おはようございます。
6月21日
一週間の始まりです。
今週も楽しい一週間でありますように
ところで、先日ある方から『高校野球の話しが書いてあるので良かったら』と、1枚のレポートを戴いた。
『大好きなタジケンレポート』・・・
タジケンこと、田尻 賢誉氏。
田尻氏の著書も大好きで 「沖縄力」 「公立魂」などは、出逢いの一冊となった
タジケンさんの厳しい目線のレポートも好きで愛読している私。
でもこの記事は見逃してました
そこには、あの花巻東に関する記事が書かれていて熟読してしまいました
花巻東と言えば、菊池雄星選手を思い出す方が多いのでは・・・
そして、あのナインの元気いっぱいのプレーや、全力疾走、ピンチの時こそ笑顔、
どんな時も笑顔で大きな声援・・・が印象に残った昨夏の甲子園での姿。
レポートには『本物のベンチワーク』と題された、花巻東の強さの根を感じる内容の記事が書かれていました。
高校野球も夏の大会が始まっていますが、そこに至るまでには表に立つ選手、裏方に回る選手の
たくさんの心の葛藤があったことだろうと想像します。
特に三年生は最後の夏。
負ければ実質、高校野球生活の終わりを迎える。
だから賭ける想いの大きさは、計り知れないものがあると思います。
最後のチャンス、夏の大会。
葛藤から生まれた団結で、ぜひこの夏をいい夏にして欲しいなと願い・・・
今日は、そのグラウンドの土の上に立つ選手(子供)を支える、父、母のような役割を持つ選手たちのお話し・・・
タジケン レポートを紹介したいと思います
~花巻東に勝利をもたらす 本物のベンチワーク~
タジケンのセンバツレポート2009 vol.10
~名将も認めたベンチの盛り上がり~
【花巻東 5-3 南陽工 】
拍手が途切れない。もちろん、声も途切れない。
2年前に駒大苫小牧高と練習試合をした際、当時の香田誉士監督が『あの雰囲気をマネしろ』と自チームの選手に言ったほどの盛り上がり。
甲子園連覇の名将も一目置く。それが花巻東高のベンチだ。
投手の投球練習では、1球ごとに拍手と声。
相手がけん制を投げるだけで拍手と声。
いつもどんな場面でも盛り上がっている。
その中でも、特筆すべきが、ピンチの時やチャンスを逃したときの拍手と声。
普通ならばベンチは暗くなってしまうものだが、花巻東はこういうときこそ盛り上がる。
『自分たちに流れを呼ぼうと強く早く拍手するようにしています』
『ベンチが盛り上がり、拍手をすることで相手にプレッシャーを与え、試合を有利に進められると思います』・・・背番号13 笈川 裕介
『ホームランで盛り上がるのはどこでもあることですよね。流れが悪いときにこそ、流れを悪くしないようにしないといけない。
ピンチのときや、点を取れなかったときにこそベンチの出番だぞと言っています』・・・佐々木 洋監督
暗いムード、負のオーラをベンチに持ち込まないのが大事。
だから花巻東高では、打者がアウトになってベンチに戻る際にもハイタッチで迎える。
『終わったことは仕方ない。拍手によって 《 気持ち 》 を切り替えるためです』・・・笈川 裕介
『アウトになっても雰囲気を下げず、逆に上げていくためです。それが相手にもプレッシャー与えることにつながると思います』・・・背番号14 佐々木 大樹
野球は流れのスポーツ。
だからこそ、流れは自分たちで作るもの。
花巻東高の選手たちは、それが分かっているから、大会前に選手たちで話し合い、ベンチワークを統括する「ベンチリーダー」を選出している。
『取り組む姿勢がいい。熱い。勝負どころだとみんなより声を出す』・・・佐々木 大樹。・・・という理由でベンチリーダーになった背番号11の斎藤 奨は言う。
『ベンチが盛り上がったり、相手にプレッシャーをかけて流れを引き寄せようといつも言ってます』
『そのために、自分がベンチ内の様子を見て、ここというところで「盛り上がっていくぞ」などと声をかけています』
~リードを許してもあわてない”逆転の東”~
南陽工戦では5回まで1対3と苦しい試合展開を強いられたが、全くといっていいほど花巻東高ベンチに沈んだムードは見られなかった。
『昨日選手たちに先発「背番号5 猿川 拓朗」を告げた時点で、前半戦はゴタゴタ、3点ビハインドでいくという話をしていました』
『明日は打線で勝とう。延長戦もあるという気持ちでいこうと。(エース菊池)雄星がマウンドに上がってからが勝負。
7、8、9回が勝負だよと言っていました』・・・佐々木 洋監督
2007年の夏はサヨナラで甲子園を決めるなど、しばしば終盤に逆転劇を演じ、岩手県内では”逆転の東”の異名をとる花巻東高。
昨秋の東北大会でも準々決勝・東陵高戦で2対3とリードされた8回に追いつき、柏葉 康貴のタイムリーでサヨナラ勝ちをしている。
『追っていく展開には慣れていますし、7、8、9回で点を取ろうといつもやっているのでベンチでも焦らず後半勝負と言っていました』・・・笈川 裕介
『リードされて最初はちょっと焦った部分があったので、試合に出ている選手に
「焦ると100%の力は出せない。ゆっくりいこう」と声をかけていました』・・・斎藤 奨
斎藤らの声掛けの結果、選手たちは焦らず、落ち着いてプレーしていた。
3回表に点を取られてリードを許した後も、無理に打ちにいくことはない。
打てる球を打ち、しっかりとボールを見極めた。
3回に21球、4回に16球、5回に10球、6回に20球と5回以外は相手の岩本 輝に球数を投げさせ
6回終了時点で100球を超えさせる事に成功した(106球)
2年生ながら1、2回戦の2試合を連続完投。
2回戦のPL学園戦では延長10回169球を投げている岩本だけに、さすがに終盤は疲れが見えた。
ベンチの雰囲気に加え、6回から登板した菊池が6、7、8回を9人で抑える好投で流れを掴んだ花巻東高は、
7回に球威が落ちた岩本をとらえ、猿川のバックスクリーンへの2点本塁打で同点。
なおも横倉 怜武のセンター前ヒット、菊池の左中間二塁打で逆転に成功した。
『雄星が投げて、7、8、9回は「逆転だ」とベンチも気合いが入っていましたね』・・・佐々木 洋監督
花巻東高では、試合でプレーしている選手以外にベンチに入り選手が疲れることも珍しくない。
ベンチでは座っているヒマなどない。
ボーっとしているヒマもない。
声を出し、拍手をし、試合に出ている選手のために道具などを準備した上で自分が出られる準備をする。
さらに監督のそばで指示や声を聞き逃さず、仲間への的確な指示やアドバイスを送る。
これが本当の控え選手の仕事。
劣勢を跳ね返し”逆転の東” らしさを見せた花巻東高。
岩手県勢25年ぶりベスト4の原動力となったのは本物のベンチワークだった。
田尻 賢栄氏
菊池 雄星選手が、”全力疾走”について、こんな言葉を残している。
『100人部員がいる中で、18人しかベンチに入れません。全力疾走すらできない、
(グラウンドで)声を出すことすらできない選手がたくさんいます。
そう考えると、できる権利があるのに放棄する選手は納得がいかない。
走ることすらできない選手に申し訳ないです』
投手ながら、暑さの厳しい夏の大会でも決して全力疾走を怠らなかった花巻東高の菊池雄星はこう言っていた。
花巻東高の強さの根元は、どの選手も自分の役割を確実に実行し、全員で流れを呼び込む”仕事”ができているところにあるのだろうと感じたレポートでした