ラグの「素直に生きれば人生は楽しい」

主に人生の歩き方について「人生お弁当箱診断」など
以前のブログ名:和色ムーブメント

スフレ・カフェ 梟(ふくろう)

2008年05月22日 | 二升五合


● スフレカフェ 『 梟(ふくろう) 』  というお店です。
今、鳥取の米子で話題になっている ”スフレのお店” です。
後輩夫婦が独立して繁盛させている “味のあるお店” です。





普通に考えれば、後輩のお店への陣中見舞いの旅だったかもしれませんが、
今回はちょっと違います。私自身の今後の仕事に対するポイント(方向性)を絞り
込むためというか、もう一度、ブレない考え方で仕事にのめり込みたくなり、昔、
先輩として無理や無茶を言って追い込んだ後輩たちから逆に少し刺激をもらう
ために米子へ向かいました。

もう15年以上前になるでしょうか、私がまだ店長をしている時のこと ・・・
会社へ事務(雑用)処理に向かうと、上司だった前部長から呼び止められました。
“ちょっと変わった素人(未経験者)さんが面接に来てるけど ・・・ 話してみる?”
サラリーマンを辞めアメリカを放浪?して帰国したばかりの米子出身の男でした。

彼は初めて会ったとは思えないほどフレンドリーな間合いで柔らかく目線を合わせ
語り始めました。アメリカへ行った経緯やなぜ今日ここに居るのかといった流れを。
“経験は無いが店舗(居酒屋)で働いてみたい。いや、働くことにしようを思う ・・・ ”
といった内容をまるでオムニバス映画のような展開で繰り広げた。私は思った。
“おもろい男やなぁ~。いや、もっとおもろいことが起こるかも ・・・ ” 即、採用。

当時、日々忙しくなっているお店でした。たぶん、経験者でもそこそこ音をあげて
しまうような厳しい環境だったと思いますが、彼は何とか与えられた仕事をクリア
しながら業界の雰囲気をどんどん吸収していました。そして、口うるさい店長の私に
対しても、納得できれば先頭に立って “やってみましょう!” と男気で音頭をとり、
逆に納得できなければ、立場など一切気にせず疑問・質問をぶつけて食い下がって
くるような無垢な男でした。

その頃、私はアルバイトスタッフを愛称で呼ぶことが多かった(好きでした)。
店内にはアニメキャラクターが沢山 ・・・ ???( アラレ・ムーミン・バカボン・・・ )
社員もほぼ同様で、苗字の一部を取っての “ちゃん付け” も多かったはずです。
( ○野ちゃん・○もっちゃん・よっちゃん・大ちゃん・まっちゃん・うめちゃん・・・ )
彼は 「いとーちゃん」 でした。いとーちゃんが入社してどれほど経った頃でしょうか、
彼女(いとーちゃんの奥さん)が入ってきたのは ・・・ ( その職場で出会い結婚 )

彼女は黒のリクルートスーツで面接にやって来ました。キチッとまとめ上げた髪が
何とも印象的で、現場(居酒屋)とは少し距離(勘違い)があるのではないかという
不安が私の脳裏をよぎり、即採用は躊躇した記憶が ・・・ 。しかし、彼女と話して
いるとある一つの性格が見えてきました。“そこそこ沖縄の頑固もん” で、またまた
”おもろそう!” です。私の理想の店舗像は、「個性豊かなスタッフが一つの接点で
集まり、それぞれの個性で勝負して近隣他店を圧倒する」 でした。大昔のアニメ
「サイボーグ009」 や 「アパッチ野球軍」 の世界です。( これは真剣な話です!)
彼女を面接して数分後、もう私の中で彼女は既に必要な店舗スタッフでした。

私は彼女を 「ゆかちゃん」 と呼びました。( 今でもそう呼んでいますが ・・・ )
社員の愛称は苗字からの変換が基本でしたが、ゆかちゃん(“ゆか”は本名では
ありません)のファーストネームが呼びにくかったので下の名前の一部を取って
呼んでいました。ちなみに、いとーちゃんは彼女を 「○○○さん」 と下の本名を
“さん付け” で、ちょっと茶化すように呼んでいた記憶が ・・・ 。
( やっぱ、もうこの時点で怪しかった!のか ・・・ )
ただ私は、二人が結ばれて、しかも、米子にゆかちゃんを連れて帰ってしまうとは
夢にも思いませんでした。ふたりの性格は全く違いましたが、“酒好き” が共通点で
結ばれたのかもしれません。( 毎晩、泡盛を呷っていました。あきれるほど ・・・ )

当時、私はいとーちゃんに “ゆかちゃんは置いて行ってよ!” と、
冗談半分、本気半分で言ったものです(笑)。





この 「梟(ふくろう)」 は、開店してもう10年になるのでしょうか ・・・ 。
開店当初の業態は、ふたりが大阪で私と働いていたようなお店(居酒屋)でした。
それを約1年前、 「スフレ」 をメインとした “ランチ&カフェ” に業態変換したのです。
その1年位前には業態変換の相談があったのですが、私自身、「スフレ」 の
知識が乏しく、明確なアドバイスができませんでした。たぶん、この1年、ふたりは
試行錯誤の連続だったと思います。こういった経緯を経て、よりパワーアップした
「梟(ふくろう)」 が地元のお客様に支持されつつあることは、同じ業界人として
何よりも嬉しいことです。

新しいものにトライすることは楽しみもありますが、やはり不安もあります。
ましてや、生活を抱えている世代で自己投資をして開業した者にとっては、
楽しみより不安の方が先に立ちます。それを超える決断はどこからくるのか ・・・
“変えなければジリ貧になるだけ” という目線は当然ですが、“もっとお客様に
来て頂き、楽しんでもらえるお店にしたい!” がやはり決断の基本のようです。
プライベートを含め、生活スタイルの変化も一因です。また、地域社会の動きや
お客様ニーズの変化も大きな判断材料です。そして、いち早くそうしたニオイを
察知する “業界勘”。これが鈍いと後手を踏み、失敗・撤退を余儀なくされます。
( 私自身、この勘が人一倍強い方だったのですが、今は本当に鈍っています )





店内の雰囲気(温度・色・におい等)は業態やメニューによって左右されます。
というより、メインターゲットを中心としたお客様にアピールする業態やメニュー
にフィットする内装・レイアウトにするというのが一般的です。
また、質感(テーブルや椅子の素材、照明や調度品・装飾品のレベル、器等)や
空間(テーブルや椅子の大きさ、通路幅、天井高など)は店の客単価等を意識
させます。また、玄関アプローチ、トイレの設えなどは、店(店主)のこだわりを
反映させます。

「梟(ふくろう)」 は、古い平屋の民家をそのまま活かしたような外装と
木のぬくもりを感じさせる内装のバランスが良い。オーナーのいとーちゃんと
ゆかちゃんのナチュラルな部分が素直に表現されている空気感が素敵であり、
米子というベースにアクセントとして沖縄や関西のテイストが少し散りばめられて
いるところも楽しい気分です。また、夜の営業(居酒屋)でも昼の営業(カフェ)でも
違和感がない店舗構成(内装・設備)になっていたことが、今回の業態変換に
踏み切れた大きな要因だったかもしれません。

とは言いつつ、
玄関アプローチとカウンターから見える前厨房に関しては、多少、改装をして
手を入れていました。クルマ1台分くらいの追加投資にはなったようですが、
コスト以上にうまくできたのではないかと私は思います。まあ、求めればキリが
ありません。それが飲食業を取り巻くいい意味でも悪い意味でもツボなのです。
特に内外装に関しては、“いくら掛かるか” ではなく、“いくら掛けるか” なのです。
要は、店側(オーナー)がどこで良しとするかです。もちろん、最終はそのラインに
お客様が集まるかどうかですが ・・・ 。





私の為に、わざわざスフレを焼いてくれています。
オーダーが通ってから、生地を合わせます。ココット内にバターを塗り粉糖を薄く
まぶします。ゆかちゃん曰く、“ベース生地やメレンゲの状態も大事ですが、最後、
スフレがふっくら持ち上がる(膨れ上がる)ためには、このバターと粉糖の塗り加減
がポイントなんですよ!” と教えてくれました。( 本気の職人の目つきでした! )





スフレは11種類

 ■ バニラ ■ チョコ ■ 抹茶 ■ 黒ゴマ ■ キャラメル ■ ローズヒップ
 ■ 小豆きなこ ■ ミルクティー ■ コーヒー ■ りんご ■ チーズ

◆ スフレ 500
◆ ミニスフレ 320
◆ Wスフレ 600 (ミニスフレ2種)





“「スフレ」 が焼き上がるまで時間が20~30分掛かりますので、「そば」 でも
どうですか?” ・・・ ということで、「うちな~そば」 を御招ばれしました。
麺はわざわざ沖縄(うるま市)から取り寄せているようです。ゆかちゃんの実家の
お父さんが製麺所(久高そば)まで取りに行って発送してくれているようです。

出汁は豚骨と鰹節でひいているようです。イヤ味のないあっさり味です。
たっぷりの野菜を炒めて長崎ちゃんぽん風です。個人的に沖縄そばは嫌いでは
ありませんが、そう好きでもありません。しかし、このそば(うちな~そば)は相当
イケました。身内の贔屓目でなく、客観的に捉えて “旨かった!” ですよ。
大袈裟ではなく、この味が大阪にあれば必ず食べに行くでしょうね。

“スフレのあとにどうぞ!”
と出してくれたのは、 「うるま茶」 でした。沖縄茶らしく少しクセがあるのですが、
“確かにスフレを食べたあとに飲むのはええかも” と、そのおすすめに納得です。
ちなみに、スフレは 「黒ゴマ」 と 「キャラメル」 を頂きました。思った(想像)より
甘ったるくなく、男の人でも食べられる味です。まあ、私は味よりもふっくらとした
スフレの中央に穴を開けてソースを入れて、もう一度すくい出して食べるという
工程?に興味津々でした。

スフレは桜の花のようです。
ふっくら状態(桜の満開状態)は短い時間で終わります。たぶん、1分持つか
持たないかです。直ぐにしぼんでしまいます。写真を撮っていると、あっという間に
しぼんでしまいました。それだけに営業中は、ランチとセットでオーダーされた
スフレの焼き入れ時間が気になるようです。お客様がランチを食べ終わってから
オーブンに入れると、随分お待ち頂かねばなりません。かと言って、早めに入れて
ランチが終わらなければ、焼きあがったスフレはしぼんでしまい、お客様には提供
できなくなり、もう一度、焼き直しになります。( ゆかちゃん曰く、神経使います! )


 


今回、「梟(ふくろう)」 を訪問して一番強く感じたのは、
自分たちのために、自分たちの店で、自分たちの周りにいる人たちとどう関わり、
何ができるのかを自分たちの責任のもとで、正面から向き合うべきなのだという
ことのような気がする。

要は、何をするにも責任を問われ、何をしても周りに影響を与える、ということを
忘れてはならないということであろう。日々、都会の厳しい環境で勝負して、地方の
何倍も大変そうに見えるものも、よく見れば、それほど違いはないことに気づくはず。
やはり、本質を見極める力が無ければ、どこで何をやっても、継続して良い結果は
生めないものである。

私自身がそうだったのですが、こうした戒めの文面を読むたびに、“そんなこと、
言われなくても分かってますよ!” と思うものです。そして、そう思っていた人ほど
ハマるものです。ハマってから、“自分は分かってなかった!” と思うのです。
私のように ・・・ 。

一歩抜け出した感のある 「梟(ふくろう)」 のお二方には敬意を払います。
今後の益々の活躍を期待しております。また、二日間お世話になりました。
ありがとうございます。( 御馳走さまでした! )





■ スフレ・カフェ 梟(ふくろう)
■ 鳥取県米子市角盤町 1-13
■ 0859-22-5250
■ 11:30 - 15:00   (ランチタイム)
   14:00 - 17:00L.O. (ティータイム)
   定休日(日曜日・祝日)




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