『京都太秦物語』を観てきた。
大映太秦撮影所。
今はもう無いけれど、そこではたくさんの名作が生み出された。
その太秦を舞台とした、やさしいラヴストーリー。
今でもラヴストーリー作品って世の中にはいっぱいあるけれど、やたら悲しい話だったり、ドタバタのコメディーだったりとなんだか騒々しい。
けど、この作品はちょっと古臭い、今となってはなんだか独特の仕上がりで、静かで良い話だと思う。
山田洋二監督が太秦映画の再興を願って作った映画であり、立命館大学の若いクリエイターたちの映画でもある。
海老瀬はなって、こういう学生さんの作品になんかよく出るなぁ。『築城せよ!』もそうやったもんな。
お笑い芸人を目指す彼氏と、大学の文字文化研究者との間で揺れ動く恋心。
そうかー。。。
なんとなく答えは見えてたけど、やっぱりそっちを取るかね。
人は大人になるにつれ、生まれ育った町を出る人とそうでない人とに分れると思う。
どっちが良いとか悪いとか言うんではなく、そういうもんなんだろう。
彼女は、その町に留まることを選択した。
そうやって、愛する人たちの傍で生きていくことになるんだろう。
でも、映画の最後に、彼女は京福電車の中で一人静かに涙を流す。
それは、自ら切り捨ててしまった新しい可能性に対してであり、そのために人を傷つけてしまった後悔によるものなのかもしれない。
それでもすぐに涙を拭い、前を見る。
彼女はすでに新しい毎日の中にいるのだ。
そして、その先の未来はきっと素晴らしいものになるに違いない。