には、Dフェースの頭、そしてチンネの勇姿を望むことができました。

 休憩もそこそこに上半の縦走を開始。いつもはショートロープで早々に越えることができる峰々も、今日は重荷なのでなかなかの重労働。スタカットでピッチを切りながら慎重に越えていきました。

P8260153  

 八つ峰の頭からの懸垂下降も無難にこなし、北方稜線へ。昨日泊まった熊の岩のビバークポイントを眺めながら、少しガレの多い稜線を、トラバースしながら越えていきます。

 何か所かルートが不明瞭で、確認しながらの縦走でしたが、無事に長次郎のコルへ。後はひたすら山頂を目指してガレ場を登っていきます。背後に今日越えてきた八つ峰の峰々と北方稜線を従え、12時50分、剱岳山頂に登頂!長い行程をみごとやりぬきました!!

P8260155

 あとはひたすら剣沢をめざし、長い長い別山尾根を下っていきます。

 いくつもの小ピークと鎖場を越え、いよいよ口数が少なくなってきた頃、剣沢の小屋へたどり着きました。

 振り返ると、先ほどまでガスの中だった剱岳山頂が、再びその姿をのぞかせています。そしてその右手の源次郎尾根の合間から、今日越えてきた八つ峰がわずかに顔をのぞかせているのが見えます。

 んー、今回もよく頑張りました!みなさんお見事です!!

 翌27日も朝から晴天。台風の影響か少し風がありましたが、今回の山行に充実感をかみしめながら、室堂へ下って行きました。

 


2012-8-21~23 北鎌尾根

2012-08-28 11:30:53 | ガイド山行記録

 今年の夏は暑いですねー。

 先週は特に猛暑日の連続で、下界は大変だったのでは・・・。そんな中、少しでも涼を求めて北アルプスへ連ちゃんガイドに行ってきました。

 まずは21日~23日にかけ、北鎌尾根へ。20日の夕方に沢渡の駐車場へ車を廻しておき、松本へ。そして21日朝、久々の大糸線に乗って穂高駅へ。そこからは予約してあったタクシーに乗り、予定通り中房温泉へ到着。

 午前7時20分ごろに、中房温泉から合戦尾根に取り付き、大天井への長い長いアプローチ。ここは北アルプス三大急登と言われていますが、私が手掛けている立山の内蔵助平への登山道の方が、何ぼも急登!

P8210060  P8210064

 しかし下が炎天下なら、合戦尾根もなかなかの気温。汗ダラダラで上がっていきました。しかし燕山荘下では、きれいなお花畑にも!そして稜線に出てからは景色も一変。涼しい風に吹かれながら、北鎌尾根を眺め、明日のモチベーションを高めて大天井へ向かいました。

P8220068

 翌日は早朝3時に大天井ヒュッテを出発。昨日の天気予報では、この日の天気もまずまずとのこと。午後の雷がちょっと気になりましたが、願わくば午後2時までには槍に到着することを狙い、満点の星空のもと、早々に小屋を出発しました。

P8220071  P8220072

 暗闇の中、貧乏沢を下降し天井沢を経て北鎌沢出会いへ。貧乏沢は暗がりだったせいか、以前より荒れている印象を受けました。

 北鎌沢の登りはまさしく地獄!午前7時にはすでに気温が急上昇しはじめ、大きく成長した草木をかき分け、大岩を乗り越しながらのアプローチは、体力をどんどん奪っていきます。やっとの思いで北鎌のコルへ到着。

P8220074

 北鎌のコルからしばらくも、ハイマツやダケカンバをかき分けながらの急登!しかも熱い!!なんか以前訪れた時よりブッシュが大きく育ったような印象を受けました。

 ようやく独標が近くなってきたころから風が出始め、上空にも雲が湧き、日陰が出てきたので少し涼しくなりました。

P8220075  P8220079

 独標は今回まき道で通過。しかしここからはいよいよアルペンチックな雰囲気に包まれ、岩稜のアップダウンが連続。大小のピークがいくつも連なり、槍の穂先へと続いています。

P8220081  P8220082

 岩稜のトラバースと、クライムダウン、ザレ場の登り返し、そして2級程度の岩登りを繰り返しましたが、槍の穂先はまだまだ先・・・

P8220083  P8220085

 時にはまき道を辿り、しかしすべてまいてしまってはつまらないので、ルートを見ながら岩稜を伝い、午後2時ごろにようやく北鎌平へ到着。振り返ると、今日苦労して越えてきた小ピークを望むことができました。

 さあ残すは槍の穂先のみ!大きな岩をいくつも乗り越え、ガレ場を辿っていよいよ穂先の岩場へ取り付きました。

P8220087

 そして午後3時50分、みごと北鎌尾根を越え、待望の槍ヶ岳山頂に登頂!

 天気も何とかもちこたえ、午後の雷雨にも遭わずにすみました。山の神様に感謝ですね!!

 いやー、しかし天気がいいとはいえ、かなり気温も高く厳しい状況の中、12時間50分よく頑張り通しました!!


沢渡でバス待ち

2012-08-20 16:53:27 | ブログ
殺人的に暑い東京から、松本に逃れてきました。 明日から何年かぶりで北鎌に入ります。 という訳で、車をあらかじめ沢渡に廻しておいて、これから松本へ下ります。 いま、沢渡大橋のバス停で、バス待ちしてるところです。 ロンドン五輪は終わりましたが、私にとってはまだまだ夏本番。明日から9月の10日まで、怒涛の連チャンが始まります!


気分転換

2012-08-18 15:58:49 | ブログ
気分転換
今日は仕事が入っていなかったので、暑い中自宅でシコシコ協会から頼まれているテキスト作りに励んでおります。 しかし午後になってペースダウン…頭の中は既にパンプ状態! ちょっと気晴らしに、靴のインソールを直しがてら、カモシカスポーツに行くところです。 近所の橋からは立派な積乱雲が。なんか暑いですねー! ちなみに来週からは怒涛の連チャンガイド&登山研です。


内蔵助平

2012-08-14 17:09:17 | ブログ
明日から年に一度の登山道整備で、内蔵助平へ入ります。 そのため、ベースになる内蔵助山荘に向かっているところです。 写真は真砂岳の稜線から、内蔵助カールを見下ろした図です。 なんだか雪多そうな感じですね。 天気もイマイチの予報なので、ちと心配… でも2500mの稜線は涼しいですよ!


近況報告

2012-08-10 20:42:52 | ブログ

 ロンドン五輪、男子サッカーの準決勝、メキシコ戦に負けてからというもの、あまりのショックから立ち直ることができずかろうじて生きております。

 風呂場の鏡を見れば肩の筋肉も落ち、ずいぶんと肩幅が狭くなったような・・・このままでは本当に??オヤジに成り下がってしまう・・・マズイ!クライミングが出来なければ登攀ガイドとしての商品価値もガタ落ち・・・もっとマズイ!!

 もはやクライマーではない!なんて言っていられなくなってきました!(この下り、HPの利尻山スキー登山をご参照ください)

 そこで重い体を引きずり、先週から西八王子のバーチに行きはじめました。

Photo

 まあヨーロッパでの研修を除き、クライミングをかなりサボっていた割にはカラダはまずまず動くではありませんか・・・

 今日の出来はというと、昨日高尾山を走ってきた(最近はトレ乱??ではなくトレランにも行っております!)せいか体が重ーく、出だしは最悪。んー一進一退といった感じですかね・・・

 それでもだいぶ前腕のパワーが戻ってきたせいか、ホールドはしぶとく保持できているではありませんか。持久力もなんか付いてきたような。。。

 先週よりグレードを1つ上げても、ほとんどの課題を一撃!と言ってもまだ全盛期(そんなもんあったのか??)には程遠いグレードですが・・・トホホ・・・

 今日は夏休み真っ盛りということもあって、小さい子供も来ていました。しかし子供って元気ですねー!疲れないのかねー?

 さて私しめも商品価値をもっと上げるために、間違っても下がらないように、せっせとトレーニングに励みますか!子供には負けてられませんからね!

 

 


とうとう沢デビュー??

2012-08-06 12:02:20 | プライベート山行記録

 猛暑続きのこの週末、ガイドの仕事も入っていなかったので、沢登りに行ってきました。

 沢登り?この俺が??大の水嫌いのはずが・・・

 どうした風の吹き回しかといえば、登山研修所の仕事の帰り、同じ講師仲間から、ナルミズ沢の山行話を聞き、それはそれは楽しかったというので、それならばと思ったのが始まり。

 またこの広い山の中で、尾根や壁ばかり行っていたのではなんか片手落ちのような、大きな大きな山の素晴らしさを丸ごと感じられないと思ったからで、まあそんなこんなで重い腰を上げたのでした。

 P8040028

 とりあえず沢靴と渓流スパッツなど、必要な装備を急遽誂え、いざナルミズ沢へ!

 今回は宝川温泉からではなく、土合から東黒沢経由でウツボギ沢を下り、ナルミズ沢へ入るという計画。メンバーは、妻のちかちゃんとそのお友達の3人パーティー。

 白毛門の駐車場で沢支度をしているときは、ちょっとこっっぱずかしい感じで装備を身に着けました。

P8040029

午前6時45分に白毛門の駐車場から東黒沢へ入渓。この沢は、白毛門沢の出会あたりから綺麗なナメが続き、とても気持ちの良い沢でした。

P8040043

 またところどころ現れる5mほどの小滝が、ボルダー感覚で登攀にアクセントをつけて、楽しく登れました。

P8040064 P8040060

 ほどなく東黒沢を抜け、ウツボギ沢の支流を難なく下り、正午には宝川本流との出会にある広河原へ。ここは文字通り広い河原で良いテン場でしたが、時間が時間なので明日の行動時間も考え、さらに先へ進むことに。

 宝川の本流沿いには登山道もあるのですが、我々はあくまで沢!先ほどとはまるで水量の違う宝川本流を、時には腰まで(ちかちゃんはナゼか胸まで没してましたが・・・)つかりながら大石沢の出会まで遡行。特に難しいところもなく、大きな釜を眺めながら右岸左岸と大きくへつり、これはまたタイプの異なる沢という感じで、楽しく遡行しました。

P8040069

 大石沢出合のテン場ではたき火を囲み、持参したベーコンをあぶってちびりちびりとご賞味!とてもいい雰囲気で1夜を過ごすことができました。

P8050081 P8050085

 翌日も朝7時に遡行開始。宝川本流はこの先ナルミズ沢と名前を変え、豊富な水量ときれいなナメ、そして大きな釜をいくつもかかえており、ところどころ腰までつかりながらのへつりが連続しました。

P8050089 P8050091

 やがて魚止めの滝10mを越えると、上部には地蔵の頭直下に広がる大スラブがひろがり、その先に広がる沢の遡行にも期待が高まります。

P8050099 P8050101

 その後も大小さまざまな形の綺麗な滝を越え、大きな釜をへつり、やがて沢を二分する二俣へ順調に到達。僕らは本流とされる右俣へ入りました。

 ここからは水量もぐっとへり、深い戸井状を抜け、小滝をいくつか越えるとやがて奥の二俣。今回は沢を抜けてからの稜線縦走も考慮し、左俣から稜線を目指しました。

P8050107

 最後はきれいな草原を抜け、大烏帽子とJ・Pの間にある稜線へ。

P8050120

 あとはひたすら踏み跡の付いた笹の藪をたどって朝日岳へ。そして笠ガ岳、白毛門と縦走し、午後6時に白毛門の駐車場へ下山しました。(ちかちゃんはヨレヨレ)

まあ気嫌いしていた沢登りの割には、いろいろと実験、検証もできたし、トレーニングもできたし、冬の下見(スキー)もできたし楽しい山行でしたね。へへ。